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春に読んだ「存在しない女たち」は、世の中は事実上男性中心主義であり、女性というのは全体としてまともに扱われていないことをたくさんのデータ(の不在)を元に論じていたが、ここで扱われている内容もまたその一端かもしれない。
ASD(自閉症)は男性に多いものだと言われてきたが、実は男女で特性の現れ方に差があって、検査などでも女性は見過ごされてきている場合が多いだけではないか、という話。翻訳した堀越英美さんのあとがき(web公開)や「群像」に書かれたエッセイを読んで、ちょっと他人事じゃないという直感があり、すぐに手に入れた。
具体的なことを知れば知るほど、「男の子」の典型とか「女の子」の典型とかいうのがほんとうにあるのかわからなくなってくる(実際、あくまで「傾向」「スペクトラム」だし、最近は「モザイク能」という言い方もでてきたが)。自分や身の回りで思い当たる項目があまりに多すぎて、標準と例外のような扱い方ができるほど圧倒的に偏っているのかどうか「定型(typical)」と「非定型」の比率はどんなものなのだろうとも思った。
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今まで出会ってきた数多の人たち(ただ知っているというだけの人から、きわめて身近な親族まで老若男女問わず)の中に、これはちょっと生き難いだろうな、という特性を見受ける人たちが、ままいらして。
私自身も他者から面白い人とか変わってるとか、しばしば言われることがあるほうですが、次元が違うような。
その特性は何処からきたものなのか。
生育環境からくる影響なのか心的外傷からなのか、疾病なのか障害なのか。生来のものだとしても、あまりに突飛な言動をするのは何故なのか。
自閉スペクトラム症やADHDなど聞いたことはあっても、それが一体どういうものなのかを知らずにいて、ずっと気になっていたので、この数ヶ月いくつかの書籍を読み漁っていました。
ちょっと受け入れるには難しかった、あの言動は、ひょっとすると、これ(レッテル貼りというわけではないけれど)からきているのかもしれない、と考えると少し腑に落ちるような知識が書いてありました。
自分のことだってよく分かっていないのが人間で。その人間の思いや言動のすべてを枠にはめて分類できるわけもないのですが。
でもしかし、そのうえでなお、
自分とは違う他者をも出来るだけ理解しようとしないと、より難しくなってしまうから。一人では生きていけないのが人間なので。
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自閉症スペクトラムの女性といっても色々いる。
書籍やブログなどで個人で発信できる(目立つ)人は工夫してある程度定型発達の人に合わせてコミュニケーションを取ることができたり、特別な才能があったりすることが多い。そういう人じゃない人の声もあって参考になる。
診断はされていないし、受診する予定もないが、私も身に覚えのある記述が多かった。同じ苦労をしている仲間がいて嬉しかった。
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それ以上やめて!となるぐらい
当事者の方の声と自分の過去が重なりました。
診断はついていませんが
自分は自分でいい、と思えるようになる一冊でした。
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何年前か忘れましたが、「空気を読む」という言葉がとても流行った時期がありました。そもそも空気を読むという事がASDの方たちには理解できません。
僕自身も周囲に「なんでこの人はこんな当然な事を聞いてくるのだろう」「これを頼んだら普通これもセットでやるだろう」という事でイライラした事があります。
ASDやそれに類する人たちに抽象的な言葉で指示したり、頼んだりしてイライラしていたんだろうと振り返ると思います。
色々な事に名前を付ける事で、分類されて楽になる事ってこれに限らずあるので、本作のような女性のASDに関してしっかり診断して支援を受け、自分は異常ではなくそういう個性なんだ、同じような人が他にもいるんだ。という救いはとても大きいと思います。
普通の自閉症に関しても親が現実を受け止められずに、普通学級に通わせることにこだわったり、認定を受ける事を拒んで結果何も支援を受けられないまま大人になってしまう事もあります。
いつかは親も居なくなり一人で生きて行かなければならない(パートナー居る居ないにかかわらず)。そのための準備は恐れずしなければいけないですよね。
自身のパーソナリティーを知る事で、まず自分が自分を許してあげる事が出来る。それによる自己肯定感の向上というのは人が生きていく上で無常の幸せだと思います。
身の回りに思い当たる人はいませんが、50人に1人というと実は身近にいる可能性もあるし、これから出会う可能性もあります。この本を読むことによって色々な人への理解に役立つし、何かの時には是非この本を勧めたいと思います。
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ASD(自閉スペクトラム症)は男性に多いとされているが、実際には興味の方向性の違いがあったり定型発達への擬態をしていたりしているため女性のASDは気づかれにくい。
本書は、長年ASDのサポートをし自身もASDである筆者が、アンケートをによって、ASD女性がライフサイクルに応じて直面する課題を洗い出したものになる。
ASD女性は、ASD男性に比べ幼少期に電車などのモノよりも人物やキャラクターなどに惹かれるため、定型発達と見分けづらいとする。また、ASD女性は「女らしさ」への違和感などから性自認への混乱も生じやすい、とのこと。
扱うテーマはとても幅広く、本書を通じたASD女性の理解浸透が彼女らの生きやすさの向上に役立つのではないかと思った。
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友人に勧められて読んだ本。ASDと聞いてイメージするASD像と、実際の女の子の実像との違いに驚く。それは社会的役割の差から生じるという一面も持つ。女性にはASDはいない、とまでは思っていなかったが、イメージするのはいつも男性だったなと振り返る。レインマンを代表する映画の影響もあっただろうと思う。診断名がつかないことでただ変わった人だと自他ともに認知してしまい、苦しんでいる女性が多く、鬱などの二次障害を発症する人も多いとのこと。診断名がつくことで楽になる人生もあるし、診断名がつくことで制限される、制限してしまうということも起こりうる。だから、一概に診断すればいいというものではないとは思うが、ASDだとわかり解放されている人たちの言葉を読むと素直に嬉しくなった。
なんにしても、どんな人でも、自分と違っても、多くの人とは違う行動、思考をしていても、この世界が生きやすい場所であって欲しいと願う。また、違いを認め受け入れられる自分でありたいと思う。
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少し前まで自分にASD傾向があるだなんて、夢にも思っていませんでした。
それは、重度の方のイメージ、男性のイメージが強かったからだということがよく分かりました。
本のなかで、非常に当てはまる部分と、全く当てはまらない部分があり、検査をすると傾向はないと言われる可能性はゼロではないですが、、
ただ、私が悩む部分が、脳の特性によるものかもしれない、その事実だけで、本書にも書かれている通り自己受容に繋がることは、強く感じました。
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アスペルガー傾向が高いので、共感所がたくさんありました。良い本です。
物心ついたときから、他の人とは異なる違和感、これだったのだともっと早く気づきたかったです。
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原著が10年ぐらい前に出たものであまり新情報がなかった。
インタビューを受けた当事者のコメントもプロフィールがわからないまま羅列されるだけで知識がある人間から見ると特筆すべきこともなく…。
アメリカと日本では文化も医療・支援体制も違うだろうし。
あと知的障害があるかどうか、親との関係性によっても生き方が違ってくる。
性自認が揺らぎやすいこと、夫と相性がいいと女友達といるよりラク、というのはそう言われればそうだなって感じ。
老年期について知りたかったけど体調不良が多くなるor年取っても元気、とかの事例しかなく結局は人それぞれでしかなかった。
診断済みの人達が老年期に入り始めている、って原著が10年前なんだから今は研究が進んだのか進んでないのかを少しでも追記してほしかった。
女性の発達障害について全く初めて知る人や10年ぐらい前で知識が止まってる人には役に立つのかも?
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生涯にわたり、ASDが感じることを知ることができました。
日本は同調が強いですが、その中でも自分と社会のバランスをとりながら、いきていけたらいいなと思いました。
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自閉症スペクトラム症の情報がほしくて読んだ。
特に目新しい情報はなかった。
自閉症の娘をもつ母親なんかが読んだらいいのかも。
ASD(グレーゾーン)として、どんなふうに歳をとっていくのか、そのことが知りたかった。
記憶力も視力も体力も全部衰えていくのは避けられず、誰かに頼るスキルも持たないのだから、想像よりハードモードかもしれない。
なるべく人と関わらずに自分で生きていけるように、健康には気をつけたい。
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おすすめ。グレーのひとも一読の価値あり。自閉スペクトラムの子を育てていると公表している堀越英美さんの翻訳。
発達障害の診断基準は長らく男児が基準だったので女児については見逃されてきた、とされているそうです。
ライフステージごとに直面しうることについて、さまざまな事例を交えて紹介。
社会規範へのなじめなさ、女性らしさへのなじめなさが、特徴的なセクシュアリティ、ジェンダーアイデンティティとして表れることがある、と言及あり。(ただし、もちろん、発達障害じゃなくても特徴的なセクシュアリティ、ジェンダーアイデンティティをもつひとはたくさんいるので、注意)
大人の発達障害が気になるなら、自己診断は禁物。「心理検査」が受けられるクリニックを受診するのがおすすめ。
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評価が難しい一冊。
気になった箇所を引用。
キーキー声を出したり、身体を揺らしたり、手を叩いたりする成人女性をありのまま愛して受け入れてくれる人はめったにいない
ASDの女性によく見られるおでこのしわ
ささくれむしり
異性愛者だと定義した女性は約五〇%しかいなかった。
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私の長男もアスペルガーである。
我が家は男の子だったので、この本が『女の子』と限定してることに興味を持ち、読んでみた。
ADSが今まで男の子にしか現れないとされていた事は知らなかった。男の子より、より症状が複雑で多様でわかりにくいようだ。
読んでいて、息子にはもちろんだが、私にも当てはまることがいくつもあった。私も自分で自分のことを複雑で面倒くさく生きづらいと感じていた。場の空気を読んだり合わせたりする事はできるけれど、3人以上で集まることが苦手で、極力人と会いたく無い。意味もなく皆が私のことを嫌ってる様に感じる。幼い頃から内気だと言われ、本を読むのが大好きだ。かろうじて友達はいたけれど学校生活が本当に苦痛で、中学高校大学の記憶はほんの少しだけ、断片的にしかない。そのほとんどを記憶から消したいと思い、実際に消してしまったようだ。
息子の現れ方とは違うけど、私から遺伝したんだなと腑に落ちた。
この本の様に、乳幼児期から老いるまで、長いスパンで症例や実体験をもとに綴られているものはなかなか無いだろう。自分が生きづらかったから、息子が生まれてからは息子のことばかり気にかけていた。でもこの本を読んで、自分に目を向けて肯定してあげようと思った。ずっと大嫌いだった自分。ここれからは大切にしたい。