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4話からなる。
毎度、お目付け役の活躍が、いい。
「大縄地」
大縄地とは、幕府の下級役人に与えられた屋敷用の土地の事であり、別名 「組屋敷」と呼ばれる。
一括で、配給された持筒三組用の土地を与力や同心全員で、分けて使っているのだが、・・・
その中の一人保田庸蔵が、借金まみれになり、その後の仕事を、「合力」の名目で、金を出して同心株を買った坂下増次郎。
しかし、この借金が、座頭金を含めると膨大な金に。
元金の四割増しなるなんて、・・・
本間柊次郎の采配で、保田庸蔵は、幕臣の身であったので、切腹の沙汰、そして、道座の者は、検校が、仕置きを。
この当時は、身体障碍者の金貸しの利息は、決められていなかったのだと、知った。
「下馬所の守り」
大手門の前に、馬と一緒に家臣が、待機する所では、何時間も、待たなくていけない。
ここから、「下馬評」の言葉が、出来たのだろう。
その下馬所に小原孫九郎の家臣たちは、整然と並んでいたところに、ちょっとした騒動が、あった。
捕まえた中間の長七は、以前 養子の山根茂治郎の家中であった。
奥方の初枝から、息子を伯父へ避難させて・・・と。
茂次郎からの暴力を受けて居り、母子は、ひどい目に当ていたのだった。
偽養子の謀。
妻の方から離縁状を出すのに、小原のお目付けの温情が、あってこそ出来た。
「切腹」
息子の冤罪をはらすため、師走の寒い中4時間もの間、十左衛門の屋敷脇に座り込んでいた向山征右衛門。
向山が、息子の罪の経緯を知りたいと、同輩の屋敷を訪ね回っても埒が開かず、息子は捕らわれたまま、1ヵ月後、切腹して果てたと。
越訴の前に、「駆け込み訴え」をしていたと聞く。
目付ヘ持ち込む前に、大目付駆け込み訴えの方へ持ち込んでいるので、厄介な事になってしまった。
十左衛門は、大目付の東崎甲斐守ヘ 駆け込みの件は、幕臣の一件ゆえ、これより目付方で、調べるようにと命じて貰えるようにして、正式に、普請こうじの見積もりの二重帳簿で、足場の材木の代金を書き換え、甘い汁を吸っていた石渡越前守と須藤備前守の2人は、処罰されることに。
そして、向山の息子を冤罪に陥れた経緯も白状。
向山は、息子の雪辱を果たし、家督も息子の嫡子へ引き継がれることになった。
良かったと、思われるけど、亡くなった者は、この世にいないのは、人一倍 責任感のあった息子を亡くして、父親として寂しい事だろう。
「御用聞き」
四千石の旗本 江川又左衛門が、他家の妻女を奪って妾にしたとの噂を聞いた 目付の赤堀小太郎。
調べていくうちに、江川が、嶋仲検校と謀をして、検校の傘下の座頭に高金利で、貸付をして、それを又、幕臣武家をカモにして、金儲けをしていたのだ。
利息の上限なしで、金貸しの出来る当道座の盲人達と暴利で、悪辣に儲けていたのは、詐欺であり、死罪に。
その時に、連座される妻子、そして、家財没収で、妾の家等の事も、赤堀は、色々、親身に尽くしてやる。
4話共、目付の仕事の素晴らしさが、心に残る。
しかし、これだけの仕事の内容を調べるのに、著者 っ藤木桂氏は、どれだけの文献を読んだのだろうか?と、ふと、思ってしまう。
読者は、なにげなく読んでしまっているけど、3話の「切腹」の「越訴」と「駆け込み訴え」等、違いが、一つ間違うだけでも、お叱りがある事など。
目付役の登場人物の良さも、心深き人ばかりで、好きである。
今度は、9巻を楽しみしてる私である。