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本の表紙がなんとなく今までと違い読み出すのに時間はかかったが読み始めるとスルスルと読めてしまいました。折り合いがつきにくい気持ちの機微を丁寧に書いてある作品。もう新しい話が読めないと思うと寂しい。。
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冴えない会社員の広志にできた彼女は色白でとびきり可愛い“ばにらさま”。彼女は、バニラアイスみたいに冷たい…。痛くて、切なくて、引きずり込まれる。日常の向こう側に見える心のあり様を捉えた6篇。
気持ちがすっきりしない。
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6つの短編集。
タイトルの「ばにらさま」は、モテない僕の恋人が白くて冷たいからバニラアイスにたとえている。
こういうの今どきの彼女なんかな?
何を考えているのか何も考えてないのかよくわからない2人の恋愛と破局。
「わたしは大丈夫」は、ただただ倹約生活をしているちょっと疲れた主婦かと思いきやそこに至るまでの過程が凄すぎて恐い。
「菓子宴」は、浮き沈みの激しい娘に振り回されている母。
血が繋がっているとどうしても放っておけない、気になって仕方がない…。育て方が間違っていたのか、自分が悪いのか、本当は独り立ちしてしっかりと生きてほしいのが本音。
だけど言えないもどかしさ。
「バヨリン心中」は、祖母が語る若き日の恋愛。
一目惚れのような感じで自分からグイグイと行動してしまったあの頃。
2011年の震災が無ければ、ずっと一緒に暮らしていたのか?
どうなるのかわからないのが人生。
「20×20」は、まさに著者のことなのでは…
仕事場にしているマンションの隣人たちとの日々。
あんまり深く付き合いたくないオーラが出ているが、放っておいてほしい、と思う気持ちよくわかる。
「子供おばさん」は、中学時代の友人の葬儀に出席した後、遺族から形見として託されたもの。
えっ、そんなのあり…というもの。
いやいや普通は、引き受けないでしょう、辞退するでしょう。
なのに何故⁇
ひとりで寂しく生きるであろう…と思われたのか?
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いずれも何か生きづらそうな人間を取り上げた6つの短編集。著者の遺作となった。
良い意味で意表を突かれる展開のものが多かった。「わたしは大丈夫」と「菓子苑」が特に印象的だった。
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自分とは違う世界を生きている人々が描かれていると思いました。でも、その差はきっとほんのちょっとなんだとは思います。
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9月に発行された物だから遺作という事になりましょうか。小説をよく読み始めた頃は山本文緒さんの作品が読み易くてよく読んでたなぁと思い出す。最近はまた描き始めていたと言う事だったが、残念ながら最近の作品に出てくる女性には少しイラっとさせられる事が多く、あまり楽しめなかった。それでも、もう新作が読めなくなるのは寂しい事です。
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取っておきたかったけど、読み終わってしまいました。山本文緒さんの描く女性像は、どこにでもいそうだけどどこか影を抱えた女性が多かった印象です。彼女たちなりに問題に立ち向かったり、小さな一歩を踏み出す描写に勇気をもらいました。また読後に感じられるほんのりとした希望や温かみ、余韻が好きでした。この作品の中にも、それぞれ個性のある女性たちが描かれており、どこか自分を重ねるように、噛み締めるように読みました。
大好きな作家さんでした。もっともっと読みたかったです。
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山本文緒が好きだ。
初読は『絶対泣かない』。
二子玉川の書店で買って、家に帰るのももどかしくカフェで読んだ。
その山本文緒が死んだ。
『自転しながら公転する』は久々に読んで、いろいろな感想を持ったけれど、
また新作が読めると疑っていなかった。
とてもとても悲しい。
一番好きなのは『バヨリン心中』
3.11の時、国際結婚をしていた夫アダムが祖国に子どもを連れて逃げ帰ろうとするとき、父親の軽トラで空港行きのリムジンバスに突っ込み、子どもを奪還する。
「この子は私のものだ!」
「富士山が噴火しても私は逃げない!」
ここを読んだとき、そのストーリーと関係なしに、
もう、こういうのを書く山本文緒がいない、と思ったら泣けてきた。
「どうせ愚かなら、どこまでも一緒だと思うような愚かさだったらよかったのに」
「写真を見せてもらっても、昔のことすぎて顔も覚えていません。でも、こんなふうだったのならよかった」
恋とは生きものになること。
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6つの短編小説。誰もが抱く人間関係から生じるモヤモヤ感やザラツキ感。心の深層描写に終始共感した。遺作となった本書だが、鋭利な中に愛と光が鏤められていて山本文緒が溢れていた。
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6篇からなる短編集。一番印象的だったのは「子供おばさん」。
最後の二行、私もこの主人公と同じ歳になった時、同じことを思いそうだと思いました。
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追悼の意味を込めて、
読んでみた。
山本文緒さんの話は「自転しながら公転する」がとても印象に残っている。
そんな雰囲気の短編集が6つ。
ばにらさまも良かったが、バヨリン心中が壮絶で迫力のある話だった。
どれも良かった。
大人女性が共感出来そうな本。
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短編集。
う~ん、読み終わっても特に印象に残らなかった。
ただ最後の話はちょっとグッと来た。
決して同じ立場ではないけど、ラストの2行は自分のようだと思った。
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6つの短編。
どれも読みごたえあり。いつもなら、好きなものが2,3編というところだが、今回はあえて気に入らなかったものはと聞かれれば「ばにらさま」かな。
著者の訃報、本当に残念です。
この短編からも様々な年代を見渡すことができ、そしてこの先も同年代として、年齢を重ねるごとにたくさんの共感できる小説に出会えると思っていたのに・・・
心からご冥福をお祈りいたします。
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これが遺作だなんてどうしても受け入れたくなくて、読んでしまったら本当にお別れな気がしてしまい、積まれたこの本になかなか手が伸びなくて、読むのに時間がかかってしまった。
あぁ、そうだ。
わたし、若い時、この人の作品が好きだった。
そのことを思い出した。
この六つの短編を読んでそれをもう一度おもいだしたし、若くない今も好きだなとおもう。
個人的には菓子苑がお気に入り。
山本さんは、中央公論文芸賞受賞のお言葉の中で『ただ腕を伸ばして届く範囲にある絵の具で作品を描くような仕事の仕方をしてきてしまった』と仰っていたが、山本さんの手にした絵の具は単純な色ではなかったし、描いた作品も決して凡庸なものではなく、かといって私を突き放すような偉大なものでもなく、包み込んで赦してくれるような、それでいて叱ってくれるような、とにかく素晴らしい『絵』でした。
最後の作品をこんなにも早く手にしなければいけなかったことがくやしい。
山本さんが残してくれた作品は消えてなくなったりしないから、わたしはこれからもプラナリアや恋愛中毒を何度も読み返して、山本文緒という作家を決して殺すことなく生かし続けてみせるよ。
読者が忘れなければ、いつまでだって生きていられる。今はただそう自分に言い聞かせてる。
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短編集。
立場を知らないと、側から見ると悪い印象を持つ相手が違いますね。
菓子宛・子供おばさんがよかった。
p88体を鍛えて、能力を磨いて、社会の中で価値ある人間として生きてゆく。そのためには睡眠時間などいくらでも削ると言うのだろうか。そして何を獲得してゆくのか。生きている実感なのか、他人からの賛辞なのか、家族との豊かな生活なのか、はたまた享楽と言われるもの全てなのか。
p97大人はみんな知っている。人生のパートナーはこの世で一人きりではないことを。賃貸マンションのように、条件さえ緩めれば、好きになれる相手はいくらでも存在する。問題は親密さを保つ努力や、相手のことを慮る想像力だ。それに加えてひと匙の縁。それが胡桃の言う運命だとしても、小 恋人同士の関係維持はそれだけでは保たれない。それに彼女はただ、自分褒め称え、わがままを聞いてくれ、会いたいときにはそばにいて、会いたくないときには目の前から消えてくれる便利な男を探しているだけだ。
p105「〜アイルランドでは腹が立った時に、ポケットに入れてある小石を右から左に移すと怒りが収まるっていう言い伝えがあるって言って」