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賢者の愛を読んだ時のことを思い出した。
山田詠美は、感情の憎悪の部分を細かく描写するのが上手いなあと過去にも思ったんだっけ。
一応フィクションだそうだが、数年前に取り立たされた事故(事件)だったし
どこかで聞いた犯人の生い立ちだったし、
なんなら東京の足◯とか兵庫の尼◯とかでよく見聞きするような生々しい内容だった。
生い立ちが凄惨だった場合、そこから打破するのって難しい。親を反面教師に強い気持ちで勉学に励めればいいけど(琴音の兄、勝みたいに)
どうしても負の連鎖は続くし、多くの人は脱却する術を知らない。「人生こんなもんだ」って嘆きながら同じような境遇の人と結婚して他の世界を知らないまま親になり、子どもにも伝播していくんだと思う。
一言で言えば親ガチャの末端。
幼児を育てる親として、身につまされる思いで読んだ。
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実際にあった悲しい事件をもとにしたものなので、分かってはいたけれど一切救いはなくて読後感は辛い思いになった。
地獄の歯車には抗えないものなのかな、人間って。大小なりとも皆あるんじゃないかな、負の歯車が。どこかしら錆びてたり、軋んでたり。でもきっとこの人たちの歯車はもうどうしようもなく壊れ切っていて回るたびに阿鼻叫喚を轟かせてたはずなのに。色々と深く考えてしまう、否応なしに考えさせられてしまう。
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珍しく文庫を待たずにハードカバーで購入したもの。山田詠美のファンだけど、これは良い意味で山田詠美らしくない作品。でも、山田詠美にしか書けなかったとも思う。
それだけ大切に、出来るだけ事実に基づいて書かれたのかと推測した。女性として、母として生きることの難しさ、子育てが容易に女性を孤立させてしまう怖さ、母親を愛を求める子どもの純朴さ。
彼女は十字架を背負って生きていく。少しでもその重荷を一緒に背負ってくれる人たちに出会えるよう祈るばかり。
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お正月に読む本ではありませんでした。
どこからがフィクションなのか分かりませんが、これが現実の話だとしたら救いがありません。母も子も、余りにも可哀想すぎます。不幸な生い立ちがまた不幸を呼ぶだけではないのは母の兄を見れば分かりますが、そこから抜け出すのは相当の覚悟と運も必要。そして、一旦落ち始めると止められるのは最初のうちだけ、直ぐに勢いが付きそうなると這い上がるのはもう難しい。このような境遇から救うために社会保障や福祉とかってあるのではないのでしょうか。
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辛い時、周りを見渡せば助けてくれる人はたくさんいるのに、
当の本人はそれに気付かない。気付けない。
何とか自分の心を保とうと、妄想や逃避してしまう。
とても身に覚えのある状況で苦しくなった。
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2010年に大阪で起きたネグレクトによる二児餓死事件をもとにした小説。
母親、祖母、子供たちの視点から繰り返し語られるので、それぞれの事情やその時の気持ちがすれ違う様子がわかり、苦しく、読むのが辛かったです。
今もどこかで助けを求められない母親や虐待に苦しんでいても声をあげられない子供達がいるかと思うと本当に辛いです。
母親一人が処罰され責められるけれど、一人の問題ではないということを理解し、助けを求めたり助けやすい社会の仕組みがもっとできることを願うばかりです。
家庭のことだから介入が難しいことも想像できるので、そのためにはどうすればいいのだろう。
この事件から12年経つけれど、同様のネグレクトや虐待による死亡事件は無くならないのが悲しいです。