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人生の伴侶に宛てた、ラブレターのような作品。
素敵な妻を描いた作品はすごく素敵だ、と思った。
そして、死の間際は誰もが同じ体験をするものだと分かった。
ぼくも、城山三郎も一緒だったのだ。
児玉清さんの解説の締めくくりも良かった。
これからいろんな人に読んでもらうために、この本を持ち歩こうと思う。
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(よくは知らないが)経済小説の雄だった城山氏晩年のエッセイ。図書館での出会いから、子どもを育てながらの日々、脳血管障害で亡くなるまで、自身の妻との日々を綴っている。妻への深い愛がにじみ出ているエッセイではあるが、新婚初夜のことなんかまでかなり赤裸々に綴ってあり、「ダダ漏れ?」と思えるような箇所も。
経済小説というと、ある意味で文学とは一線を画した理性的・無機質な世界のような感じがするのだけど、その第一人者とされていた城山氏がこういうものを書くというのは、ちょっと驚き。巻末の娘さんの解説などを読むと、愛妻の死後、城山氏は心身ともにずいぶん衰えてしまったのだとか。本書はそのようななかで書かれたものだから、精神的にはやや常軌を逸しながら書かれているのかもしれない。素直に、美しい夫婦仲を描いたエッセイだとか、妻への深い愛を綴った云々といった定番の評を受け入れるのは、ちと難しい。
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最愛の妻との出会いから別れが、氏のそれまでの小説における抑制された表現とは違い、感情的で直接的な文章で綴られる。
次女によって書かれたあとがきも心地よいあたたかみが感じられ、作家城山三郎の人間としての魅力、そしてなにより、こうありたいと思わせる夫婦のある理想の姿が心に残る。
感動したわ。。
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年齢的にまだまだ伴侶の死というのは想像もできないが、いつかはその瞬間を迎えるのかと思うと切ない気持ちになった。別れの時を迎えるまで周囲に明るくふるまう容子さん、あたたかく見守る城山氏と家族。もし最愛の人との最期に理想的な姿があるとすれば、まさに本書がそれなのではと思った。
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年甲斐もなく涙。
スタイルは違っても、心と心がずっと重なるような、こんな夫婦になりたい。
最後の時を意識してからでは遅いので。
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今読めて良かった。もう少し歳をとった後では「いまさら」と受け取っていたかもしれない。
家族との忘れがちな関係を思い出させてくれる。
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著者最愛の伴侶、容子氏との出会いから別れまでを綴った手記。
泣けます。
割と軽妙な筆致で綴られているのですが、著者の実娘である紀子氏のあとがきを読むと、その筆致に隠された著者の心情を、否応なしに考えてしまいます。
どんな思いで筆を走らせたのだろう。つらかったのだろうか、いや、むしろ書くことが救いになったのかもしれない。
結局、著者の本当の心情なんて解らないのだけど、それでもこんなにお互いを信頼しあえる夫婦がいたということは、とても微笑ましく思います。
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城山三郎の自叙伝として、さらに彼の人生における亡妻への想い。
生き方に不器用な作者が書いた、妻へ向けた最後のお礼。
城山三郎の遺作となった感動の一冊。
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城山三郎が最後に書き綴った亡き妻との出会いから別れまでの手記。
おそらく、子供が、両親の思い出に一区切りをつけるために出版したのだろう。
城山三郎の奥さんは、かなり「天然」な人だったようだ。
「講演会の時に客席にいた奥さんと目があった時、奥さんは(その当時の人気マンガのキャラ)イヤミ君の”シェー”をしたので、あやうく壇上で笑い出すところだった」
「2人で一緒に旅行する事もあったが、奥さんが旅行に行く理由は”家事をしなくて済むから”」
「癌を宣告された後でも、お気に入りの曲に”ガン、ガン、ガンちゃん、ガンたららら・・・”と歌詞を付けて、鼻唄を歌っていた」
など脱力系のエピソードが豊富。
そのためか、「別れ」の場面であっても、どこか明るい。
(少なくても描かれている様子から想像できるかぎりだが)
おそらく普段から、奥さんに笑わされていたのだろう。
その様子が目に浮かぶようでもある。
それだけに、残された側の「喪失感」は大きかったのだろうが、「悲愴感」は、あまり感じられず、どこか「明るさ」さえ感じる。
それは本書のタイトルも同様。
ただ、タイトルの方は言葉の裏にある「悲しみ」がチラチラ見える感じがするが・・・。
さて、自分が同じ立場になったらどうなるだろうか?
きっと、情けない事になっているだろう。
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児玉清氏の「すべては今日から」が読みかけで、ページを遡っているときに「これ読みたかったんだ」と思い出し、探したらkindleにあったので、即買いして1時間で読みました。kindleの恩恵を受けました。
内容は著者の奥さんとの思い出話を中心とした、著者の半生を綴ったもの。
基本的に微笑ましい感じで進むんだけども、最後の方は奥さんに先立たれた著者の心身の変化が顕著になっていってせつなくなる。特に娘さんが書いている部分。
自分が病床にいるときも誰かのことを思う、著者のような人間でありたいと感じました。
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2013/02/08読了
先に逝ってしまった奥さんへの想い、後に残されたものの切なさがストレートに感じられる。自分達もこういう夫婦でありたい。
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きっと皆さんが思うでしょうが、「素敵な夫婦」その一言に尽きます。
泣けるんだろうな、と思いながら読んだ割に、ご本人の書いた文章は意外にもあっさりしていて、ちょっと拍子抜けしたのですが。次の娘さんの文章に号泣でした。
素敵な夫婦であり、素敵な家族。私もいざという時は、黄金の日々を過ごせたら良いのですが。
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泣きました。泣きました。人間城山三郎を最後の執筆で知るとは。あまりにも温かく、愛に包まれていた幸せな人だったんだってわかる。奥様はおちゃめでキュートな方。こんな夫婦になりたいと誰もが思うだろうな。あとがきの氏の次女の文章もすてき。飾らない温かい家庭だったのだろう、と思う。
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作家の城山三郎さんが、癌で自分より先に亡くなった奥さんを偲んで書いたエッセイ。奥さんへの愛が溢れていて、「幸せな結婚生活だったんだな」とあたたかな気持ちになりました。
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こんな夫婦になれたら幸せで、残された方は想像できないくらい辛いだろうな。
題名に惹かれて買った本。
なので、城山さんの作品を一つも読んだことないので、
どんな作風なのかわからないが、
奥さんを『妖精』と言ってしまうなんて、と冒頭からなんてのろけかと
思い、素敵な人だなぁと思った。
この本を通してでしか、奥さんのことはしらないが、
それでもとても愉快で天真爛漫で、確かに妖精のような人だったんだろうなぁ。
中に載っている『妻』という詩を読んで
最後の3行にぐっときてしまった。
そばにいるのが当たり前の存在で、
とてもかけがえのない存在。
そんな人がいなくなったらどれほど辛いのだろうかと。
読了後、
そうか、もう君はいないのか
という言葉がえぐられる様に胸に突き刺さった。