紙の本
癖のある、刺激的な物語集
2024/03/04 09:03
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
ルシア・ベルリンという既に亡くなった、私が今まで知らなかった作家の短編集。私小説風でありながら、実体験を取捨選択し、一部改変し、脚色され、どれが本当のことかはわからなくなったストリー。彼女の子供時代の度重なる転居、複数の結婚の影響もあり、転職を重ね、シングルとして、アルコール依存症としての人生が、実体験そのものだった。時として予想を裏切る結末に驚き、短編を読み終える。
紙の本
ダイアモンド・シー
2023/08/23 14:58
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投稿者:ダタ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドライでありながらメランコリック。
音楽でいうとソニックユースあたりが
BGMとしてハマりそう。
ジャンルを問わずこういった感性が
米国のアンダーグラウンドな文化を
豊かにしているのかなと思いました。
決して明るい話ではないが
不思議と暗い気持ちにもならない
素晴らしい一冊です。
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最初はこの良さがわからなかったけど、読み進めていくうちに、文章にはまっていきました。じわじわと良さが染み込んでいく感じがしました。
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最初はなんか不思議な感じで「?」となってたんだけど、読み進めるうちになんか引き込まれてった…
作者の体験がもとになってる話がほとんどみたいだけど、その中でも、変わり者の主人公が(刑務所とか、病院?のような最果てっぽいところで)また同じような弱くて優しい仲間たちに囲まれて、いっときの安らぎを感じるような話が好き… 「さあ土曜日だ」も悲しいけど、刹那的な幸福感のある話だと思った
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図書館の期限きちゃったのでつんどく扱い。
洋物だけど確かに言い回しが粋なのか、読みやすかった気が。
といっても3篇目くらいまでしか読んでない。
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この短編集の作品が一つ一つ、単純に悲しい楽しい話ではなく、悲しみと楽しさの同居した、読者の心をあちこちに振り回す。こんな風に自分を俯瞰的に見ると、人生はどう見えるのかな。
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「小説のような人生、ではなく人生は小説」なのかなと思った。
入り込むまでに時間がかかったけど、途中で↑に気づいて没頭して読めた。目まぐるしく変わる生活と荒々しい感情の揺れに眩暈がした。比喩表現の鬼だな、と(とてもいい意味で)。
タイトルにもなった「掃除婦のための手引き書」もよかったけど、「ソー・ロング」「ママ」「沈黙」「さあ土曜日だ」の流れがとても好きだった。中毒性が高く、まんまと他の本も読みたくなった。
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本邦初訳の短編集。記憶、思い出がふっとよみがえるようなそんな感覚がするような短編集だった。とはいえ思ったより、読解が難しい短編もあった。
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アメリカ文学界最後の秘密といわれ、
ずっと気になっていた作家でした。
文庫本になったのをきっかけに
やっと読むことができました。
本書は作家自身のことや、
彼女の身の回りで起こった出来事を描いた短編集です。
アルコール依存症の家系に生まれ、
自身も一時期そうなったようです。
幼少のころからアメリカやチリの各地を転々とし、
貧民街に暮らしたかと思うと、
一時期は召使付きのお屋敷暮らし。
幼いころ虐待を受けていたような記述もあります。
学生のときから結婚と離婚を3度繰り返し、
4人の子を持つシングルマザー。
生涯のほとんどを労働者階級に身を置き、
そうかと思えば
刑務所で囚人相手に書くことを教えたり、
大学で教鞭をとった時期もあったようで、
優秀な教育に対する賞を受賞したりもしています。
晩年は持病に苦しみ、
68歳の誕生日に亡くなりましたが、
彼女が評価されたのは、
没後11年たってからのことでした。
生前は一部熱狂的なファンの支持を得ていたようですが、
世間にはあまり知られていない存在だったようです。
短編小説を書くという行為は、
無駄な言葉をそぎ落とす作業だと思います。
本作も人生の一場面を切り取って、
必要最低限の言葉で簡潔に綴られています。
簡潔な文章ではありますが、
その行間から彼女の波乱に満ちた人生を
垣間見ることができます。
もちろん小説ですから
創作の部分もあるのでしょうが。
岸本佐知子さんの翻訳も期待通りでした。
べそかきアルルカンの詩的日常
http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/
べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え”
http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a
べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ”
http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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リズムとかテンポがわたしの知ってるそれとは違くて、最初やや面食らうんだけど慣れてきたら刺激的で心地よい。
結末でズバッと急転換して終わるのとかも好みでした。
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ブクログのレビューをはじめ、各所から絶賛の本作。
しかしながら、びっくりするほどわたしには合わなかったようだ。
それは読み進めても変わらず、久々の断念…
わたし自身が年度末で多忙だったせいなのか、前に読んでいた『黄色い家』が素晴らしすぎたせいなのか、受賞作品がこれ程合わない自分の感性を疑う。
また気分が乗ったら読もうかな。
この作品を読む少し前、ダメンズを断ち切って以来初めて、やっとこんな気持ちになれたな~という人に出会ったのですが、どうやら失恋したようです。
それも相まって。
今回は断念。次へいこう。
でもすき。
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単行本の時から気になっていた本。やっと文庫になったので手に取りました。短編24編収録。どの作品もミニシアター系の短編映画を見ているようでした。書かれた作品はそれぞれジェットコースターのような彼女の人生を反映していますが、悲痛な暗い影を引き摺っているような作品でも必ずユーモアがあり、今まで味わったことのない面白さを感じました。ずっと読んでいたいと思ってしまう素敵な本でした。四月下旬にも作品集が出るそうなので読んでみたい。
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力のある密度の濃い文章の数々。人生や人間関係を飾らずにありのままに描ききる写実的な描写。
著者の波乱万丈な人生から紡がれ生み出された言葉だからこその説得力、あるいは迫力のようなものが文章や描写、そして物語から感じられたように思います。
この本の著者であるルシア・ベルリン。著者紹介によると、父の仕事の関係で北米の鉱山町やチリで育ち、三度の結婚や離婚を経てシングルマザーとして4人の息子を育てる。
教師や掃除婦など職を転々とし、アルコール依存症に苦しみながら自身の体験に根ざした小説を書いていた、とのこと。
自身の体験に根ざしたということもあってか、収録されている小説のほとんどは「わたし」の一人称で、この「わたし」というのも多くは著者自身が投影されているのかと思います。
著者紹介にもあったとおり、掃除婦が語り手だったり、アルコール依存症のことが出てきたり、父親の鉱山の話が出てきたりと著者を思わせるエピソードや、短編ごとにつながっているように描かれる点もちらほら見受けられます。
前評判のかなり高い作品だったので期待して読み始めたものの、序盤はなかなか入り込めなかった。文章の硬質さや詳細な描写の一方で短編ごとのドラマ性が薄く感じられ、ストーリーを期待していた自分としては、イメージと違う作風でとっつきにくかったのがあると思います。
しかし話を読み進めていくごとにこの文章や語り口が、自分のなかになじんでくるのを感じます。すると徐々に著者の人間に対する独特の観察眼や、ユーモアとシリアスが同居し、美しいものと醜いものが突然に反転する物語の数々に引き込まれていきます。
突然の反転は読む者を最後になんとも言えない感覚に引き落とす。それは人生の無常さや人間心理の不条理さを、突然目の前に突き付けられたような感覚を覚えました。
読み進めるごとに硬質な文章の芯に宿った力強さと繊細さに気づかされます。そして単純に一言で語れるような読後感を残さない物語たちに、自分の中の何かが共鳴します。
波乱万丈の人生を送ったルシア・ベルリン。そんな彼女だからこそ人生も人間も一筋縄ではいかないということを、物語にのせたのかもしれない。
読みやすい小説でもないし、面白い、面白くないと単純に語れる小説でもない。それでもこの小説には人を魅了する魔力を感じます。
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アルコール依存症一家に生まれ、アメリカ合衆国、チリ、メキシコと居住地を転々としながら、2度の離婚、3人の夫、4人の子ども達と駆け抜けてきた著者ルシア・ベルリンの起伏に富んだ人生を下地にした短編集。
正直、何を読み取るべきかは暗黙的で、単純なエンターテイメントというよりはいささか文学的。
巻末で熱烈な賛辞を贈るリディア・デイヴィス氏、訳者あとがきで同様に褒め称える岸本佐知子氏ほどの感性をもっていない自分には、それほどまでの一編一編、一文一文の熱量を感じとることはできなかった。
ただ、物語ひとつひとつが著者の人生に基づくものという背景を踏まえつつ、順不同で現れる年代をつなぎ合わせながら読んでいくと、”これが1人の人生!?なんて人生なんだ”という興味深い想いを得るし、ざらついた剥き出しの表現の中のそこここに散らばる感情のかけらに出会うと何とも言えない胸の詰まる思いがするのは確か。
全体としての読書体験が味わい深い系の一冊。
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言葉の種類が豊富
イメージと雰囲気が伝わる
だからこそ、しんどい時に見たら疲れる
アル中の話が自分もなったかのような
臨場感が得られる