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日記や手紙を記録的に書き連ねたもの。
川端の不純のなさ、エロスを書いても下品にならない上級さはやっぱり良い、白や水色など清らかで涼しげな色を感じさせる。
清野の手紙は重くて、暗くて、自意識過剰で、縛りを感じる。川端はその感情を文を書くことによって消化させているからそこまでのグロさは感じない。
けどむしろわたしは、清野に共感してしまった。
自分を受け入れてくれた1人を己の存在価値の裏付けに利用して、相手なら全てを受け止めてくれると信じ、その人の存在を自分を支える柱とする。けれどその柱は不安定で時には目に見えなくなってある種の幻覚ではなかったのかとすら思う。
深い感情を覚えた相手に程、醜くて自分勝手な気持ちを抱いてしまうもの
この赤裸々な思いを負担なく受け止められる川端もきっと醜くく、歪んだ欲を根底に持っているはず。人間の本当の自己顕示は手紙に現れるのですね。