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紙の本
問答無用で一気読み。魂鷲掴み。これは、赤飯つきの大漁旗。
2003/11/04 22:45
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投稿者:3307 - この投稿者のレビュー一覧を見る
■ 思い起こせば、300トンたらずのこの船は、赤道を越えて地球の
■ はしからはしまで走り回った。大海原でマグロを追い、世界の港で
■ 骨を休めた。船乗りになって、見るもの聞くものが、新鮮で刺激的で
■ 感動的だった。意外なことに、船の中には自由があり、自分自身に
■ 責任を持ってさえいれば、誰からも何も言われることはなかった。
■(——P268)
大収穫。喜びで吹き飛ばす、
2000年11月の単行本刊行時に読み損ねた痛手。
■ 陸の人たちは、漁船の居住区なんぞ、酒ビンが転がっていて、
■ 汗臭くて、と想像することだろうが、とんでもない。冷暖房完備、
■ 青いジュータンにチェックのカーテン。ビジネスホテル並みと
■ いったらいささかオーバーだが。
■(——P038)
淡々と語られる事実の強さ。思い込みを覆される快感。
さして興味を持たず知ろうともしなかった分野だけに、
一気に引き込まれる喜びは強烈。まさに望外。
30歳を目前に生き方を変えようとした著者。
もう一度ゼロから始める姿、これぞ成長物語。
仲間の和を乱せば生きて帰れない集団生活、育つ友情。
「海に落ちれば死ぬ、生き死には運、自分だけは大丈夫」と、
自らに言い聞かせ、海の男は過酷な労働を生き抜く。
漁に出れば2年は帰れない。タフな彼らでさえ
どれほど望郷の念にかられるのか。
「苦しい辛い」と書かずに淡々と語るから、しみじみ伝わる。
そして、料理。一日四食、最大で唯一の楽しみ。
こんなに、腹に染みる本は久しぶり。「食べること」を
シンプルに「生きる力」として見せる、日向の力。眩しい。
読みこぼした名著にもう一度光をあてる、文庫のありがたさを痛感した一冊。
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