投稿元:
レビューを見る
下巻に纏めて記す。
香を人一倍感じることができる少女が主人公。
何メートルもの遠くから、人の匂いで誰が来るかが分かるだけでなく、その人の発する香で、緊張しているのか、害をなそうとしてるのかまで解る。
その少女は、反乱国の国王の孫娘だったため、捉えられて殺されようとしていた。が、殺そうとしている方の国の男に助けられる。
その男の国では、香君(こうくん)と呼ばれる、匂いで万象を知ることができる生き神がいる。香君は14歳(?)で連れてこられる。顔立ちの良い娘を連れてくるので、香なんて解らないが、初代はそうだったらしいし、人々は信じている。その当代香君と馴染だった男なので、本物の香君を見つけたとなり、殺されずにその男の国に行くことになった。
香君とも仲良くなり、大帝国を支配するオアレ稲という稲に関する知識をつける。この稲は、種は帝国から貰うもので作成することになるが、簡単に穂がなり、虫もつきづらく、美味しい。が、種が取れないので、種は帝国から貰うことになり、帝国支配のいしづえとなっていた。(オアレ稲を植えた土では他の作物が育たない。まあ他の作物を育てる必要はほぼないので、オアレ稲ばかり育てている)
そんな中、オアレ稲に害虫であるオオマヨが付いたことがわかった。調べた結果、肥料を減らすことにより、オオマヨを駆除できることが分かったが、それは禁則事項とされていた。肥料を減らすと毒性が上がるから…と信じられていたがそんなこともなく、何故ダメなのかが不明であり、一旦その方法を用いてオオマヨを撲滅した。
が、数年経って、その稲に山向こうの異世界からバッタのような生物が大群を成して襲いかかった。バッタはオオマヨも食べるが稲も食べるし、どんどん食い尽くして広がっていった。
稲を焼くしか無いが、焼くと食べるものがなくなり餓える。帝国と周辺国の問答もある。
そんな中、当代香君が毒殺されかけ、主人公が香君としてなり、全ての稲を焼いて事なきを得る。
とまあそんな話。
小学生の頃から好きな、うえはしなおこさんの新作だが、歳をとったから、登場人物の名前が入ってこなくて結構しんどかった。ファンタジーは好きなはずなんだけどなぁ…
投稿元:
レビューを見る
Amazonの紹介より
「飢えの雲、天を覆い、地は枯れ果て、人の口に入るものなし」――かつて皇祖が口にしたというその言葉が現実のものとなり、次々と災いの連鎖が起きていくなかで、アイシャは、仲間たちとともに、必死に飢餓を回避しようとするのだが……。
オアレ稲の呼び声、それに応えて飛来するもの。異郷から風が吹くとき、アイシャたちの運命は大きく動きはじめる。
圧倒的な世界観と文章で我々に迫る物語は完結へ。
上巻では、ジワジワと嵐の前のような穏やかな展開でしたが、下巻では、波乱の展開が幕を開けます
「虫」の大量発生によって、危機に迫る「稲」。そして疑惑の「稲」。
度重なる災難にどう立ち向かうのか。人々を救うために奔走する主人公が逞しく視えて、上巻とは違った一面を垣間見ま
した。
最初は穏やかだったアイシャでしたが、日に日に強い意志のある女へと成長していくので、その辺りは上橋さんの本領発揮だなと思いました。
物語の舞台は、架空の世界ですが、どことなく大昔の日本を彷彿している印象がありました。当時の作品に出てくるような恵みの稲や大量発生といった出来事があったかもしれません。
さすがに香りで調合したり、香りで対抗することはなかったと思いますが、自然の摂理があろうとも、努力の積み重ねで「今」があることを考えると、感謝しなければと思いました。
ただ、個人的にはアクション劇が見たかったなと思いました。上橋さんというと、強い女や剣捌きといった華麗なアクションが印象深かったので、ちょっと残念感もありました。
投稿元:
レビューを見る
異郷から持ち込まれた物、ある物を呼び寄せてしまう原因、連れ帰る者。初代香君が持つ能力。こちらの面はファンタジー。しかしこの話の根幹は食物連鎖と政治。だから、敵と戦うシーンはない。お互い生きようとしているもの同志が戦略を練る…ので、地味な印象があり、他の作品ほど人気出ないかも?でも、圧倒的な世界観は読み終わって直ぐにでも読み返したくなる素晴らしさでした。アイシャが皆に語り次々と言い当てて行く場面などは分かり易くて面白いと言われると思います。
読解に生物・政治的な理解力が必要なので、高校生位から面白く読めるのかとは思うけど、小学生が読んでも大丈夫。
投稿元:
レビューを見る
稲は稲でも架空のモノだし、虫たちも大量発生でその帝国を揺るがすほどの食糧危機。
ファンタジーなのでそれもありなのでしょうが、香君の神格化された綺麗な女性とその跡継ぎ、そしてその特殊才能をもっとみていたかった。ちょっとのロマンスもありで読み終えてみると面白かったのだけれど、グイグイって感じではなかったかなぁ。
表紙が綺麗で期待が大きすぎたから。
投稿元:
レビューを見る
下巻だけ読了。個人的には守り人や鹿の王みたいな荒事があるファンタジーが好きで、今作はややもの足りなく感じた。創作の種明かしの参考資料をリストにしているのはさすが学者さんなのだが、どういう意図があってこの物語を生んだのか、もう少し納得のいく説明がほしかったかも。
特殊能力のある女性主人公のパターンでない物語が読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
すごく良かった。上橋作品はどれも、自然のいとなみの中で生きる人を描いているから、どうしても一般論というか、良い子ちゃん的「せやな」みたいな落としどころになってしまうのだろうけど、これはもちろん悪いことではないし、結論に至るまでに登場人物達が歩んだ道筋が丁寧に描かれるからこそ説得力を持つんだと思う。
アイシャは人より優れた嗅覚を有し、それが第二の目として世界を知覚できる、いわば「特殊能力」を持っているけど、それによって神になるのではない、と徹底しているのが好ましかった。
人がとても無力な存在である、と説くことが、誠実に感じられるというか。
上橋世界をわたる風はとても気持ちがいい。
投稿元:
レビューを見る
上橋さんの作品の中では一番静かで難しく感じたので、小学生たちは読めるだろうかを知りたいところ。個人的にはとても良かった。植物と生き物の関係性の話ではあるが、稲が人々の社会を変えたと聞いて、縄文から弥生への時代の転換を想った。
投稿元:
レビューを見る
毎度のことながら、いろいろなことが明らかになっていくと同時にどんどん物語に引き込まれていきました。
今回は戦いや跡追いといったシーンは少ないけれど、それでも現実に通ずるような真理みたいなものが描かれていて、緊張感とか苦悩みたいなものが伝わってきた。
最後、いろいろな問題のあとに、日常に戻った登場人物たちを見るのが好き。
マキシの人にもう少し出てきてほしかったな、なんて。
投稿元:
レビューを見る
心が浄化される本当に壮大で優しい物語。
主人公がひたむきに駆け回る姿が眩しくて某少年ジャ○プみたいだった。(サ○デーかな?)
初めてのファンタジーがこの作品で良かった。この作者さんの作品をもっと読みたくなった。
投稿元:
レビューを見る
読んでいて思ったのだけど、ページ数が多いのに(460ページ)この本は、厚みが薄い!
すごい。
そして出てくる食べ物が、本当に美味しそう。
薄焼きも、パリッとしているし。お肉も上手く焼かれていて絶対に美味しいやつ。
帝国は、藩王国を豊かにするために稲を与えたと言いながら、実際には稲の収穫量を操作している。
藩王国がそれぞれの才覚で収穫量を上げて国力を増強することがないように。
種籾の作り方は最大の秘密。この世で4人しか知らない。
香君さま、皇帝陛下、新旧カシュガ家の当主。
救いの稲は、オオヨマにも負けず、大きくて立派な稲だが、作ってはいけない稲なのでは?
と思っていたらもっと大きなバッタの大発生。
大変。救いの稲は焼き払うことに。
オオヨマを食べて産卵するバッタ。
ウルド師出てきた?虫害ノ師?(後書きに登場)
対処するには全ての国の救いの稲を焼き払うこと。
それを発令するのは香君さま。
香君さまを守るアイシャは、匂いで人を見る。人を害するつもりで行動してる者の匂いがわかる。すごい。
ヒシャは進化していく様子が恐ろしい。パリシャは?
後半のアイシャの成長ぶりが清々しい。
そしてオリエさんはあきらてめいたマシュウと生きる道が開けて本当に良かった。幸せになってほしい。
自分の知り得た事を多くの人に伝えていきたいと香君なのに旅をするアイシャ。
孤独と感じているようだが、生き甲斐をもうすでに感じている人なので、未来は光がさしているのだと思う。
良かった。
投稿元:
レビューを見る
主人公のアイシャが辿る苦難の続く運命的な人生、国を滅ぼす様な出来事、オレア稲に取り付く害虫のオオマヨ、それに強い新種の救いの種を生み出すがそれにも取り付くオオマヨだが今度はそれを食い尽くすバッタが稲だけでなく野菜や牧草までも食い尽くす、さてアイシャはどうする?
投稿元:
レビューを見る
大きな自然の脅威の前で最善の選択をすることの難しさ、人々の無力さを感じた。
アイシャとオリエがお互いを支え合っている姿が尊くて、2人が出会えてよかったと思った。
アイシャのした選択はあの場合どうしようもなかったのかもしれないけれど、アイシャの幸せとか色々考えてしまった。
奥底にあるアイシャの孤独を思うと胸が苦しい。
続編出てほしいなあ。
そして香君のおかげで読書の楽しさを思い出して、10年ぶりに読書を再開できた。
投稿元:
レビューを見る
回収されていない謎があったり、最後の方がストーリーではなく説明っぽくなっていたり、終わり方にいつもの上橋菜穂子さんの鮮やかさが無いような気がした。
投稿元:
レビューを見る
これからどうなるのかとワクワク読み進めてたら、あっという間に終わってしまった。
アイシャが壇上に上がってからのやりとりは圧巻。
大変な取材を経て、出来上がった最高の物語。
ファンタジーだが、現実味を帯びており、食に関して深く考えさせられた。
ハードカバーの上下巻は高かったけど、読もうか迷うならぜひ読んでおくべき作品で、購入して損がなかったなと思えてる。
投稿元:
レビューを見る
アイシャが香君として立つ場面は、しっかりと映像として頭の中で展開してワクワクした。
難しい局面をどう打開していくのか、それぞれの立場や個性が綿密に描かれており、深みが増した。
壮大なストーリー、繊細な香りの表現、稲や虫を創作する力、、すべて驚きである。