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世界で出荷される半導体 2020年 1兆360万個(1980年 320億個)
中国35% 北米22% 日本8% 欧州8%
市場規模 5000憶ドル(2021年)
アメリカ半導体サプライチェーンの欠点は製造分野
アリゾナ半導体工場 2024年稼働 ユーザーはデトロイトの自動車メーカー
TSMC 120憶ドル 5ナノ、インテル 200億ドル、サムスン電子170億ドル
米通商法232条 1962年 国家安全保障のため鎖国をめざす?
中国TTP参加? RCEP(日/中/韓/ACEAN/Au/NZ)には抜け穴
欧州産業戦略 デジタルコンパス
コロナ復興基金の2割 1500億ドルをデジタル産業へ
2030年半導体世界シェア2割へ
オランダASML EUV露光装置 バックにIMECのオープンイノベーション
TSMC 売上5兆円(2020年)設備投資3兆円
2019年経済制裁前 5割がアメリカ、2割が中国ハイシリコン向け
台湾新竹で3ナノを量産、2ナノも建設中 南京工場12~16ナノ
欲しいのは日本のメモリー設計エンジニア
中国SMIC
深圳に23億5000万ドル 28ナノ工場 禁輸措置に抵触せず深圳スピード維持
東大+TSMC 2019年~
d.lab オープン
RaaS 国家戦略 自動設計で専用チップ開発効率10倍「半導体の民主化」
TSMC熊本工場 2024年末 稼働 1兆円
NTT IOWN(アイオン)構想 伝送容量125倍 電力消費1/100
光論理ゲート開発成功 2020年
IOWNグローバルフォーラムをアメリカで登記、中国を排除
人間は3原色、シャコの目は12種の波長を識別し、脳の負担低減
ソシオネクスト 2015年 富士通とパナソニック統合
カスタムメイドのロジック半導体 開発設計 自動運転ロボットカーに採用
依頼は8割が海外から 大企業だけでなくスタートアップも
シンガポール経済開発庁EDB
データセンターを誘致することが安全保障政策
半導体工場 マイクロンNANDフラッシュメモリー 売り上げの1/3
製造機器メーカーも含めたバリューチェーンに着目
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筆者は優れた国際報道をした記者に贈られる「ボーン・上田賞」の受賞者。ジャーナリズムの観点でも十分ドラマティックで刺激的なのだが、分析と提言がすばらしい。2023年に話題になった「半導体戦争」(クリス・ミラー著、ダイヤモンド社)と併読すると、半導体をめぐる国際政治・地政学と技術トレンド、人間模様それぞれの解像度が一段と上がる。
半導体戦争もそうだが、ベースとなる感想はアメリカ恐るべし、モリス・チャン恐るべし、だ。日本への提言はおそらく著者の知己の経産省幹部らとの議論もふまえてのことと思われる。提言にある環太平洋半導体同盟などは対中国でみても必要性はわかる。その前の章のシンガポール、コーカサスの事例も興味深い。日本には半導体材料など素材・化学の分野で世界的に高シェアの企業は多い。日本なしではできないサプライチェーンをいかに磨き、冗長性があり、堅牢な仕組みにしていけるかが肝要なのだろう。
日本はかつて通産省が産業構造の変革を主導して成功したという歴史(一部は神話?)があり、その後はおとなしくなった。今起きている日本国内でのTSMCやラピダスの動きは世界が半導体重商主義といえる状況になる中での日本の目に見える対策なのだろうが、米中だけでなく韓国や台湾、ヨーロッパの友好国との連携と競争になる。これらを支えるには政治の安定と周辺産業の高度化・集積が不可欠だろう。
後者については、スタートアップ育成、その前の段階の教育・研究が重要であり、本に出てくる東大の黒田先生の取り組みが広がることに強く期待したい。同じく本に出てくる小池氏は日立と台湾UMCのファウンドリー合弁の挫折からラピダスの社長についての再挑戦だ。東芝にいた舛岡富士雄さんもご健在。日本の半導体の1990年代からの凋落からの復活戦で、世代を超えた挑戦に期待したい。
前者については、アメリカが「もしトラ」の前提ではなく、「すでトラ」と構えて、東アジアでは韓国のユン政権、台湾の頼次期政権との政治の友好関係を揺らぎないものにしておく必要があると痛感した。日本の政治が揺らいでいる場合ではないなあ。
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国際政治と半導体業界の現在が分かりやすく解説されていた。
業界に関わる者としてマストな内容であった。
技術が政治で足踏みしてるのはなんだかもどかしいですね。
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司令塔になったホワイトハウス
始まりはルースベルト・ルーム
もはや半導体はコメではない
新・冷戦の戦略物質
1 バイデンのシリコン地図
砂漠の磁力―アリゾナに集結せよ
サプライチェーン改造
欠けたパズルのピース
膨れ上がる補助金―産業政策の競争が始まった
2 デカップリングは起きるか
制裁の深層
ケネディの遺産―米通商法232条
家事を起こしたのは誰か
「韓国を締め上げる」
3 さまよう台風の目―台湾争奪戦
藪から出た巨人
メルケル転向―主戦場は南シナ海
TSMCが見る日本の価値とは
迫害から生まれた「半導体の父」
4 習近平の百年戦争
ファーウェイの胸中
自給自足の夢
飢えた狼は生き残るか
紅色供応鏈
100倍速の深圳スピード
5 デジタル三国志が始まる
米国の「鎖国」
中国の「自由貿易」
欧州の黒子たち
6 日本再起動
東大とTSMCが仕掛けた起爆剤
動き出した自民党
誘致の収支決算
光と電子を混ぜる
7 隠れた主役
ウエスタンデジタルの深謀遠慮
「富岳」チップは戦略物資になるか
ロボットカーの正体
8 見えない防衛線
イージス・アショアー舞台裏の興亡
シンガポールの秘密
秘境コーカサスのシリコン・マウンテン
終章 2030年への日本の戦略
環太平洋半導体同盟
描く・つくる・使う
シリコンサイクルを破る
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昨今の世界的な半導体不足が報じられる中、半導体のビジネスがどのような業界構造になっており、それがどのような環境変化によって今に至る供給不足を発生させているのか、その全体的な見取り図をコンパクトに提示してくれる良書。
とかく半導体はそもそも極めてバリューチェーンが細分化されている点で他の電子機器や素材ビジネスと大きく異なり、かつ産業材ということもあり、なかなか一般消費者にはわかりにくいビジネスになっているが、その構造なども含めて、今何が起きているかが整理されている。自身も知らなかった、理解できていなかったポイントが幾つもあり、非常に読んでよかったと思える1冊であった。
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地政学という地理的な視点を半導体という新たな視点から見て、現状の世界情勢を分析しており大変面白い内容だった。
昨今、世界的な半導体不足に陥っており半導体がいかに重要なものなのかを身をもって感じている方も多いと思います。(リードタイムがありえない長さになったり)
一時日本は半導体の分野で世界をリードしてきたが、今はその面影がないほど落ちぶれている状況。しかし、今後日本の世界的な発言力を増すためには半導体に関わるサプライチェーンのチョークポイントを抑える必要がある。これは裏を返せば資源に乏しい日本にも希望があるということ。モノづくり大国日本の再建は重要課題だと再認識させる書籍だった。
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少し前までは半導体不況だったのに今や半導体が政治的駆け引きに使われているという。その中で日本は製造装置や原料で一定のプレゼンスがあるものの、付加価値の高いものではなさそう。自由貿易で世界は協調しているという前提を信用できない中、自国のバリューチェーンを確保しようとする動きは理解できるけど、シリコンサイクルは今後もあるだろうし、次の不況時にはどうなるんだろう。
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半導体はただのビジネスで扱う電子製品ではなくて、国防をも左右するもの。日本は半導体ビジネスに遅れをとった以上のビハインドを背負っているということがわかった。NTTのIOWN構想、どうかモノになってほしい。最近読んだ中では最も地政学を学ぶことができた本。
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半導体不足で車の納期が遅れてるなんて世間話を、美容院でしていたら、
「ところで、半導体ってなんですか? っていうか、どんなもんです?」
とおもむろに、店のオーナーから訊かれた。
正面切って訊かれると、一瞬、答えに詰まるが、電子回路に組み込まれるもの、書いて字の如し、条件によって電気を通したり通さなかったり、「良導体」と「不導体」の中間の物質という、当たり障りのない回答をしたが、実際のところ良く判っていないのが正直なところ。
なので、髪を切ってさっぱりしたところで、すぐ近くにある書店に立ち寄って、半導体についての本を探したところ、パっと本書が目に入って、手にしたもの。
あまりにも、常識だからなのか、本書でも定義としての「半導体とは」という説明はあまりされてなく、終盤のほうに、やっと以下のような文章があった。
「私たちが半導体というときは、電子回路を詰め込んだチップを指すのが普通だが、そもそも半導体とは物質の種類の名称である。(中略) 半導体を土台につくるチップには、いくつもの種類があり、機能や技術はかなり違う。大きな括りとしてはデータを記憶するメモリー、データを使って演算するロジック、ものを動かすパワー半導体などがあり、物質としての「半導体」が素材である以外は、まったく別物の物質と考えた方がいい。」
分かったような、分からんような。
ともかく、今は、デジタル化が進む時代において日常生活に不可欠の物質であることは間違いない。
それに本書のタイトルにもあるように、「2030」や「地政学」と言った、昨今ホットなキーワードと絡めて語られるほど、その重要度が、生活レベルを超えて、国家戦略の中でも比重を高めてきていることが、上手に語られている。
単にコロナ禍で、という理由だけでなく、米中対立の要因のひとつでもあり、中国のシーレーンへの異様なまでの固執、覇権の拡大意欲の背後に、半導体バリューチェーンの存在があるのか!と刮目させられる。
台湾の生き残り戦略として、デジタル、IT化が目に見えて突出していると思ったが、そもそもバリューチェーンの根幹をなすファブリックの世界的最先端を国内に有しているのか。
そうした背景から、国際世界が、自由貿易から保護貿易へとシフトしていっている流れも、トランプ元大統領のアメリカ・ファーストという自国だけ良ければOKという単純な発想が今も亡霊のように生き残っているのではなく、複雑化した半導体のサプライチェーンの要衝を戦略的に国家の支配下に置かなければ、経済の安定と競争力を保てなくなる、ひいては国家安全保障の問題にも関わってくるという世界規模の話になっている。
20世紀には「半導体大国」と呼ばれていた日本。かつて世界の市場を席巻した勢いはどこへやら、今は、米、中、韓国、台湾の後塵をはいする立ち位置だが、目下、水面下で政府、大学、企業による動きも見られる。日本における半導体産業の復興も夢物語ではない。
こうした大きな物語を語って聞かせてくれる一方で、記者でもある著者のスタンスなのだろう、関係者個々人にもスポットを当ていく。中国に制裁を喰らったファーウェも国家と大企業という枠組みの中ではあるが、その時、対応した個々人の感情にまで触れて描きだす物語が実に面白く、卑近な喩えではあるが、かつてのNHKの「プロジェクトX」でも視ているような気にさせられる。
世界規模の大きな蠢動も、行きつくところは「人」の物語なのだろう。新聞記事の表面的な報道からだけでは読み取れない奥の深い記述が楽しめるのも本書の大きな魅力になっていると思う。
今度、美容院のオーナーに半導体って何?って訊かれたら、
「世界を動かす戦略物質ですよ」
って答えてやろう。
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「国々が覇権を競い合う国際政治のゲームを、半導体を通して眺めてみたいと考えて書」かれた一冊。日頃ニュースを通じて何となくは聞いたことがあった各国の半導体政策について、しっかりと整理されている。
半導体は、単なるハイテク部材、貿易商材の枠を超え、国家の存亡を賭けた戦略物資なのだということがとてもよく理解できる良書。将来的にはこのあたりに携わる仕事もしてみたいと思った。
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とにかく台湾のTSMCが製造において最強。
どれだけ設計ができてもそれを実現しうる製造環境がないと競争に勝てない。
そんな中、原子レベルの小ささで生み出す技術があるのは未だTSMCのみ。
これもあって、台湾という地域が、アメリカか中国どちらがとるかといった要所になっている。
半導体という観点からも、台湾は地政学的要所であるのは面白い。
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ー TSMC誘致に米国が使った武器は3つある。
まず、巨額の補助金。米政府は半導体産業をテコ入れする目的で、5兆円を超える予算枠を確保している。米政府と議会は、外国企業も補助の対象にできる文言を法案に忍び込ませていた。貿易をゆがめる政府助成を禁じたWTOルール違反ぎりぎりの線を攻めている。この時点で日本政府が用意できていた予算は500億円にすぎず、米国と2桁も違う。補助金では完全に負けている。
第2の米国の武器は、国内の市場。中国に追い抜かれたとはいえ、米国の半導体の需要は世界全体4分の1を占める。巨大なデータセンターを抱えるGAFAなどの情報端末メーカー、自動車産業、そしてTSMCに製造を委託する有力なファブレス企業はすべて米国内に揃っている。TSMCの売り上げの6割は米国向けだ。日本の大口需要家といえば自動車と電機業界の一部くらいだろうか。市場の面でも米国に太刀打ちはできない。
3つの目の武器が最も強力だった。台湾に対する脅しである。中国の軍事力から身を守る防波堤となり、経済的なつながりが深いのは米国だ。米国が見放せば、台湾はあっという間に中国に呑み込まれてしまうだろう。台湾当局とTSMCは、米国の要求を無下に断ることはできない。TSMCにとっては、コスト面では米国への進出は得策でないが、経済より政治の力が強かった。米政府の凄みが工場進出の決定打となった。日本の台湾へのテコ入れは強くない。友好的な関係にあるとはいえ、台湾企業が日本政府に義理立てしなければならない理由はない。米国との競争で、ここでも日本政府は苦しい立場に立たされていた。 ー
米中貿易摩擦とか、熊本に工場ができるとか、アーム社の存在意義とか、よく見かけるニュースの全てが繋がっていることが分かる作品。
単に経済的、技術的な問題なのではなく、“国防”という地政学的な意味の断面があることがよく分かる。
製造工程や各工程における主要プレーヤーなどが詳しく書かれていて勉強になるし、サプライチェーンマネジメントってある意味戦争なんだな、と考えさせられる。
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良書 まあサクサク読めました。ちょっとまとまりがなかったかも。
結論は、半導体のカスタム製造を手掛けている台湾のTSMCのために、台湾が地政学的に重要な地域になっている。世界は、TSMCの工場を自国に作ってもらうために躍起になっている。
TSMCは世界に類を見ない優秀なファウンドリー(半導体を受託生産する企業)である。
微細加工技術の雄:回路線3ナノを量産できるのはTSMCのみ。
前半は、TSMCをめぐっての、米中独日のせめぎ合いを描く。
後半は、半導体産業の全体を俯瞰し、その概要を説明する。
<半導体関連企業>
ウエハー製造 信越化学、SUMCO
ウエハー薄膜形成装置(PDV,CDV)、研磨装置製造 アプライドマテリアル
完成半導体検査装置 KLAテンコール
エッチング装置 ラム・リサーチ
ファウンドリー ①TSMC 60%、②サムスン電子 13%
EDA(半導体設計ソフト)イノプシス、ケイデンス(ECAD)
マイクロンテクノロジー
メモリ キオクシア、ウェスタンデジタル
イメージセンサー SONY
光電融合素子 NTT、富士通
マルチメディア TI
ロボットカー ソシオネクスト
パワー半導体
MPU インテル、AMD
カープラットフォーム トヨタ
5G ファーウェイ
組み立てパッケージング キューリック・アンド・ソファ・インダストリーズ
目次は以下
序章 司令塔になったホワイトハウス
Ⅰ バイデンのシリコン地図
Ⅱ デカップリングは起きるか
Ⅲ さまよう台風の目-台湾争奪戦
Ⅳ 習近平の百年戦争
Ⅴ デジタル三国志が始まる
Ⅵ 日本再起動
Ⅶ 隠れた主役
Ⅷ 見えない防衛戦
終章 2030年への日本の戦略
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2022/04/01 読了
#読書記録
#rv読書記録
国家の防衛戦略の見方が少し変わるような本だった
意外と(?)バイデンや米国は強かなんだなと印象だし、日本も遅れはとっているものの頑張っているんだなと(甘利がでてきたのはかなり意外、結構しっかり日本の将来考えてたんやな〜って)
半導体自体への理解はなかなかこれだけでは出来なかった、他の本も読みたいなーと
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経済安全保障の面でも、部品という視点でも、半導体の重要性を全く認識できていなかった。
また、わかりやすく国際政治にも絡めていて、イメージが湧きやすい内容だった。
日本のこれからの行く末をも左右しかねない半導体産業を今後追っていきたい。