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1 刑法的思考の前に:本書でやろうとしていること
2 殺人罪(刑法199条)を使って考える:
「人を殺した」とはどういうことか(その1)
「人を殺した」とはどういうことか(その2)
「人を殺し」そこねた場合
それは本当に「人」ですか?
3 身近な犯罪を使って考える:
窃盗罪(刑法235条)を使って考える
名誉毀損罪(刑法230条)を使って考える
詐欺罪(刑法246条)を使って考える
4 刑法的思考の限界とその先
刑法特有の制約
新しい犯罪は作れる
「使う」か「作る」か
5 刑法的思考の後で:刑法について知る
日本の刑法の歴史
日本の刑法の特徴
刑法的思考で死刑を考える
残す場合
廃止する場合
自分たちの国のこととして
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法的解釈において見解が分かれそうな事例を紹介し、法律に当てはめて刑罰を考えるなど、事例に合わせ裁き方やその根本を考えさせられる本であった。例えば、単純な殺人ではなく、間違えで違う人を殺しそうになったが、未遂で終わった場合や、では、そもそも未遂とはどういう事か。あるいは、殺人で取り扱うような、人の定義とは、など。
刑法の条文を考えてみようという項目も、言葉の多義性を解消しながら量刑の軽重基準の客観性、納得感を多面的に考える良いテーマだと思う。
刑法は裁くためにあるのではなく、犯罪の抑止が目的である事を忘れてはならない。読みやすく、程よく考えさせながら、頭を使う良書。
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学問や実務として踏破するのはたいそう骨が折れるに違いないが、刑法というものの基底に確かに存在する思考形態に触れておくことで、万能たる法は存在しない条件の元でコミュニティの規律や権利を保全するために刑法がいかに組まれているか、というままらなない故の面白さが表題の通り感じられた。
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タイトルの通り刑法がテーマですが、非常に汎用性のある内容になっている本だと思います。
例えば「故意」と「過失」の違いの線引きといったテーマを取り上げて、論理的に矛盾がないか、根拠は明確か、抜け穴になるケースはないかといった多角的な視点から、かつ丁寧なプロセスを経て議論か進められます。
この本書のアプローチは刑法という枠にとどまらず、システムだったり、ルールだったり社会に存在するいろいろなものに対して考えるツールになりそうと言う意味で、読んでよかったと思える本でした。
また専門的な言い回しは避けているので、法律をかじったことのない人でも読みやすくなるように書かれていると思います。
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私たちは法治国家に暮らしている。さまざまな法律が制定されており、いわば社会・国家が決めたルールの中で暮らしている。その中の刑法について考えてみませんか?という本でした。刑法の具体的な条文と、今までの判例を元にした事例とを対比していろんな角度から法律の解釈について考察する。
最後は死刑についても避けては通れない議題として取り上げている。
法律を身近に感じて、学び始めるサードルを下げてくれる一冊だ。
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普通の刑法の入門書とは一味違って、実際に起こった事件などを用いたケーススタディ形式により、刑法を使って考えること=刑法的思考の面白さを伝えようという趣旨の本。
本書を読み進めるのは法的な頭の体操という感じで、確かに刑法的思考の知的なエキサイティングさを感じられた。
刑法を「使う」という解釈面だけでなく、刑法を「作る」という立法の側面にも着目しているのが実践的ですばらしい。
著者のいう刑法的思考のエッセンスとしては、基準と論拠を区別して考えること、制度の趣旨・目的から考えること、結果の妥当性や社会的な帰結を重視して解釈することといったことと理解し、それぞれもっともだと思ったが、結果の妥当性や社会的な帰結の普遍性という点は少し気になった。
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刑法についてその考え方と面白さについて書かれた本です。若干理屈っぽいのは否めません。そこが面白いところなのかもしれませんが。法律に書いてないから罰せないなど一般人の感覚からすると理解できないことも事例を用いて解説してありました。
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刑法を通じて、法律的な考え方、法律がどう作られたかを理解できる一冊。
早稲田大学とコラボした本らしく、法学部生の初学者向けの内容。法律に縁がない人が親しみをわくような平易さではないが、かじったことがある人にはいいと思う。
縁がない人には、理不尽と感じるような判決の背景を知る機会になると感じた。そう思うと、メディアリテラシーを高めるいい本かもしれない。
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刑法には全く縁がなかったが、人を罰するという点でとてもシビアに考えなければいけないことがわかった。
誰にでも納得できる基準と根拠、罰した後の社会的な影響まで考慮しなければならない。多角的な視点、批判的な視点を織り交ぜながら理論を構築する刑法的な思考方法は仕事を行う上でもとても参考となった。
本書は刑法的な思考方法をとてもわかりやすく、丁寧に書かれていた。
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殺人罪についての話が1番面白かった。特にどこからどこまでを人とするのか(胎児)は具体例を挙げて説明しているので言われてみるとなるほど確かに!と思うことが多くありとあらゆるシチュエーションから多角的な視野を持って判断することが必要不可欠なんだと認識できた。
最後のブックリストにも興味が持てる本があったので読んでみたい。
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あくまでも法律は「手段」であって、それをどのように使うのかを刑法を題材に分かり易い言葉で解説した本。そして、どこか哲学チックなところがあり掴みにくい刑法の入門書(の手前の本かも)として、めちゃくちゃ読みやすく、理解しやすかった。
特に、「法の論理を一貫させると、社会にとっての最適な状態が達成されない」の箇所にはすごく共感してしまった。ここに法律の面白さ・難しさがあると思います。
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論理的に考えられている刑法。様々な状況で刑法を使って考えて、この場合はどうなるのか、定義はどうするのかなど初めて刑法と向き合って面白かった!悩んだら刑法が何のために存在しているか考えることが大切。1つ思うのは、刑法と関わることのない人生を送りたいということ…。
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刑法の勉強はしたことなかったので、初めて知ることばかりだったが、実際にあった事件と類似するケースについて、どのように刑法を当てはめるかを教えてくれて、大変興味深く読み応えがあった。テレビで流れる裁判の結果で疑問に思うこともあるけど、判決を出す時には複雑な思考の末に出された結論なんだろう。正しいかは置いといて。どの法も社会を良くするためにあるのだろうが、試行錯誤して生み出されたんだろうなと感じさせられた。
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すごい。面白いのはもちろんだけどめちゃくちゃ勉強になった。こんなに丁寧に時間をかけて考えながら読んだ本は初めてかも。
誰の目にも明らかな犯罪であれば話は早いんだけど、実際には微妙なものもある。
人を殺した時の罪には2つあって 殺人罪と過失致死罪
人間違えで殺してしまった時は 殺人罪なのか 過失致死罪なのか、とか。
自分が思ったのは、殺した人目線において殺そうとした人を殺したかどうかというところかな と思った
人間違えで殺した時も一応 殺した人 目線の中で殺そうとした人を殺したわけだから殺人罪
電話番号 間違えて脅迫したという例もあったが それも脅迫した人 目線では電話番号を間違えた 相手を許諾したのだから脅迫罪
ピストルを打って誤って別の人に当たった場合は殺そうとした人を殺していないから過失致死罪
どうだろう、よくないですかこれ