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目標説、自信説、成長説、非意識説、環境説といった観点から、人間のモチベーションに関する様々な理論を紹介しています。説明は簡潔で分かりやすく、各理論の位置づけが非常に整然と整理されているので、通して読みやすい上に、後から必要箇所だけをさらって読むということも出来るでしょう。良書です。
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やる気はどう生まれるのか。意欲はなぜ失われるのか。目標説、自信説、成長説、環境説…心理学の知見からさまざまな理論を紹介する。
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心理学に、またモチベーションに興味あるのでこの本を読み始めた。とにかく、心のシステムというものは非常に難解で、やる気を起こす、起こさせるということは簡単にはできないということであった。とりあえず、経験的に知った動機付けということが心理学的に正しいことはわかったので、これまでの頭の整理ということ意味では本書は役に立ったが、質・量ともにボリュームがあるので、読み終えることは大変であった。
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モチベーションのコントロールは難しい。でもそれがある程度でも出来る人なら何をやっても成功するんじゃないかな。
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( ..)φメモメモ
モチベーション2.0は「賞罰による行動」の中で不快な緊張状態があり、それを避けるためにモチベーションが生じるというもの。
このような外発的動機づけのほうが社会では多く、自明視されている。
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モチベーションはどのように生まれて、どういう形で行動に移され、どこに向かうのか。同じ目標でも、人によってモチベーションの内容が違ったり、とてもおもしろい内容でした。
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本書に興味をもった方にまずご紹介したいのは、終章の冒頭にある著者の言葉だ。
「残念ながら、モチベーションの問題に関しては、いつでも、どこでも、誰にでも通用するような「ハウ・ツー」は存在しないのである。本書で明らかにしてきたように、「やる気」や「意欲」は一般に考えられているよりも、ずっと複雑で微妙な現象だからである」
概要と導入にあたる第1章と2章につづき、第3章~7章では「目標説」「自信説」「成長説」「非意識説」「環境説」に分類して、様々な心理学上の観点からモチベーションを分析する。目次や巻末の注釈を除いても350ページほどあり、新書としてはかなりの紙数となっている。
序文で「本書は、モチベーション心理学の入門書である」と宣言するとおり、モチベーションに関わる多岐にわたる知見が詰め込まれている。入門とはいえ基本は学術的なアプローチに基づいているため、登場する専門用語の数も多く、読み物としての面白さや特定の読者を対象にするというよりも、正確性や網羅性に重きを置いた著作といえそうだ。かつ、先述の終章の言葉にあるような、モチベーションを単純化しない認識もあって、本書に「ハウ・ツー」的な役割を期待する読者にとってはまだるっこしく、歯切れの悪い印象を受ける可能性はある。
各章で解説される、モチベーションにまつわる様々な要素への解説についてはわかりやすく、内容にも納得させられる。とはいえ、全てを興味をもって読めるかといえば必ずしもそうではなく、所々でいまの自分にヒットする箇所については特に引き込まれるという形になる。逆にそれ以外については読み飛ばしてしまうことも少なくなかった。先に触れた本書の性格上、全てを熟読できる読み手は限られているのではないかとは思う。
個人的に面白いと感じたのは「第4章 成功と自尊心――自信説」と、「第7章 場とシステム――環境説」だった。第4章は、モチベーションとの関係を探る過程で、人間の自尊心についての認識を深めてくれる。自尊心が低すぎることはもちろん、過剰であることも人としては差し障りが多く、「優越感」とは似て非なる「本来感」こそが重要だという捉え方と、自尊心を高めることを自己目的化した実践への警鐘に共感する。
第7章は本書のなかで最も長い90ページ近い章となっており、あとがき相当の短い終章を除けば実質的な最終章ということもあって、著者が個人的な見解を覗かせる機会も増える。本章でとくに多く触れられるのは、「北風型アプローチ」と「太陽型アプローチ」の比較、そして、会社組織を中心とした、組織におけるモチベーションの引き出し方といったところで、一般にも興味をもたれやすい話題でもある。とくに目を引くのは、日本の某大手企業を参考として、成果主義にもとづく目標管理の導入が大失敗に終わった事例だった。日本でも成果主義が浸透して久しいが、心理学的な研究の世界ではすでに半世紀以上前に、この手の考え方が人間にとっての満足感につながらないことは指摘されていたという。
通読して、「やる気」「モチベーション」といった自己啓発の話��として扱われやすい対象に関して単純化することなく、むしろその多様性や扱いにくさを認める姿勢を正しいと感じる。終章の結論にあたるくだりや、そこで紹介されている『夜と霧』の著者であるフランクルによる言葉の選択にも好感をもった。
改めて、会社などの組織におけるモチベーションの問題については、第7章にて、ある研究者による「「組織」と「人間性」は本質的に折り合わない」という言葉に同意する。私個人としては、一定の短期間であればともかく、どう工夫したところで、特定の組織で個人が数十年モチベーションを保つのはそもそも無理があるのではないかと思う。
ちなみに、帯文で目を引く「ほめれば本当にやる気が出るのか?」の問いについては、第7章、P281あたりに答えが書かれています。
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モチベーションの理論の全体とミニ理論(目標説、自信説、成長説、非意識説、環境説)について。一番心に残ったのは自尊心を高めることが目的化してやみくもに褒めればいいというものではないこと。できないことも含めて自分自身を「これでいい」と受け入れることが大事。
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このメカニズムをわかっていれば、普通よりはモチベーションを維持できるかも?
ただ、わかってはいるんだけど…みたいな状態になりつつあります。たまに読み返して、意識を維持していきたいです
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「モチベーション」に関する心理学の研究の歴史や成果、さまざまな説(ミニセオリー)を紹介したもので、ハウツー本という訳ではない。
心理学のお勉強をする、という感じで、何か即効性のある手段が手軽に学べる、というものではないが、それでもヒントになるところがたくさんある。特におれは教員だから、むしろそういうヒントがないのか、現実世界や経験と結びつきそうな部分を探しながら読んだ。そのいくつかをメモしておく。
まず「達成欲求の低い人は容易な課題を選ぶ一方、高い人は成功するか失敗するかわからないような、チャレンジングではあるが実現可能性のある現実的な課題を選ぶ」(p.53)というところから、やっぱりいくつかのレベルを設けて、そこから選ぶというのは大原則であるような気がする。ちなみにこの「『やらされ感』を抱かせるのではなく、『自ら進んで取り組んでいる』という知覚(オリジン感覚)が持てるような環境をつくりだすことが求められている」(p.309)という部分にも関係していると思う。「権限性」というらしい。さらに選択肢の数が多すぎるのはダメ(2つから4つのときがいい)とか、「意味のある選択」であることが大事、というのもその通りだと思った。)それから、マズローの「努力のない状態で課題に専念できることこそ、本物の努力である」(p.76)という言葉は面白い。でもこれだと、本当に好きなことじゃないと努力は出来ないということになるだろうか。また、「利他的動機づけ」というのは面白い。というか少なくともおれは結構教室でこれを強調することが多いと思う。人のために働くことが自分の喜びにつながる、みたいなことを結構言うのだけれど、これが利他的動機づけ、と言うらしい。そしてそれは「そもそも生得的に利他的な傾向性がある」(p.105)というところまで唱える人もいるらしい。まあ、性善説じゃないけど、多少はそういう部分が生得的にあるかも?おれは限られた条件でないと生得的に発露するものではないと思うから、それをもっと普遍的にすべく教育しないと思うのだけれど。似たような話で、「エゴ・システム」、「エコ・システム」というのがあるらしく(pp.110-1)、この話も面白い。使えそうだなと思ったのは「目標意図」と「実行意図」の話で、単に「Xをするつもりだ」という目標意図ではなく、「『Yという状況になったら、Zという反応をする』というように、いつ、どこで、どのように反応を起こすかを事前に特定するような意識」(p.116)を持った方が効果的だ、という部分は分かりやすかった。「特定の手がかりが、特定の行動へとつながりやすい構造(状況→行動)になって」(p.117)おり、「当人にあれこれと躊躇する間を与えずに、特定の状況が『引き金』となって半自動的に行動が生起する」(同)ということらしい。それから「為せば成る」は効果的でない、という話。頑張れば出来る、ではなくて、何をやれば出来るのか、を具体的に指導する方がいい、という話(p.148)は、耳が痛いなあ。話はよく分かるけど、そんな具体的な方法は教員も分からないしなあ。まあともかく、「モチベーションの研究史上、最も重要な用語の少なくともひとつは自己効力といっても過言ではない」(p.149)ということだから、出来る感を与えるのは重要というのは分かる。そしてもっとリアルな話としては、「学業的義足」(p.161)かなあ。自分もやってしまうし、同僚に露骨にこういう人いるなあと思うと、笑ってしまう。「失敗を自分の能力の低さではなく、自分のコントロールや責任の及ばない外的な要因のせいにしてしまう方略」、「たとえば、よりマイナーなハンディキャップ(「体調が悪い」など)をあらかじめ周囲に主張することによってある程度の失敗が公的に許容されるようにもくろむ『学業的義足』や、課題に取り掛かることを意図的に遅らせることなどによって自らハンディキャップをつくりだす『努力の差し控え』が典型例」、「とりわけ、パフォーマンスが評価されることが不可避な状況で、しかも自分に自信がない場合、人はこの方略をとりやすい」(同)という、この「失敗回避方略」は、ほんと思春期だと余計にやってしまうやつなのではないかと思った。それから「成績教示」と「確認教示」の話。「成績には入れないけど、自分でどこがわかっているか確認してごらん」(pp.209-10)の方が、内発的動機付けを向上させるらしい。やっぱり成績云々とか平常点云々とかテスト出るとか出ないとか、こんなことを言いまくる教師はダメだよなと思う。かと言って、これからやる小テストは成績には入れません、という勇気もおれにはないけど。そして、この本の帯には「ほめれば本当にやる気が出るのか?」とあるけど、これは「報酬システムの弊害」として、p.262にまとめられている。これはまったくその通りだと思うけど、でもやっぱり褒める、というのは有効な手段だと思うので、「報酬システムのメリット」(p.263)を活かすように実行できればと思う。とは言え、報酬システムには失敗例がつきもののようで、富士通の目標管理(「成果主義と目標管理が人にもたらす悪影響」(p.269)の話)、というのが象徴的に思える。おれの前いた組織なんて目標管理ではないけど、目標や管理が好きで、それこそ探究心なんて削がれる、みんな最短距離で行こうとするという、すごい組織だったなあと思う。あとは、親なんか順位◯◯番以内に入ったら◯◯買ってあげる、みたいなことを平気でするんだけど、本当、この本を読んで欲しい。さらに褒め言葉に関してはさらに具体的に、「ほめ言葉の心理的メカニズム」(p.282)としてまとめられているのが興味深い。ここで「自尊心」の話になるが、「『これでよい』というレベルに自尊心を保つ節度や、それによって自己需要の感覚が伴われることこそが重要」(p.176)ということなので、褒めるにもそれなりの技術が必要ということだからやっぱり難しい。「自尊心を高めることだけを自己目的化するようなほめ方はむしろ有害」(p.282)ということだから、簡単すぎる課題が達成できたからと言って褒めるというのも問題ということだろうし、「人はほめ言葉の背後にある意図を敏感に察知する」(p.283)ということだから、大袈裟に褒めるのもダメだろうし、という感じで。「巷で喧伝される『ほめてやる気にさせる』というハウ・ツーは、ほめ言葉を『させる方法』として位置づけているようにみえて危うい。モチベーションを高めるための道具として、ほめ言葉を安易に使ってはならないのである。」(同)ということだそうだ。ここまでは個々への向き合い方だが、��集団効力」(p.297)という概念は、クラス運営という視点では結構面白い。p.298の「協同が学習に及ぼす影響」なんて、よく「受験は団体戦」なんて言うけれど、こういうメカニズムになっているんだな、というのが分かる。「自分たちはどうやったら」みたいな語りを入れるといいのかな?と思ったりした。次に、どんな課題を与えたら良いか、という話題も教員としては見逃せない。3つのポイントがあって、「当人が何らかの意味で『役に立つ』と感じられる課題であるか」、「この私と密接に関連していると感じられるか」、「実社会や生活文脈と結びついたリアルな課題であるかどうか」(pp.315-6)だそうだ。「迫真さに欠ける『避難訓練』を、悪しき例として挙げることができよう。とても本物とは思えない状況で避難しろといわれても、やる気は起こらない」(p.316)ということだそうだ。ただ避難訓練はそれでもやんないといけないと思うんだけれど…。全く別の話だが、「米国自動車業界に伝わる『真夜中の神話』」(p.325)という、つまり「名車のアイデアは深夜の雑談の場で生まれる」(p.325)というのは、なんか全然関係ないけど、おれの前の前の仕事であった「夜勤マジック」というのと似ている気が。夜勤の休憩時間中に、深い恋愛話とか、すごいカミングアウトが始まる、みたいな。ちょっと違うか。話は戻って、「ある人の感情や態度や行動が、意図や意識を伴わずに、別の人へと広がる現象を社会的伝染(social contagion)という。」(p.335)で、この社会的伝染によって教室内の雰囲気が左右されることがあるから、気をつけないと、という感じだ。「真夜中の神話」みたいにモチベーションが伝染してくれればいいのだけど、だいたい負の感情や行動の方が簡単に伝染してしまいそうな気がする。そして、「笑い声のないところに成功はない」(p.338)という、カーネギーの言葉は、本当にそうだなあと思った。名言集じゃないけど、『夜と霧』のフランクルは、「成功をねらって、それを目標にすればするほど、遠ざかる。幸福と同じく、成功は追い求めるものではない。それは自分個人より重要な何ものかへの献身の果てに生じる予期しない副産物のように生じるものだからである。」(pp.344-5)だそうだ。こればかりは、もう少し生きてみないと分からないなあ。新聞のお悩み相談コーナーの回答には、人間はhuman beingであるはずなのに、「この社会は圧倒的にdoing重視」で、「将来のために今を犠牲にしてはいないか?」(p.346)と振り返れ、というのがあったらしい。おれなんか圧倒的にhuman doingだし、どうしようもないな、という感じ。なんだったら生徒にもdoingの価値観について語っている気がする。そんな環境で、この新聞の悩み相談に投稿するような人が生まれるんだな、と。「やる気や意欲という語には、このようなポジティブなイメージがある一方で、どこか息苦しさを感じる理由は、暗黙にdoingが重視されている(beingが軽視されている)という事情によるのではなかろうか」(p.347)というのはもっともだと思うけど、あまりにそういう社会の一部に自分がなりすぎているのを感じて、何とも言えない。「居る意欲」(p.349)なんて言うのは、不登校になっている親や子には、この語りをするかな。何とダブルスタンダードなんだろう、と思った。
ということで、手っ取り早く解答を探そうとする人にはこ��本は向かないかもしれない。(22/03)
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「やる気」「意欲」とは何か、そもそもモチベーションはどのように生じ、何に影響を受け、変化していくのか。モチベーション心理学の代表的理論を整理・紹介している。論を説明する際に文学作品や映像、ドラマ等から関連するエピソードを引いてくれるので心理学初心者でもとっつきやすい。富士通の成果主義の失敗なんかは興味深い。結論としてはハウツー本などで提唱されるような魔法のようにやる気を高めるものなどない、ということか。著者は『居る意欲』を評価している。当たり前のことを当たり前にやろうとするモチベーションであり、習慣や態度を主たる基盤としている。さらに「誠実さ」を基盤にしている、という。
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おもしろい!モチベーション心理学の歴史的な流れや、数々の実証実験が紹介されていて、断片的に心理学の知識を引用して語る書籍や発信内容だとわからないことが、大まかな流れがつかめる。
ざっと斜め読みしただけなので深くは理解できていないが、モチベーションは、どんな人にとっても体験したことのある感情の動きであるからこそ、思い込みや経験則で語ってしまうことが多い分野だとおもう。しっかりした学術的な裏付けが知りたい人には入門書としてぴったりだと感じる。
著者の専門である教育心理学も面白そう興味がある。
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がっつりの心理学の教科書。モチベーションとは?やる気とは?人間の構造が描かれている。ではどうすればやる気になるのか? =自己啓発本の領域なのだろう。本書では語られていなかった。モチベーション×能力が最大限の力を出す。どちらかが欠けていても発揮しきれないことがわかった
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面白いかどうかで言うと、退屈な本。
ただ、モチベーションに関する研究や考え方が整理されて、上手くまとめられている。また、よくありがちな、「この考えが正解だ」という主張をしていない部分にも好感が持てる。どの考え方にも、良さやそうでない部分があるよね、と紹介されていて、かなり中立的な内容だと思う。
心理学に関しての既有知識がないと難しいかもしれない。
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やる気と努力、意欲の違い、モチベーションという学術用語、外発的・内発的動機っけ、欲求理論(白い巨塔の例)、目標説など用語は難しいがなんとなくわかるレベル。目標にもパフォーマンス目標とマスタリー目標がある。意味への欲求(それをやることの意味は?という問い)、没頭するには興味が重要であること。モチベーションは達成することであれば、達成=成功となるがそうではない。居る意欲(変わらずに居る)、すなわち誠実さを求めることがモチベーションである。
きっと理解しきれてないけどどこか頷けた。
182冊目読了。