紙の本
まずは知るところから
2021/12/16 15:56
7人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴー - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本人は死刑を肯定する人が多いというが、死刑に関する詳細は非公開で、ごく一部の関係者以外に知る人はいません。
ほとんどの人が、知らないのに憶測でその是非を論じているのです。
また、事件の内容も被害者の心情もさまざまであるのに、「被害者救済に死刑が必要」というのも乱暴な話です。
重大な問題なのですから、先入観で決めつけるのではなく、まずは内容を知り、つらい立場にある関係者の立場を考えてから論じてほしいと思います。
紙の本
とても分かりやすい
2022/01/27 20:11
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:飛行白秋男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
関連本は多く読みましたが、この本は最高です。
死刑囚、被害者家族、関係する学者や官僚のインタビュー、海外の死刑廃止国の官僚のそれ、偏ってなくて、感情的でもなくてとても信頼できる内容でした。
多くの人に読んでいただき、死刑という刑罰の必要性、執行する刑務官の精神的負担、被害者家族の感情、等々考えるきっかけになってもらいたいです。
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2021/12/23リクエスト2
死刑執行が当日の朝知らされる、というのも、懺悔室があり、そこでかんたんなお菓子飲み物を飲食できることも、何となく知ってはいた。
でも、足元の床が抜け、下に落ちる死刑囚をぶらぶらするのを受け止める係があるとは、知らなかった。
これは、どんなに辛い仕事だろう。
職務的に、かなりの少人数で行い、しかも人に話せない。
このような話が出てくるのは、刑務官が退職後、口を開く人がいるからで、そうでなければ知ることのない世界。
人がここまでのダメージを受けて、それでも絞首刑でなければいけないのだろうか。
改めて大変な仕事につかれている人もいるのだと痛感した。
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死刑囚の執行までの日々の生活、執行を行う法務省や拘置所の人々、教誨師、犯罪被害者の心情など、タイトルどおり、死刑に関するリアルな内容を提供してくれる。本書内で明らかにしているように、著者は死刑反対という立場であり、そのせいか、世論調査の数字の見方などでは若干バイアスがかかった表現のように感じられる部分もあるが、全体的には冷静な筆致で、分かる範囲で事実を書いている。死刑囚に対して行われたアンケートや、犯した罪を深く反省する死刑囚やその被害者家族の話を聞くと、凶悪犯罪に対して応報刑を科すべきとか、犯罪被害者の気持ちは他人には分からないと主張する死刑容認論者の意見のみが正しいとは言えないように思えてくる。
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死刑をめぐるさまざまな立場の意見をまとめた新書。
筆者の書いているとおり、普段、私たちは死刑がどのように行われているのか、死刑囚がどんな生活をしているのか、彼らの刑の執行までどのような人が関わっているのか、知ることはない。法務省の役人から被害者遺族、教誨師、世話係まで、いろいろな立場の言葉を読むことができ、勉強になった。
筆者の立場は明確に死刑廃止で、文章の切り取り方からもそれが見える。関係者の言葉を読む限り、死刑についてもっと議論し、廃止も含めて検討すべきなんだろう、ということに対して疑義はない。
だが、一般市民としては、被害者のことをどうしても考えてしまう。被害者は命を奪われて口がきけないので、このルポには当たり前だが出てこない。被害者遺族も登場するが、最初はやはり死刑を、と思っていて、長年の加害者の努力により、感情が変わって来た遺族だ。被害者となった人は、ほとんどの場合、ごく普通の生活を送っていた一般市民で、命を奪われるようなことをしていないのにも関わらず、加害者の意志により落命している。もし自分が被害者で、もし死後も自意識みたいなものがあるとしたら、私は許せるだろうか。もっと生きていたかった人生を理不尽に奪われて、加害者は(幸せとは言えないけれど)生きているのに、なぜ、と思ってしまうのではないか。事故や災害の場合は諦めもつこうが、殺人で、恨む対象がいる場合はそうもいかないのではないか。
反発心かもしれないが、読めば読むほどそう思えてしまって、筆者の主張に素直に頷くことはできない自分がいる。(だからといって、今誰かに自分が殺されたとして、その誰かに死刑になって欲しいとも思えないのだけれど。)
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日本が死刑に関してあまら情報開示していないように、本書を読んで多くのことを知った。正直序盤までは死刑には賛成だったが、死刑囚の心情以外にも執行人や関係者の心身への負担が大きくなったりする点から、ここまで多くの人を巻き込んで全員が嫌なことをするべきなのか疑問に思った。
国際的な評価を気にして、死刑制度を見直す日本政府は想像できるが自分達が発起人となって見直されることはないだろうなと思う。
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死刑制度についていろいろな方の立場から取り上げたもの。人の命を突然奪った人が人権を主張するなと、自分も例に漏れず応報的な考えだったけど、本当に反省している人は刑を受け入れ、そうでない人は再審を請求したりして執行を延ばそうとしているという記述を見て、思うところがあった。
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以前他の本を読んである程度知っていることも多いと思っていたが、この本では加害者側の葛藤だけでなく、被害者遺族や加害者家族、刑務官など、死刑にかかわる人たちの葛藤が多面的に描かれていて、視野が広がった。
加害者自身が取り返しのつかないことをしてしまったと自覚して、反省する心情は耐えきれない苦悩なのだと感じた。
そういう人たちに対して本当に死刑執行していいのかわからないという過去の法務大臣の言葉が印象的で、人が人を裁く難しさを痛感した。
何が正しくて、どうすることが正義なのか、全くわからない。
それでも、被害者の苦痛や恐怖、残された遺族の悲しみ苦悩に共感できた時、それがまさに自分の行為によって起こったことだとした時の苦悩は想像するだけて計り知れない。
私自身、殺人経験はないものの、成長の過程で傷つけてきた人たちの顔を、ふと思い出すことがある。
当時は傷をつけるつもりもなく、自分の感情のまま、悪いとも思わずに振る舞っていた言動が、あるときすっと頭の中に浮かび上がってくる。
そして、私が傷つけた相手の辛さを想像して心がとてつもなく苦しくなる。
今更許されるわけじゃないけれど、心から悔やんで二度と同じことはしまいと誓う以外にできることはなく、そういう苦悩を抱えながら人間は成長し、人に対して寛容にそして優しくなっていくような気がした。
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ま、死刑反対論なんだけど。こういう本も読んどかないといけない。
これ読んでも賛成と言えるから、死刑があるんでしょう。
賛成反対は自分でもわからない。
反対理由が、死刑囚が人権叫んでたりとか、模範囚ってじゃあどれくらいいるのとか、残酷なら残酷でない方法探すんでしょうし、まあ、冤罪どうなのって話もあるけど、海外は死刑だけじゃなく他の制度も含めて検討すべきだろうし、福島瑞穂とか、日弁連とか出してる段階で胡散臭いし。
なんつか、賛成派も反対派も、議論を噛み合わせる気がない感じがする。
ただ、世界に合わせる必要もないながら、なぜ世界的に死刑が減ってきて、それで何が起こっているのかも研究する必要はあるんだろうね。これだけ人の命を大切にする日本が、死刑があるだけで野蛮な国と思われるのも面白くないし。
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死刑、日本における絞首刑の現状を説明しながら、その問題を浮かびあげている。
厳罰として、被害者感情を考えると日本人は死刑ありき論が多いが、アンケートの設問の問題も指摘している。
個人的には終身刑が妥当と考える。やはり、絞首刑は野蛮だ。それに関わる仕事しているとしたら、平静ではいられない。
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世論調査では、国民の8割が死刑制度に賛成です。
しかし死刑の実態は知らされず、是非を判断させられています。
死刑囚、元死刑囚の遺族、刑務官、検察官、教誨師、元法相、法務官僚などの人へのインタビューを通して、死刑制度の全貌と問題点に迫ります。
考えさせられます。
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巻末インタビュー含めて、よくよく踏み込んだ、考えさせられる1冊でした。死刑はいろんな議論がある。だからこそ、もう少しオープンにして国民的な議論があってもいいというのは納得。
犯罪被害者はどうしたら救われるのか。死刑は解決策となるのか。もちろん、やったことは許されないけど、オウムの井上死刑囚の反省が少し響いた。
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死刑への賛否は別として、日本人の考え方や人権意識を考える素材として良い素材だと思う。巻末のインタビューでも安田弁護士が述べていることに同感。日本人はわあわあいうだけで、議員への働きかける力が弱い。
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死刑制度について、実際のところどんな手順で執行されるのか、死刑囚や被害者はどう思っているのか、刑務官の苦悩など、インタビューを重ねて書き上げられている。死刑のことをよく知らずにその是非を議論することの無意味さを痛感する一冊だった。こういう繊細な内容はもっと想像力を働かせて考えなければならないと改めて感じた。
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死刑制度にやや否定的な論調であるが、死刑制度について、
・当事者の心情
・制度運営の実情
・制度の是非に関する議論の現状
がまとめられており、死刑制度の基礎的な知識を習得することができる。読者は著者の主張を理解しつつ、自らの意見を持つよう努めながら読むことが肝要である。