紙の本
明るい寝たきり生活
2022/07/01 16:33
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投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
科学(出生前診断)と哲学と生命倫理と半出生主義をはじめ様々なテーマにつき、経験と想像力、倫理や価値観の違う5名の架空の学生に討論させる、日本版白熱教室。
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第1章 出生前診断と反出生主義
出生前診断を受けるべきか?
生まれてこないほうがよかったのか?
第2章 英語教育と英語公用語論
英語の早期教育は必要か?
英語を公用語にするべきか?
第3章 美容整形とルッキズム
美容整形をしてもよいのか?
なぜルッキズムに陥るのか?
第4章 自動運転とAI倫理
AIに自動運転を任せてよいのか?
AIに倫理を組み込めるのか?
第5章 異種移植とロボット化
ブタの心臓をヒトに移植してよいのか?
どこまでヒトをロボット化してよいのか?
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勝ち負けを争うのではなく哲学的な問題に切り込むための哲学ディベートを扱った,同じ著者の2冊目の本である.著者の高橋昌一郎先生の本は,いつも楽しく啓蒙的に読んでいるが,本書も多くの人にお勧めできる一冊であった.
著者の創作である教授と学生が登場し,特に自分が学生の異なる意見のどれに近いかを問うコラムが各章に載せられている.学生の意見は当初の出発点を超えた大きな問題へと導くところもあり,自分ならどうかをじっくり考えながら読んでいた.
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最近話題となっている社会問題を大学生たちが議論するという内容で、生命倫理や科学哲学的なテーマが多いが、環境倫理やジェンダー問題も入れてもよかったのではないかと思われる。ディベートといっても決着をつけるのではなく(これは競技ディベートというらしい)、互いに意見を出し合い考えること(これが哲学ディベート)がメインとなっているのでちょっと誤解を招きそうな題名ではある。全体的には所謂「哲学的な議論」になっているかどうかは章によってはちょっと怪しいところもあるが、各々の問題に関する論点はとても細かくよく整理されていて参考になる(尚、登場する各大学生は架空の人物であり、論点整理はすべて著者によるもの)。各章とも明確な結論がなく放り出される感じもあるが、各議論を踏まえて自分なりに考えてみることが有益な読み方なのであろう。という意味では「読んで終わり」という本ではない。
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身近で現代ならではの5つの答えのない問を種に,ディベートの本質を提示する.進行役の教授と多様な学部から参加する5人の学生との平易な対話から,提示された問に読者自身も自然と考えを巡らせる.教授の学生への温かい視線が筆者高橋先生御自身を想起させ,本来難解な分野の敷居を下げるべく執筆を進めて下さることに有り難い気持ちが横溢する.
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高橋新書ガイドから。自薦だけあって高品質。先だって読んだ論争史との関連性もあり、なおさら興味深く味わえた。今回は、テーマの紹介にとどまらず、各視点からの見解が提示され、さらにそれに対してのディベートが盛り込まれる、という凝りよう。架空の人物設定に架空の論旨展開だけど、リアリティ溢れていて、つい自分も一緒に考えたくなる結構。ここでいうディベートは、何も生み出さない”論破”を目指すものではなく、視界を広げるためのものっていうことも、読めば十分に理解される。ホント、論破ってつまらん概念だよな、と改めて。