紙の本
極端な生活に驚く
2023/02/11 14:35
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投稿者:ろろろ - この投稿者のレビュー一覧を見る
現代の便利さや飽食に逆行する様はサバイバル生活そのもの
何もかもが極端すぎて、この部分は真似してみたいアイデアだな、というところは無かった
しかし自分に課したあらゆる条件を守り抜く姿勢は立派だと思った
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一年間お金を使わずに生活を送るという内容の本。
著者が送ったような完全にお金無しの生活を真似る事は難しいとは思うが、カネ、モノに支配されない生活を送るために、自分にも何かできるのではないかと感じることができた。
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「ぼくはお金を使わずにいきることにした」マーク・ボイル著 を読みました。この本で3点の気づきを得たので記録しておきます。
1.本当の持続可能社会とは
持続可能社会を作るために本当に必要なことは(政府の国民年金制度を維持などではなく)石油資源を始めとするエネルギーへの依存度を低くことだろうと思います。著者は1年間お金を使わないで生活することによって、エネルギー依存度の低い生活(石油製品の未使用など)をどの程度行えるかどうかを検証しました。
2.地域社会の中での自給の重要性
彼は森に自生しているものやゴミ箱行きで賞味期限切れ(おそらく健康上なんら問題はないと思う)の食品を譲ってもらってそれを食べています。これは地域と折り合えをつける方法として一番現実的だと思います。最初、私はお金を使わないで生きるという生活者のイメージを「衣食住すべてを自給自足で行う骨太な生活者」と想像していましたがこれは実際には労力の面で現実的ではないと思います。著者はこの点を以下のような言葉で指摘しています。
P268 結局のところ、少人数が互いに依存しあって働くことによって「地域社会の中で自給」を実現するやり方が、一番うまくいくだろうし、もっとも望ましいと思う。
著者は最後にこの金無し生活を1年で一旦終了させ、「お金がいらない暮らしのモデル・ビレッジ」を作るための活動を開始しました。著書の印税を「お金がいらない暮らしのモデル・ビレッジ」を作るための土地購入資金にあてるようです。
金無し生活は一人で行うよりも、ビレッジという集団で実行したほうが機能的分業の効果を期待でき、よりよい成功モデルとなるだろうという考えなのだろうと考えます。
3.お金の意味
私たちはもっとお金というツールの意味を考えないと行けないと思っています。例えば、AさんとBさんが取引をする場合、仲介者の数はお金というツールを介しているが故にほとんど制限がありません。これによって大量の消費・廃棄という、カーボンフットプリントの観点から悪い影響が発生していると考えてよいと思います。お金というツールとしての意味をよく吟味し、お金を使わないという社会を築こうとする著者の考えも一つの選択肢として考えられても良いと思います。
そうすると、著者、マーク・ボイル氏は、現代の森の生活者ヘンリー・D・ソローというよりもインド独立の父ガンジーに見えてきます。
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お金を使わない生活といったら、原始人みたいな、完全自給自足生活かと思ったんですが、パソコンも携帯電話も使ってるんですね。ソーラーシステムで充電して。
いろんなことで予想が外れて意外な思いをし、楽しく読みました。著者自身、苦労もあったけれど楽しんていたようです。
星5つにしようかと思ったけど、カバー写真が迷惑だったので星1つ減点。胸毛もじゃもじゃの半裸男性の写真は、電車内で本を開きづらくします。それでも読んでましたが(笑)
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より中身に忠実なタイトル付けるなら、「カネなしで過ごす1年:フリーエコノミーのすすめ」みたいな感じでしょうか、インパクト無いですが。
本作で語られているのは、環境保護とかエコロジーとかだけではなくて、さらに価値観や生き方についての問題提起だと思う。今思ったけど、見方によっては現代版・出家のススメみたいだ。仏さんこそ信じるわけじゃないが、生臭は食べない(ビーガン)し、カネ使わないと自然に俗世間の諸々と距離を置くことになるし。インターネットがなかったら隠遁生活になるところ。全部真似はできないが、ヒントはたくさん与えてくれる。
同じ考えを持つ人同士を距離を越えて結び付けるインターネットの力はやはりすごい。新しくコミュニティを組織していくこと、カネ至上の価値観からの脱却志向。私も含め世界中の若者が、いま、閉塞感を克服しようと足掻く中で考えていることなのかもしれない。
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「カネ無し生活」についての本です。この本の主題はエコ活動でも節約術でもなく、「無償で与え、無償で受け取る」ということです。著者は現在の過剰消費に基づく環境破壊の根源は人と消費する物の関係が見えにくくする「カネ」であると考えています。よって「売ること」と「与えること」を明確に区別し、カネなしで実際に1年間暮らし、自然環境と調和した持続可能な社会という理想のためのテストをします。これは映画にもなった「ペイフォワード」の実践とも言えます。1年間の生活を終えた著者も、カネなし生活で必要なスキルはサバイバル能力等ではなく、惜しみなく与え、分かち合う力だと行っています。つまり自給自足ではないのです。地域社会との関わりで成立するのです。著者はカネなしによって生じる様々な問題を、人との繋がりによって、フリースキルによって現実的に解決していきます。「人の価値はどれだけ与えたかによって決まる。」とは、近頃常識となっている考え方ですが、この本は消費経済から逸した面からそれを伝えています。
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お金を使わない生活を記録した本です。サバイバル術の紹介ではなく、人々の助け合いがテーマ。無償で与えれば、無償で自分に返ってくるという考え方に感動しました。
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ぼくが思うに、売り買いと与え合いのちがいは売春とセックスのちがいのようなもので、行為の背後にある精神が大きく異なる。p28
「ペイ・フォワード」の法則 p36
「オフグリッド」の生活
バーター取引
贈与経済 p205
カウチサーフィン p217
「閉じた円環のシステム」p255
地域通貨 p266
ダンバー数→150人 p268
[感想メモ]
実践哲学、散りばめられたアイディア
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推薦理由:
現在の消費社会や金融システムに異を唱え、その社会構造を考えなおそうと世の中に訴えるために「お金を使わない1年間の生活」を実践した著者が、その主張と1年間の生活を紹介した本である。イギリス郊外での「金無し生活」の様子を興味深く読みながら、自分達の生活を改めて見つめ、本当に大切な物が何なのかを考えてみたい。
内容の紹介、感想など:
現代の経済至上主義の社会構造は、地球の気候変動や石油資源の枯渇を招く持続不可能なシステムである。その根本を支える「お金」という概念が、不平等や環境破壊や人間性軽視を助長するようなシステムの下敷きになっている。そう考えてフリーエコノミー運動を始めたイギリス人男性が、「1年間お金を使わずに生活する」という実験を通して、お金がなくても豊かに暮らせることの証明を試みた。
貰い受けた不用品のトレーラーハウスを住居とし、業務用オリーブ缶で作ったストーブで薪を燃やして調理する。食料は自分で栽培した野菜や採集した果実、消費期限切れで廃棄された食品を使い、自力で手に入らない必要なものは労働と引換に入手する。移動は自転車。この実験的生活を世間に発信するために携帯電話とPCは使うが、電力は太陽光発電で供給する。厳しい冬の生活などの様々な困難を乗り越えて成功したこの実験はメディアで大きな反響を呼んだ。
必要な物を与え合い助け合う精神を持って地域社会という大きな枠の中での自給自足を目指せば、自然資源を奪い尽くすことなく、持続可能な社会生活を営むことができると著者は訴えている。
日常的に電力を使い、自動車に乗り、お金を使う社会構造の中で生活している我々にとって、お金を使わずに生活するという実験は大変興味深い。著者の主張に賛同できる点もできない点もあるだろうが、このような実験を通して持続可能であり、かつ人間として豊かな生活とは何かを考えてみる事も有意義であろう。
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多少のやり過ぎ感はあるものの考え方は非常に共感した。
一番共感した部分は、以下の文章。本文より引用します。
独立独歩とは近代社会における大いなる神話であることを教えられた。ごく控えめに見つもっても、人間が生命を維持していくだけで、すでにミツバチ、ミミズ、微生物の世話になっている。「完全な自給自足」を望んでも不可能だということに気付かされたのが一つ。さらにもう一つ気付いたのは、ぼく自身、それを望んではいないということだった。ぼくの人生における喜びは、少なからず、地域社会の人とのかかわりによってももたらされているのだ。結局のところ、少人数が互いに依存しあって働くことによって「地域社会の中での自給」を実現するやり方が、一番うまくいくだろうし、もっとも望ましいと思う。
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物々交換の経済って悪くない。では持たざる私はどうやって食らうのだろう。思案の一書になるな。
➡ 読み終えた。 原書も読みたいな。
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無線経済の提唱者。フリーエコノミー・コミュニティの会員は160カ国、3万5000人に及ぶという。著者のボイルは08年から2年半の間、お金をいっさい使わずにくらした。その暮らしの記録が本書だ。
評者の辻信一氏は、「本来、経済とは、自然界から受ける恩恵を共同で管理運営していく方法にすぎない、自然とコミュニティあっての経済だ。しかし、現代人のほとんどが、経済といえば、お金の事で、マネー経済こそがおこの世で唯一の選択肢であるかのように思い込んでしまった」と指摘する。
ボイル氏は、フリーエコノミーとは贈与経済、ギフトエコノミーであると説く。
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私自身、銀行とか保険会社とか、よくよく考えればものすごく不確定要素の上に成り立っている業種で、果たしてこれは信頼に足るシステムなのだろうかと疑問に思うことが時にある。
著者は、そんな綱渡り的な経済のあり方に疑問を持ち、お金に支配された社会に一石を投じたいと、タイトル通り、お金を使わずに一年間暮らすという実験を行ったその記録が本書だ。
結局、彼は2年あまりを同様の暮らしで過ごし、現在はそこから派生した地域社会での自給自足の生活を目指したフリーエコノミービレッジの立ち上げに奔走しているらしい。
彼は完全菜食主義のビーガンであり、環境負荷に可能な限り気を配り自らを制し、それだけみると、極端で半ば宗教的ですらある。しかしながら、悲壮感や妄信的な雰囲気が全然感じられないのは、理想を追い求めつつも現実的なバランス感覚を常に働かせ、自分の置かれた状況を苦心しながらもとことん楽しんでいるからなのだろう。
読みながら、自給自足の暮らしを求めアラスカに単身入り、結局は餓死してしまった、「荒野へ」(ジョン・クラカワー)や映画「into the wild」で取り上げられたクリス・マッカンドレス(彼もソローの「森の生活」を愛読していた)を思い出した。著者が彼と違うのは、クリスは一人で全てをやろうとし、著者の場合は「人と人とのつながり」を最も重視し繋がりの中で生きようとしたことだろう。
そう考えると、人は人とつながることができれば、苛酷な条件であっても生きていくことができるのだという確信にも似た気持ちになる。
著者のいう「ペイ・フォワードの法則」これは訳者も「情けは人のためならず」と言い換えていたが(原書で何と書かれていたのかはわからないけど)、それはまさしく私の座右の銘でもある。
一足飛びに、全ての人がお金を捨て、助け合い与えあいの暮らしができるようになるとは思わないが、見返りを期待しない互助の精神をいつも忘れなければ、もうちょっとマシな社会になるのかもしれない。
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著者が試んだ1年間のお金を利用しない生活の記録。森で暮らす著者の姿から、なんとなくソローの「森の生活」を思い浮かべてしまうが、ソローの実践が独力に近い形であったのに対し、著者は都会に暮らすサラリーマンよりもはるかに社交的で、様々な人々と交流し、「カネなし生活」の日々も互いに助け助けられている。著者がフリーエコノミーの運動をやっていることもあり、このカネなし生活は自給自足の試みというよりフリーエコノミーの実践という形になっている。この本の中では、そんな日々の生活の中で著者が感じたことや、自然観だったりフリーエコノミーに関する考え方が程よく織り込まれていて、楽しんで読むことができた。著者は生活の中で自然の恵みを受けながら、時には人から与えられ、そして著者も他者へ与えることを惜しまない。お金が介在しないだけ、行為は純粋だし尊く感じられるのかも。逆に貨幣経済の中では人との関りや与える事はどこか少し白けて見える。飲み会の金額を気にしたり、労働を時給換算したり、レジャーの楽しみとコストを天秤にかける。気がつかないうちにお金で考えてるし、捉われている。著者はお金に捉われない分与えることに積極的でいられるのかもしれない。
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ソローの「森の生活」以上の感動を与えてくれた本。著者の素朴な感性とユーモアあふれる文章に、笑っぱなしだった。最後の方ではあまりに感激してふと涙がこぼれた。間違いなく、今のところ今年読んだ数十冊の中で最高の一冊。翻訳も素晴らしい。何度も読み返し、これからの生きるヒントにしたい。