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発達障害を持った娘を育てている母親の成長記録。
最初はほかの子ができることができない娘にイライラする主人公だったが、病院で発達障害を診断されてから、療育に通ったり、娘の気持ちを学習したりして娘の特性を理解していく。途中、幼稚園のほかの父母に、娘が暴力を働いたと誤解されてしまったりする場面では、発達障害に限らず学校や幼稚園など親子が集う場面のあるあるだなあ、と思った。
早い段階で発達障害の判断をしてもらい、特性を理解する努力をするのは大切なことだと思った。
ただ、最初の方のエピソードで保育園に入るための買い物に子連れで行ったり、疲れているのに「映画を観て帰ろう」と父親が提案する場面では「子供が普通と違ってこだわりが多く、街中でも自分の主張を曲げない性格なのを知っていて、なんだかのんきだなあ」と思ってしまった。(まあ、子どもの特性に理解がない親だったが、その後成長しましたというお話なので、最初の方はそんなものかもしれないが)
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娘の七緒が他の子どもたちと違うことに不安を抱く母親の夕子。七緒はADHD(注意欠陥・多動性障害)とASD(自閉スペクトラム症)の傾向があると診断される。保育園や幼稚園でおきた七緒をめぐるトラブルに、すべては自分の至らなさが原因と思い悩む夕子が、ありのままの七緒を受け入れ、自分のことも認められるようになるまでを描いています。
夕子の考え方の傾向がまさに私も同じで、人に迷惑かけたくないし嫌われたくない、自分の娘が加害者になるくらいなら被害者になった方がまだ気が楽…自分なんかが母親じゃなかったら娘はもっと幸せになれたんじゃないか…などなど、物語の中の夕子と気持ちがシンクロしてしまって、読んでいてとても苦しかったです。
障害のあるなしに関わらず、親が子どもにしてあげられることなんて、たいしてないんですよね。結局は子どもが自分の力で成長していくことを信じて見守ってあげることくらいしかできないし、それ以外のことはたいていが「子どものため」と勝手に思い込んでいる「余計なこと」なのかもしれません。
「障害とは何か機能や能力が欠けていることだけを指すんじゃないんです。“周囲と違っているために常に著しく不便を感じる”ことを広く障害と捉えています」(130頁)とありました。
発達障害は見ためにそうとはなかなか分からない障害です。できることも多いため、できないことへの周りからの理解が得られにくいです。できるのに甘えている、サボっている、わがままだとも思われがちです。本書にもありましたが、本人が不便を感じないなら、それは障害とはならないんですよね。今の日本の教育はみんなが足並みを揃えて同じことをしなければならない、「みんな仲よく」が美徳とされていますが、もっと多様性を尊重できる社会になるといいですよね。
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「良いところもできることもいっぱいある。彼女を変えようとするのではなく、まずは七緒ちゃんを知り、良いところを発揮できるよう守っていこう。そんなふうに考えていきませんか」(78頁)
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娘さんより母親が主役?の話。
母親の何事も穏便に済ませ、悪いのは自分、でもそれが結局は消化出来ずに子供に向かってしまう。父親の逃げるな、バカ謝るなの言葉がとても響いた。
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発達障害を持つ娘と母親の物語。
発達障害の特徴も細かく書かれていて良かった。
周囲と母親の子供に対する目線が全く違う様に書かれていることも実際の問題なんだろうと想像できた。
でも、障害児に対する対応をもっと書いていたらいいなぁと思う。今後の七緒ちゃんとお母さんたちの成長を見てみたい。
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発達障害を持つ娘・七緒を育てる母・夕子の話。
発達障害を持つ娘を育てるのは大変だと思います。
けれども、夕子は神経質すぎというか。すごく人目を気にしていて、生きづらいだろうなと思いました。
せっかく障害児に理解のある幼稚園も、ママたちとのトラブルで止めてしまうし。
夕子がそうなってしまったのには、夕子の母の育て方の影響もあるようですが。
子育てって楽しいことばかりじゃないんだなと思った。
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すごく考えさせられる話。
知らなかった話とかもたくさんあったし、心情描写もリアルでした。
ただ、最後の方は同じ話がループしてる感じがして、展開ゆっくりだなとは思いました。
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この本を読んで、子育てって親も育てられるよなあと実感しました。
自分が親の立場になって分かること、自分の親のこと、子どもの頃のこと、色々繋がりますね。
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発達っ子のその母の生活がとてもリアル。
母の親との関係もじわーっとキツさがある。
読み終えて、自分に重ねてしまうとちょっと苦しくなる本。
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ASDやADHDのような情緒障害は、他者とのコミュニケーションに問題が生じます。と、言葉で言っても分かりにくいですよね。この本を読めば、どんな問題があるのかよく分かります。世の中の全てに人に知って欲しい。
誰もが、我慢したり、自分を偽ったりしなくてもいいように、ありのままをお互いに受け入れ合える世の中になって欲しい。夢みたいな話ですが、願わずにはいられません。
本文中の療育センターの指導員の言葉がとても分かりやすかったので、簡単に紹介します。
・障害は不便と言い換えれば分かりやすい。
・世の中は多数派が快適なように出来ているから、少数派は不便。
・発達障害は目に見えない。まずはどこに不便があるかを見つけて、次にどうすればその不便が解消できるか考えましょう。
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人と違う事で、個性だと言ったり、障害だと言ったり‥普通とはなんだろうと最近考えます。
親になると、子どもが人並みになんでも出来て欲しいと願ってしまい、無意識に型にはめているのかもしれない。
共感できる部分も多々あった。
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障害は悪いことなのか、人と違うのはいけないことかを考えることができた。
障害者やその親のことを学ぶときは、ぜひ読んで欲しい本。
私も自己肯定感が低いので、母親の考えが自分に当てはまりすぎて、胸が痛くなり、途中で読むのをやめようと思った。しかし、読み進めていくうちに母親が子供の頃の自分の思い込みを自覚し、妹との確執も解消し、親の感情に振り回されないようにと思う姿をみた。心の霧が晴れたように清々しい気持ちになった。
親の存在が子供の自己肯定感に多大な影響を及ぼすことを痛いほど身に染みた。
本を読んで学んだこと
・障害は、著しく不便だと考える
・いつだって、多数派が優先される
・子育てをする事で、子供を通して自分自身の子供の頃を思い出す
・子供は、親を求めありのままの自分を受け止めてほしいと願っている。親が子供を受け入れ、愛を注ぐ事で、子供は自分は満たされた存在だと認識し、他の人にも愛を与えられる人間になる
・子供は、無力だから毒親だろうと頼らないと生きていけない。親はそのことを自覚する
・子供を自分の正しい道に導こうと躍起になるのが行き過ぎると、気付かぬうちに子供の気持ちを無視してしまう
・子供は、自分で道を切り開いていくから、親は見守り、支える
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発達障害である子どもはもちろんだが、その親の苦しみや辛さがすごく伝わった。
保育所の担任や、千秋にかなりイライラした。
夕子に同情もしたが、そこまで苦しむのかと驚いた。
この本を読んで、発達障害の親の支援も必要であると感じた。
普通とは何か、みんな同じが良いのかと考えた。欠けているところを補っていくよりも、得意な部分を伸ばしてあげる方が良いのではないかと感じた。
毒親の子どもの苦しさも描写されていて、アダルトチルドレンや機能不全家族であるなと感じた。毒親に育てられた子どもは大人になっても苦しみ、自分で気づかない限り親に支配されたままであると考えた。
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胸が締め付けられる。
でも最後まで読まねばいけないと思える作品だった。
ノンフィクションの様なタイトルだが発達障害の娘を持つ母親の苦悩と葛藤をとことん描き切った物語だ。
発達障害についてはある程度知っているつもりだった。
だが本作を読んで知っているつもりと本当に理解している事の差を歴然と感じ自分の無知に呆れてしまう。
外見からでは分からない障害ゆえ、周りの人達の対応は冷酷だ。
発達障害と分かっていながら辛辣な言葉を投げるママ友。
明らかないじめ。
人間の悪意に悲しくなる。
理解を深める為にも多くの人に手に取って欲しい一冊。
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発達障害を持った母親の苦労、葛藤がよく描かれた作品だったと思います。子どもである七緒から見たら良い親ではないかもしれないけど、懸命に頑張っている姿には涙するものがありました。
彼女が周囲に馴染もうとする生き方をしてきてしまったばかりに、子どもにも同じ生き方を強いてしまう。一見すると、それはとても残酷なのですが、そのようなことが今までの日本では当たり前のように繰り返されてきた。同調圧力に悩まされる人の声は無視されてきた。そのことが可視化されたような物語でした。
だからこそ、これから夕子は七緒を「皆」ではなく「一人」の人間として尊重してあげられるようになってほしいし、夕子自身も自分を尊重できるようになってほしいですね。自分にどれだけ向き合ったかで、子どもへの向き合い方が決まる。そんな風にも思わせてくれる作品でした。
また、子どもや周囲の大人の描写がとてもリアルで、実際にこういう人たちと話したことがあるんじゃないかと錯覚させられてしまうほど丁寧に描かれていたと思います。学びや気付きを与えてくれる物語をありがとうございました。
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自身の糧になる本をちょくちょく読むようにしている。
本書もそのうちの一冊。
発達障害の娘や周囲との関係を描いた母親視点の話。
中学生くらいになると
ある程度大人になる子が増えて
その子にあった対応ができるようになる。
(まだ幼く、できない子もいるが…)
でも未就学児や小学生はより残酷で、
皆と違うと奇異な目で見てしまう。
いや、でもこの本にも描かれていたように
親の問題も大きいのかもしれない。
「普通」という言葉の定義が
いい意味で無くなっている現代。
中学生だって反抗期の子がいたり
悪いことしてしまう子がいたり
そこになびいてしまう子がいたり。
親御さんだって様々だ。
夕子のように
もう少し本人と噛み合ったらいいのになと
思うこともあるけど
愛情がない親なんていない。と信じている。
障害があろうがなかろうが
子どもの味方であるために、
強くいることが大事だと感じた。
それは甘やかすという意味ではなく、
子どもの言葉に耳を傾け、
変に自信や自分の子どもを卑下せず
正々堂々とできる強さを。
子どもとの関係に悩んでいる方が
読んだらいいなと思った本でした。