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女性解放シンボルとして誕生してから欲望の対象となって皮肉にも女性達から排除されるまで、悲しくも興味深い「ブルマー」の変遷を大まじめに斬るっていう本
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そもそも「女性解放」の象徴的存在(!)だったブルマーが、どうして「抑圧」の結晶として、また「ブルセラ」的欲望の中心として、排斥されるようになったのか……。ブルマーの語源たる「アメリア・ジェンクス・ブルマー」さんにまで歴史をたどって、ブルマーから見た「女子体育」へのまなざしを追う、という趣向。ほ~ら、読んでみたくなるよね? もう、好きなんだから~。
いや、中身はまっとうに「社会史」の本だし、序章を別にしておちゃらけ入っているわけでもないんだが。「ブルマー」という格好の覗き穴を得て、「女子体育」という素材がぐぐぅっと魅力的になっている。
女子が白昼に外で体を動かす、あまつさえ活発になることそのものが背徳とされた時代もあった。和服というのは脚をまとめて拘束されるものであって、その不自由さが当然のものとされていた。たとえ体育の授業でも「動きやすい服を着る」のはもってのほか。着流しから、くくり袴を経て、ちょうちんブルマーになり、だんだん丈が短くなっていく過程は、女性の身体が開放されていく過程そのものだった。
ところが、自由が拡大するにしたがって、ブルマーはあこがれの存在からすべり落ちていくことになる。ついに女性が「自分の性は自分で管理する」自由を得たとき、自分のブルマーをブルセラショップを高値で売ることに羞恥も痛痒も感じない女子高生ができあがった。そしてブルセラショップの隆盛は、「ブルマーの時代」の終焉をつげる決定的な一押しになった。
著者5人の問題意識の共有がうまくいっていて、読みやすい。ジェンダー論的に興味深い素材であるのは確かだが、トリビア的要素てんこ盛りなのでそっち方面からも面白いだろう。とくに、昔の「体操服」の話がおもしれー。セーラー服って、もとは体操服だったんだね~。
セクシュアリティの研究として興味深いうえ、ブルマーでコリクツこねられるようになる、という点でなかなかないナイ本。
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