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実例で例証していく前置詞の意味
これまでの前置詞のタイトルがついている商業的な本は、コアミーニングの解説があって、それからほぼ全てが派生していくと解説するのが多いが、この本は部分的にその考えを採用しつつも、それだけではその表現を活用できるようにならないと主張する。学習者が母語話者と同レベルに言葉を使いこなすにはどんな情報が必要なのか、どこまでの抽象化もしくは具体化が必要なのかを絶妙な塩梅で整理している。著者はUsage-based な考え方で、言葉が習得されると考えている。
例文にはひとつひとつページが許す限り、その例文が使われる背景が書いてあり、丁寧。そしてそれがその後の抽象化されたサブカテゴリーになっていくのは面白い。参考文献も豊富でそのうちいくつかの文献は仕入れようと思っている。
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信頼する先生のお弟子さんが書いた本でその先生に勧められて読んだ。とても良い本だ。説明もあるが「実例が語る」というだけあって例文が豊富で具体的。ネイティブみたいに英語を話したい人を対象にしているのでレベルの高い内容が充実している。この本をマスターすればかなりの前置詞遣いになれるだろう。著者も地道な学習の重要性を繰り返しと言いているが、例文をすべて覚えればけっこうネイティブに近づくはず。そのためには二度三度と読んで身体にしみこませなければ。読み終えた時点ですでにほとんどを忘れているのだから。。。
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英語の上級者向けの本。前置詞をテーマにして、こんな使い方をするのか、という知ってないと絶対に使えない用法を、実例とともに紹介する本。前置詞というと、すぐに抽象化したイメージを前面に出して、そこに色々な用例をあてはめて紹介する、というのがオーソドックスだけど、結局抽象化したイメージだけでは使えるようにならないし、だから具体的な用例を覚えていくしかなく、でもその用例自体をたくさん眺めてできるだけ共通するイメージ、意味を取り出しつつ、アウトプットできる知識を蓄えよう、という本。上から(演繹)と下から(帰納)の両面で、でも下からの土台を優先しよう、という趣旨の本。単なるイディオムの暗記、というレベルではないからね、という本で、あるべき語学のアプローチ(の1つ)を捉えている。
おれも両面から攻めるでしょ、というのは自分の語学経験からしても言えることなので、辞書なんかも用例を見るのは今でも楽しいし、逆に用例を見ないと分からないと思っているし、という意味で、とても共感できた。だからとても面白いし、チャレンジで、おれの勉強としてはこの上なく面白いけど、おれは教員でもあるから、これどこまで生徒に教えるんだろうなあ、どうやって教えるのかなあという思考を常に巡らせると、これはいいかな別に、アウトプットは難しいけどインプットだけなら分かるしな、と思う部分が多かった(じゃなくてアウトプットを目指そう、というのがこの本の趣旨なので、やっぱり相当英語が出来る人向けだと思う)。例えば「動詞1語away」で、「こちらの気持ちを考えて遠慮するなどということなく、思う存分やってくれ」という意味(p.165)とか、難しい、というかあんまり教えないし教わらない項目だなと思う。Ask away.とか使ってみようかな、という、あくまで自分の勉強として楽しむ感じ。あといくつか、そういうところを抜き出してメモする。A by doing Bは正直「BすることによってA」で読んでしまってたけど、確かによく考えると別に意図的にBしてなくてもこれを使える、ということを用例から見ることが出来る。例えば "I'd like to end my speech by thanking the people who made this conference possible." (p.178)は、「感謝することによって終わる」は変で、Aするのだけれど具体的にはBします、と読める、というのは面白かった。進行形の解説用法(パラレルの進行形)っていうのがあるけど、それと何となく似てるかな、と思ったり。あと本論ではないけど be written across Xで「文字がXの表面がでかでかと書かれている」(p.229)とか、確かにacrossってなかなか使えないよなあ。hope forという用法を最近教えたが、hope for that SVの形(前置詞の目的語thatSV)は嫌われるので、forが省略されて他動詞に見える、とかこれはdecide onと同じ(p.261)というのは、もしかしたら教えられるかもしれない。基本自動詞なんだけどthat節の時は~、みたいな感じ?「床を掃く」とかsweep the floorしか知らなかったけど、run a bloom for 空間、とか(p.296)、これも実例を見て気づかなければたぶん一生学べない表現。there is X to Y構文がずっと解説されているが、著者も言うように論ぶにゃレポートを書く時には"there is some truth to the view [idea] that SV"「~という考え方にも正しい側面が多少ある」(p.308)とか、使えそう。大学入��の自由英作文にも使えそう。その構文を紹介する実例が載っているHow We Got to Nowは、「今の我々が『あって当然』と思っている日常的な品物や考え方が、そのような歴史を経て発明されたのかを教えてくれる本」(p.299)って面白そう、と思う。あと最後に「同等比較が逆接の従属節を作るパターン」(p.320)って教えた方がいいんじゃないかな。例えばas much as I like your perfume, just don't wear any.「その香水良いと思うけど、今度からはつけないで」とか、We're not supposed to say, as much as I'd like to tell you about it.「教えたいのは山々ですが、言ってはいけないことになっているので」というような使い方。as much as I like / I'd like to...なんて、使えそうな表現だし、わかんないとインプットも出来ないかもしれないし。
という感じで、だいぶハイレベルな内容なので、本当に英語を「勉強」している人が面白いと思う内容。最後の参考文献の紹介も、いくつか読みたいと思うものがあって、勉強にはなった。(23/11)