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単行本で二度読んだはずだが、面白くて文庫でも一気読み。イラストも解説も素晴らしい。「メタ戦後日本SF史小説」とも読めるだなんて、解説を読まないと気づかなかった。
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「グラン・ヴァカンス:廃園の天使」以来の第2長編とのこと。
遅筆遅筆とはいいながらも確実に作を重ねている作家で、情けないことに9年前に読んだ「グラン・ヴァカンス」の思い出に酔うばかりで他の著作に手を伸ばせずにいた。
ハードカバー版をチラ見して、重厚そうだなと感じていたが、なに、読み始めれば娯楽そのもの。
キャラクターは丁寧に描き分けられ、漫画やアニメに親和性が高そう、と冒頭十数ページで、容易に軌道に乗れた(萩尾望都の絵柄で脳内再生)。
ところがなんと漫画っぽいとかアニメっぽいという印象を越えて、そのまんまポップカルチャー諸々を取り入れた作りだと判り、断然面白くなった。
あー「プリキュア」ね。そして「まどかマギカ」。てか「ゴレンジャー」って。「ジョジョ」の石仮面かな。手塚治虫「どろろ」じゃん。いや「火の鳥」のムーピー(思えば籘真千歳「スワロウテイル人工少女販売処」の視肉も)。「ナウシカ」の巨神兵というかまあ「エヴァ」かな。
と元ネタを想起できる仕組みが、まず面白い。
しかも後半に行くにつれて、作品を愉しむとはどういうことか、創作物で感情が動かされるとはどういうことか、二次創作とはどういう現象なのか、といった創作論・物語論に斬り込んでいく。
ここが凄い。なのに凄さを言語化できない。
それ以前に後半、どこで何が起き世界がどうなっているのか、よくわからない。混沌。
わからないのに立ち上がってくる圧倒的な抒情。
あ、やっぱり「グラン・ヴァカンス」の作家なのだな、と。
ネットで探しても見つからなかったからレポート用紙3枚で用語集を作りながら読んだというのに、この体たらく。
すごいものを読みました、ゴーグルなしにVR・ARを経験するなら本書に尽きる、ということだけ書き残して、数年後数十年後の再読に賭けたい。
読後ネットで感想などなど漁ったが、作者自身がツイッターで「本作に限らず自作の多くは自罰的心性の産物」と語っていたのが印象深い。
自分向けメモだが、「少女歌劇レヴュースタァライト」特に劇場版と併せて読むのもアリかもしれない。
最後に、「想像しえぬものが、想像された」という帯を考えた編集者? にも喝采を。
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楽器?をモチーフにしたSFに対し、あらすじを読んだだけでは面白さがわかりませんでした。
しかし、読み進めるにつれ物語に強烈に引き込まれました。
想像は無限であり、凄まじい力です。
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よくわからなかったけど
ステレムフレッシュ自体が
自分たちを人間と思い込んでるって部分だけが
今の洗脳された未来観に左右されてる
日本人が当てはまり
だからこそ零號琴を破壊せよ! なんだろう
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前情報は一切知らず、帯の「假面」「古の巨大楽器」「秘曲」に惹かれて購入。目に浮かびやすい、SF的な異国の情景も楽しい。しかし読み進める内、グロテスクな印象に心拍数が上がる。神話や物語を想像させられて生かされていたという梦卑の存在に、ゾッとした。その在り方を強いてきた過去の人間にこそ、もっと嫌悪感を感じる筈なのに何でだ?と妙な違和感を持ちつつ読了。そして、解説を読んで納得。私も梦卑と同じ、夢の中に生かされていたのか…と脱力し、著者の意図に敬服。他の作品も読みます。外から見たい!
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傑作である。
オマージュの大盤振る舞いでオタクであるほど面白いはず。
本作で終わらせるにはもったいなさすぎる世界観。続きを読みたい!
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これだけ壮大なスケールの物語を紡ぐとなると、著者が寡作な作家である理由はよく分かる。第四部以降は付いて行くのが困難なほど怒涛の展開が続くが、終盤に差し掛かるに連れ、段々と興を削がれてしまった。解説に依ると、今作は日本SF全般と所謂オタク文化に対する二次創作的な作品であるようだが、パロディやオマージュの元ネタにピンと来ない私は第五部のごった煮感を素直に楽しめず、物語の筋道も結局のところ一本道なので、派手な作風の割に退屈な作品だった。勿論、このイマジネーションの洪水が魅力的なことは紛れもない事実なのだけれど。
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読み終わったあとに、もう一回、読み返したくなる。
スケールが大きくて、設定も細かく、把握しきれなかった箇所が結構あるだろうなぁ。
假面、假劇、秘曲零號琴、亞童。おもしろい要素がふんだんにつめこまれておりました。
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2023-04-17
連載で読んでいたのとはかなり印象が違った。もちろん推敲されていることも大きいのだろうけど、一気読みすることでより祝祭感が際立ったように思う。
モデルというか元ネタもじわじわ迫ってくる。言葉による幻惑を堪能した。
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SF的想像力
理解しようとしてはいけない
音で感じる。
読み方の難しい漢字も勝手にイメージで読んでしまう度胸が大切。
「音」とは波動であり「空気の揺らぎ」である。人は脳を通じて「音」を認識する。
ドタバタ的アクションSF物語なので、そのものでも忙しく楽しい。
か、「SF的想像力」を駆使して深読みすると、なかなか難物となる。
あとがきの解説には助けられた。