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ラッキーセブンでも相変わらずバンバン人が死ぬ、楽しい裏バイトシリーズの7巻である。
今巻も先の巻に続き、衝撃度・スプラッター感より怪奇度高めで、薄気味悪さや人間のおぞましさがよく出た巻になっている。
だだっ広い平原でただ死体だけがあった「気象観測」。
世界は嘘ばかりの「人材レンタル」。
正統派の怨霊と、人間のおぞましさを題材にした「料亭スタッフ」。
単話で描かれた橙ちゃん主演の「交通量調査員」。
そして世界の秘密が明かされる「遺跡発掘調査補助員」。
バラエティ豊かだが、やはり改めて見ると人間のおぞましさと世界の怪奇が溢れている巻と言えるだろう。
中でも特筆すべきは、風邪で鼻が利かなくなったユメちゃんが絶体絶命に陥る「料亭スタッフ」。
裏バイトという懸命の舞台を前に、唯一の武器が封じられた展開は王道展開かもしれない。
だが、リアル寄りのこの物語では、「王道展開」などと言ってられない怖さがあるわけで。
辛くも危機を逃れる展開は、ハマちゃんの機転が利いた良い展開だった。
また、以前から疑問のあった
「え、これってこの世界線大丈夫?」
と思わせる怪奇模様に一応フォローの入った「遺跡発掘調査補助員」なども興味深いエピソードだった。
治験バイトでもこの世界の真実に踏み込んでいたが、より明確にこの世界の虚実が明らかになった印象である。
「気象観測」で出会った藍川時子、「Q」のメンバーだという彼女との再会が消失したのは、物語にこれから影響してくるのだろうか?
なかなか興味深い一巻だった。
読後感の程よい重さと合わせて、今巻は星五つで評価したい。