医師の立場からコロナワクチンを接種する重要さを訴える1冊です。
2022/06/04 12:53
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投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
医師である著者の視点から、コロナウイルスと治療薬、ワクチンについて冷静に説明した1冊です。
個人的には、著者が医師の立場から、コロナワクチンを接種する重要さについて強く訴えているのが最も印象に残りました。ワクチン接種に否定的な考えを持つ方々にぜひ、読んでいただきたい1冊です。内容は決して難しくありません。
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新型コロナウイルスとワクチン、治療薬の最新情報が解説された一冊。2022年初頭に流行したオミクロン株の第六波流行くらいまでのコロナ変異株の推移解析、副反応を含めたコロナワクチンの情報、コロナ治療薬の情報などが科学的データを基に解説される。病床数世界一の日本で医療逼迫が起こった原因についても語られているが、日本の場合は病院・病床数ともに多いが、その割に医師の数が非常に少ないのが問題らしい。最後にコロナ禍の終わりに向けてのシナリオもあって読み応えあった。
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前著で概要は示されていたから、本作のインパクトはそちらに譲る。類書が増えていることもあり、内容の重複は避けられず、本という媒体の性質上、時々刻々刷新される情報をカバーするスピード感にはどうしても欠ける。でも、終わりの始まりが提示されているのには、ちょっと縋ってみたくもなる救いと感じた。
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新型コロナのワクチン、治療薬、医療逼迫について、解説。
2022年3月くらいまでの情報が記述されている。
分かりやすく、読みやすい。
日本は感染者数、死亡者数が抑えられているものの、ワクチンや治療薬の開発では遅れをとり、またワクチン接種でも遅れをとった。そして、医療逼迫で入院したくても出来ない状況が発生し、他の疾患での救急医療にもしわ寄せが起こった。
今(2022/06下旬)現在、感染状況は落ち着いているが、数々の問題点があったことを改めて認識した。
コロナ危機の行方として、「終わりの始まり」「始まりの終わり」「終わりなき始まり」の3つのシナリオをあげているが、著者が一番可能性が高いとしている「終わりの始まり」であって欲しい。
この2年ほどのコロナへの対応としてベスト・プラクティス7、ワースト・プラクティス7が挙げられているが、これには同意しかない。
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うーん。頭のいい人が頭のいい人同士でやってる分にはいいのだが、かなりたくさん私みたいなわけのわからん感情的に動く人間がうろうろしているのだが。と思いつつ、為政者には賢くあれと求めるのもどうなんだろう。と読んだ。ワクチン競争の話とか基礎研究軽視の話とかつくづく納得ではあるのだが。
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著者の黒木登志夫さんは、東北大学医学部卒業。専門はがん細胞、発がんのメカニズム。
第1章 パンデミックは続く、変異も続く
第2章 ワクチンの基礎知識
第3章 ワクチン開発物語
第4章 ワクチンをめぐる「困った問題」
第5章 日本のワクチンはなぜ遅れたのか
第6章 治療薬への期待
第7章 医療逼迫はなぜ起こったか
終章 コロナ禍の終わりに向けて
2022年3月に書かれた本なので、比較的最近までの情報は入ってはいる。しかし終章に記載のある今後考えられる3つのシナリオの中で、可能性が低いと見られていたオミクロン株の後に、より強力な感染力の変異ウィルスが出現するということが現実(BA5 第7波)となっているのは、思わぬ展開だったのでしょう。
いくつか同様の本が出ているが、きちんと出所を記載したデータを持って解説してくれるのが有難い。
ワクチンが効くメカニズムと変異株への有効性、各国の認証までのステップ、ファイザーやモデルナのmRNAワクチン開発の物語、各ワクチンの有効性データ、治療薬の特徴と効果等役立ちそうな情報もある。
意外だったのは、実は2015年当時はmRNAワクチン開発において世界のトップを走っていたこと。マウスやサルに抗体が出来ることが確認され、mRNA を細胞に運ぶ脂質ナノ粒子も第一三共が特許を持っていた。ビオンテックもワクチンを考えていなかった頃にだ。しかし第1相試験で厚労省は予算を出さず、製薬会社もリスクを回避したことで開発は潰れた。しかし国内産ワクチンの開発が必要だと、今更ながら重い腰を上げた厚労省が予算をつけるようになり、今年2月には第2、3相試験に入ろうとしている。
これだけではなく、厚労省、政府、専門家会議の後手後手対応やトンでも対応は山ほどある。他国よりも感染率が低いのは、日本人が自主的に行うマスク着用や衛生管理、同調圧力に従う国民性のおかげなのだろうが、将来を案じてしまうな。
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86歳になるというもともとはガンの研究者の先生が、新型コロナウイルスについて解説する本の第2弾。第1弾は2020年の12月で、この本は2022年の3月。第6波が終わる頃だから、この時点ではまだ第7波というものすごい波が来る前の状況なので、今だと著者はどう思うのだろうか。「ちょっと増えては消えていくような小さな波、あるいは、オミクロン株並みの高さではあるものの病原性の弱い波などが、繰り返す可能性がある。」(p.228)という「終わりの始まり」シナリオが有力、というのが著者の考える有力な可能性なんだけど、なんか「始まりの終わり」というシナリオ2か、「終わりなき始まり」のシナリオ3に寄っているのか?それともこの第7波が本当の終わりの始まりであることを願うばかりなのだけど。
あんまりこういう、今流行っていることについての本ってそんなに読みたいと思わなかったけれど、この第7波でついに本当に自分の身近なところまで来てしまい、なんとなく買ってしまった。全体としては、ワクチンを含めた治療の話や医療の状況、ここまでの政府の対応に対する評価。ニュートラルな理系本というよりは、大ベテラン的な、ちょっとしたユーモアや脱線、手厳しい書きっぷりもあるのだけど、そんなには気にならないかな。
まずワクチンについて、というよりもプロジェクトX的なワクチン開発の歴史についての話が結構ある。おれはそんなに興味持てなかったけど、たぶん面白い話なんだろうと思う。「巨人の方の上に立つ」(p.43)という比喩を聞いたことがあったけど、これはベルナールというフランスの哲学者の言葉だったらしい、とかそういう部分に興味を持った。あとは「シュード・ウリジンを作っているのは、銚子のヤマサ醤油である。ヤマサは、うまみ成分の研究から生まれた核酸関連分子を1980年代から試薬として販売していた。ファイザーとモデルナのmRNAワクチンにはヤマサのシュード・ウリジンが使われている。」(p.62)とか。ヤマサってすごい。リケンとかもそうだけど、食品の会社かと思ったら、研究する会社だった、みたいな会社って結構あるんだろうか。あとはワクチン忌避の記事を前に読んだり、実は自分の身近にもこういう人がいるのだけど、色んな解説やデータが示された後、結局「問題にするにも足りない反応のためにワクチンを打たないなんて、損得から言ったら、全く割に合わない。」(p.110)ということに、おれは納得した。(これもバイアスなのかもしれないけど。まあおれはそもそも積極的に反対するポリシーもないけど。)「驚いたことに、ワクチンを信用していない国は、発展途上国ではなく、発展した国に多かった。」(p.126)というのも訳がわからない。「『世界の1歳の子供の何%がワクチンを受けていると思うか』という質問を世界の28ヵ国にしたところ、一番成績が悪かったのは日本であった。(略)ちなみにその答えは『85.8%』である。」(p.127)ということだそうだ。そして、「ワクチンは、パンデミックの世界を生き抜くための『シートベルト』」(p.135)という比喩が分かりやすい。そして話は、なぜ日本はワクチン開発に遅れているのか、という話はリアル。「私のこれまでの経験では、新しい提案をしたとき、優秀な事務官ほど即座に『先生、それは無理です』と答え、できない理由を得意げに話す。提案はそこで止まってしまう。日本には、非難を恐れ、『石橋を叩いて、橋を壊す』文化があるのだ。(略)日本の政府効率性を64ヵ国中41番目とあランク付けするのも頷ける。」(pp.153-4)ということだそうだ。ほんと、組織って難しい。という凡人のおれも組織の一員なんだけど、集団浅慮?みたいな感じなのもあるし。
あとは雑多な内容で、エクモって、ちょっと前はよく聞いたけど、最近聞かないなあ。でもそのエクモがどういうものなのかひとつも知らなかった。「太い静脈からポンプで血液を抜き出し、人工肺を用いて、体外で血液中のガス交換を行い、体内に戻す。」(p.183)って、そんなことするのか…。あとは救急車がアメリカは有料という話。「高い掛け金の保険に加入していても、基本料金だけで500〜1000ドル(6.3〜12.5万円)はかかる。G7のほかの国、たとえば中国などは有料である。日本のように、救急車は無料なのは少数派である。(アメリカに行くときは保険に必ず入っておくように。それでも、救急車を呼ぶのは慎重に)。」(p.197)ということらしい。具体的な金額を出されると説得力がある。
最後にコロナの話で、「コロナ病院医師の日誌から」(p.207)ということで、実際に大田区にある荏原病院の内科部長の話というのがあるのがリアル。そんなに大袈裟とか悲壮感が漂わないところが逆にリアルなんだと思う。恐ろしい話なのは「重症化、致死率は60歳を境に大きく変わる。(略)Cov-2は、まるで、高齢化社会を補正しているように思える。」(p.224)、「60歳を境に致死率がこんなに違うとは、高齢者のひとりとして恐ろしくなった。」(p.250)という、なんかSF映画みたいな話なのが怖い。
正確な予測はもちろん出来ないにしても「この後も、波がいくつか押し寄せてくるとしても、2023年春までには実質的に終わるのではないだろうか。」(p.250)という見解を信じて、おれは学校で働いている人間なので、色々な経験を奪われたせいなのか、過去に比べると、その分、生徒が身につけるべき力が弱ってるんじゃないかと思わずにいられない場面に直面していると、さっさと終わって頂かないと本当に困る。(22/09/18)
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COVID-19のウイルスだけの話かと思っていたら、様々な政策への批判もあり、今後の方針の話もあった。
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コロナ危機のゆくえについて、すぐ終わることはないとしても、低い波か高い波か分からないが、繰り返しながら収斂していくことになるのではないか、「終わりの始まり」というシナリオが、いちばん可能性が高いと説く。
そして、これから大事なこと10か条として、①ワクチンの義務化、②行動変容、③高齢者対策、④ハイリスク対策、⑤検査体制、⑥病院対策、⑦ワクチンと薬の開発、⑧コロナ医療のための資源を十分な量備蓄する、⑨ゲノム解析、⑩新たな変異ウィルスを出さない、等を通じて、社会が、そしてひとりひとりが感染を防ぐための対策をとることが大切と説く。
以上が、本書の結論部分であるが、ワクチン開発、ワクチンをめぐる困った問題、日本のワクチンはなぜ遅れたか、など興味深い記述がある。
日本の医療界、厚労省などに対する批判は鋭いものがあり、注目されなきなったが、未だ現在進行形の問題も多数取り上げられている。
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日本ではなぜワクチン接種が遅れたのか。なぜワクチン開発が進まないのか。なぜ医療逼迫が起こったのか。こうしたことに答える本である。まず、政府や省庁の非常に慎重な対応がある。それからワクチン開発に題する予算が少ないこと。日本はアメリカの100分の1の予算しかなかったとのこと。医療逼迫については、病床は多いものの医師が少ないという問題、常に80%以上の病床が稼働しなければ利益を挙げられないことがある。つまり、緊急の事態に対応できる余裕がないのだ。筆者は、これらのことからコロナが日本の医療体制の脆弱な面を明るみに出したと主張する。
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3回目ワクチン接種のタイミングでワクチンに疑問を覚えたため、今更ながら関連する書籍を読んでいます。市場には反ワクチン的な本が多いので逆の立場か中立的な立場を期待して本書を手に取りました。著者はワクチンを義務化すべきという立場で、その根拠は本書の中で多くの事例や論文で解説しています。ワクチン反対派の書籍と比較して読むことで自分の考えをある程度まとめることができましたし、ワクチンはリスクとベネフィットの観点で考えるべきという一節は参考になりました。
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ワクチンの仕組みや開発、その有用性に対する科学的な説明を主軸に、コロナ禍に何が起きて何がなされていたのか、2022年始めのオミクロン株ぐらいまでの変遷が分かりやすく説明されています。また、コロナ禍で顕わになった日本の政治対応や医療体制の脆弱性についても落ち着いた議論、提言がなされていて納得はいきます。コロナ禍の渦中ではフェイク情報が溢れて社会に分断も生じたかもしれないが、社会的には落ち着いてきた現在、このコロナ禍の3年間を冷静に客観的に俯瞰して眺めるためには有用な一冊でした。
ワクチンを自動車のシートベルトに喩えているのは分かりやすく、著者はシートベルトを義務化するならワクチンも義務化すべきと主張しています。事故のときシートベルトをしていることで車に閉じ込められることで命を落とすこともあるだろうけど、シートベルトをしていることで助かる確率が圧倒的に多いから義務化されていて、人々もそれを受け入れている。ワクチンにも副作用の損失があるかもしれないが、mRNAワクチンは高い効果を有していることが証明されているわけで同様であろう、ということです。ワクチンの場合はシートベルトと違って、社会全体のパンデミックを抑える効果もあるといことでしょうか。