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帝国の政策は、周辺の藩王国にとって受け入れられるものになるのか。
香君の事実を知るオリエの覚悟には考え抜いた思いがある。手助けをしようとするアイシャにも同じように。
強い者弱い者と言ってもほとんどの人は強い部分と弱い部分が混ざり合っていて強く見えたり弱く見えたりするのが当たり前に思える。自分はくじけない強さを持っていたいと思う。
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今までの物語に比べると劇的な展開ではなかったものの、稲につく虫を食べるバッタに食物食い荒らされ…と、現実で起きたら大問題な食料問題。
現人神が人として生きるための道程も見えた。
オリエとマシュウ、ハッピーエンドでよかったね!
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下巻読了。
図書館のアレで上巻を読了してから、めっっっちゃ待たされましたが、“待ったかいがあった!”と思える面白さで、物語の世界に一気に引き込まれました。
オアレ稲に依存してきたウマール帝国に蝗害の危機が訪れます。
恐るべき早さで繁殖し、変異していく異郷のバッタ・ヒシャ。
アイシャ達は未曽有の災難を回避できるのでしょうか・・。
“来て、来て、・・”。〈救いの稲〉の発する、悲痛な“香りの声”に引き寄せされるように来襲するヒシャの群れ。
どんどん生態変異をしていくヒシャの姿に、某ウィルスを重ねてしまうのは私だけでしょうか。
帝国の権力者達が、損失を恐れるあまり根本的な解決を躊躇する姿も現実世界とリンクしていて考えさせられました。
そして「香君」の在り方を含めてクライマックスまでの繋げ方も秀逸で、オリエの後を継いで香君として立つアイシャの姿は毅然としていて素敵でしたし、落としどころとして良かったと思います。
色々ありましたが、オリエとマシュウも幸せになって何よりでした。
まだ〈異郷〉については謎が多いままでしたので、番外編で良いので、その辺の話も読んでみたいですね。
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面白かった。
一気に読んでしまった。オリエとマシュウが幸せになって本当に嬉しい。
アイシャが香君として立った場面は震えがきた。
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香りと言語を結びつけた作品。
虫や草などは、香りを使って会話んしている。
最近の研究で、きのこは匂いでコミュニケーションをとって縄張りを主張しているとかあったなあ。空想のようで、リアルに近い想像のお話。
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どうなってしまうんだろうと 何度も
心配になった。
その稲がある意味
植物のもつ力
それにしてもすごい参考資料
論文を書くように調べて調べて、物語をつむぐ
上橋さんの素晴らしさ
あとがきで書かれていた 上橋さんの大変さ
書いてくれてありがとうと言いたい
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久しぶりに上橋先生の新刊が出ました!読むことをとっても楽しみにしていましたが、上橋さんらしい素晴らしい作品でした。読むことができて幸せです!!目に見えない香りの世界を文章で表現するおもしろさと表現できる書く力がすごいなぁと思います。特別な世界を感じることができる主人公ですが、誰とも自分の感じたことを共有できない孤独という視点にも心がじーんとしました。続編や番外編などが出たら嬉しいです!!
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不思議な力のあるオアレ稲を帝国の統治に使っていたが、その稲に虫がつき、枯れて行く、そこで品種改良された稲をつかって虫に食われても穂は実稲を植えていたがその虫を食べる蝗が大量発生し、虫どころか、稲も草木も食べてしまう。
ただ一度に移動する距離が少ないため、来る前に他を焼くことで防ぐしか方法がないところで帝国の中で揉めに揉める。
最終的に香君であったオリエが帝国の皇帝始め臣下を呼び、話をし始めたところであったが、途中で倒れとうとうアイシャが代わりをつとめ、物語は終焉となる。 神の血はよくわからず終わるが、そこから出てきた皇祖や香君人々を豊かにしたくて、下界に出てオアレ稲を広めたが、やはり将来は不安であったので、制御方法を伝えたが、その理由までが伝わらず、今の危機を誘ってしまった。
今回の蝗害もある面、その様な事態となった際の為政者の決断が本当に将来を決めるという重要なことを示唆しているなあとつくづく思った本書であった。
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読み終わって少し時間が経ったけど、いまだに2022年No.1
上橋ワールドと言われるけれど、少しも大げさではないほど精緻に作り込まれた世界の中で、登場人物が躍動する
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災いそのものよりも未知の災害に直面した時、人はどのように振舞うのかに焦点が当たっている気がした。
被害を最小限に抑えようと対策が後手後手に回る姿も当事者にならなければ危機感が伝わらないさまも新型コロナに右往左往する私たちとそっくりだと思った。
異郷を未知の存在のまま終わらせるところが獣の奏者の様で上橋菜穂子先生らしい反面、外伝や続編という形でもいいからオアレマズラまで旅してほしいと思った。
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災厄の兆候はとどまる気配を見せずひろがり続ける。見つけたかにみえた希望になぜか恐れを抱くアイシャ。人々の思惑が絡まり合うなか、最悪の結末を阻止するために彼女とその仲間がとった行動とは
架空の世界の話ではあるが、現実にも同じようなことがあるのではないだろうかと考えさせられる。上橋さんの描く女性はみなとても強い。
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香りからさまざまなことを知る女性の孤独や豊かさ、そして植物たちと虫、生き物の描き出す輪がもう本当に面白くて首が痛くなるまで読み耽った。神郷オアレマヅラから帰った人の言う、どこかへ帰りたいという想いで胸が痛くなるような強い気持ちにとても惹かれた。
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社会が一つのものに依存していたとき、それが失われると地盤は大きく揺らぐ。それがわかっていながら、そのようなことは決して起こらないと過小評価して生きている。自然は不思議に満ち溢れていて、人間の手の及ばぬところに魅了される。それがときに、人の社会の基盤を揺るがすことになる。津波もウイルスも戦争も出てこないけれど、今の時代に読むことに意味があるように思う。
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下巻は更に圧倒的上橋菜穂子ワールドが待ち受けていた
文化人類学者である上橋菜穂子さんの人の営みを描く深みのあるストーリーが素晴らしい
『自分がこう感じるから、他の人も同じように感じるだろうと思ってはいけない。そう思ってしまったとき隙が生まれる』
『権威というのは、そういうものなんだろう。互いの関係で成り立つ、幻想だ。幻想だが、いったん身に沁み込んでしまえば、反射的に心身が反応するし、多くの人が同時に抱けば、現実のものとなる』
上記2点は作中の引用だが 心に残っている
他にも この本を書くにあたり著者が読んだという動植物の本のリストが巻末にあり 大変興味深い
作中にも 『どんな小さな者も己の役割を担って生きている』…と生き物について言及されるシーンがあるが 人もちっぽけな生き物も 生まれてきた姿と能力を持って命を全うする生き方に違いはないのだとしみじみ感じさせられた
また作中の食べ物 飲み物の美味しそうなこと!
例えば
『鴨焼き ー熟成させた鴨の肉を、香料を混ぜた穀醤に漬け混んでから焼いたものー や、山菜、薄焼き(タバ)などが、いい匂いを放っている』
という文… 読書だけで料理の匂いも味も堪能できる
もちろん 最高に美味しいというオアレ稲から採れる米
を炊いたご飯も想像上でしっかり味わった
そして物語のラストに ほっこり温かみを帯びる情景を運んだ上橋菜穂子さんに 心からのありがとうと拍手だ
ファンタジーを超え 人間の生き方を問うようなこの物語 ぜひ心に響く物語に出会いたいみなさんにおすすめしたい
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建国の秘密→規範を破る→災いがおこる→新たな国の在り方を問う
とパターン化しているように思えてしまう。
香君交代劇の会話が強引すぎて冗長に感じた。
しかし相変わらずの想像力と科学的事象をファンタジーのストーリーとして昇華させ、社会的課題を示す手腕は本当に尊敬する。