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投稿者:kotep - この投稿者のレビュー一覧を見る
錺職の椋屋のお凛は細工好きで小さい頃から父の眼を盗んでは職人の技を身につけるような子供であった。椋屋の四代目が亡くなり、お凜に遺言を残す。その内容は跡目の決定は三年後ということと、時蔵という職人の面倒を見るということであった。
その時蔵は「平戸」という技を持つ職人であった。人物はさておき「平戸」に魅入られたお凛は時蔵との距離も縮まってゆく。
椋屋五代目は誰が継ぐのか、お凛は誰と添うのか?この作品も面白かった。特に錺職人のことや技のことを丹念に調べていたことが凄かった。
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締め付けられれば反発したくなる、意趣返しを見事にやってのけたところはスカッとした
結末は二転三転、予想を裏切られ切なくも光は見えた感じ
お凜は自分の恵まれた境遇を“ずる”と言っていたけれど錺に対しての真剣さ、才能を皆が理解してくれたからこそ
ますます精進していくのだろうな
そして何より四代目宇一さんの先見性に唸らされた…ここまで見通せる人、そうそういないと思う!
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千両かざり 女細工師お凛(新潮文庫)
著作者:西條奈加
発行者:新潮社
タイムライン
http://booklog.jp/timeline/users/collabo39698
職人世界の粋と人情を描く時代小説
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遅まきながら、受賞おめでとうございます。
「ごんたくれ」や「六花ふるふる」につながるような内容でした。
お義兄さんが素晴らしい‼︎
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銀泉細工??簪のような細工物?それに銀のお不動さん?
お地蔵さんのような像に何か着せたり持たせたりしているもの?大きさは?
細かく想像することはできなかったけれど、知らないままに読んでも面白かった。
後で検索してみました。美しいアクセサリーや小物でした。
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錺職の老舗「椋屋」の娘・お凜は、女だてらに密かに銀線細工の修行をしている。跡目争いでざわめくなか現れた謎の男・時蔵は、江戸では見られない技で簪をつくり、一門に波紋を呼ぶ。天保の改革で贅沢品が禁じられ商いが難渋する店に、驚天動地の大注文が入る。江戸の町に活気を与えたいと、時蔵とお凛はこころをひとつにするが―。職人世界の粋と人情を描く本格時代小説。
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奢侈禁止のご時世と、そこに生きる錺職人たちの気概、店の跡取り問題、などなどさまざまな要素が織り込まれ、細工への情熱や恋心と言ったスパイスも加えて、一筋縄ではいかないなかせる物語である。病で早世した椋屋の四代目・宇一の深慮遠謀がなんとも見事としか言いようがない。時蔵のことは残念でたまらないが、その分お凛が輝く明日が待っているのだろう。江戸の世に迷い込んだような心地にさせてくれる一冊だった。
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西條さんの作品は、いつでも女たちがかっこよく、手に職を持ったり店を切り盛りしたり、時に大胆に行動を起こしたりする様子に勇気付けられる。
職人の世界を細かく見せてくれて、とてもワクワクしながら読んだ。ただ、かざりのことをまったく知らないので、きらめく精緻なモノを想像して読みはするのだけれど、なかなか…。後日少し調べてみたい。
そして、例によって想う人と添えない展開と、最後にちょっとした救いがある、切なさと暖かさに胸を突かれるお話だった。
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すごく好きです。
錺や細工、どんなものかと想像しながら読んでいました。いつだって何かに直向きなひとは格好いい。
女であるがゆえに職人になれないお凛、才がありすぎるゆえに苦難が多い時蔵、そして椋屋、生駒屋の人々。
みんなの化学反応のような変化が、本人たちは大変だろうけど、読み手からするとわくわくするものでした。
歴史が絡むのでわからないことも多々あるのですが、ひたすらに自分のできることをと駆け抜ける彼らのように、読みふけってしまいました。
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意外な展開で、最後じんわりしてよかった。雪華の香炉を見れるなら実物をみてみたい。
「日々の暮らし道具を拵えるのがそれが職人だと宇一がいった。」「技や意匠をいくら精進してもひとりよがりではやさしい品にはならない」「百年にひとりの傑物だ。だからこそ職人にはなりきれねえ。奴には才がありすぎるんだ。」
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2009年刊行の『恋細工』を2011年に文庫化したものを、直木賞受賞で、改題の上再刊
江戸の錺職(金銀細工工房)椋屋の四代目親方が早世し、「次の親方を3年後に義妹で三代目の娘お凜が決めること」という遺言を残し、「平戸」という線細工の技術を持つ時蔵を入れる。孤高の時蔵は他の職人と折り合いが悪くトラブルが続くが、お凜は平戸の技術を真似いくうちに時蔵に惹かれる。
しかし、水野忠邦の天保の改革によって奢侈として金銀細工は禁じられて、工房は危機に立たされるが、販売を担当する同族の生駒屋から、密かに千両で錺神輿の製作が依頼され、工房は一つになって取り組む。生駒屋の政界工作で神田祭で神輿が披露されると民衆からはやんやの喝采を浴びるが、時蔵は意匠をとがめられて捕らえられ、獄死してしまう。
3年経って、お凜を五代目にという四代目の真意が明かされるが、お凜は断って時蔵の残した意匠によって雪の結晶をあしらった香炉を製作して秋田藩に献上し、秋田から技術を修行しに銀細工師がやってくる。
『金春屋ゴメス』の印象が強烈すぎて、その後のこの作品は読んでいなかったが、なかなかの重厚なあじわい。
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初西条氏の本。王道のストーリーを詰め込んだ作品で、あっという間に読んだ。
義兄の四代目が死ぬ直前に義妹お凛に遺した遺言と遺書。次の五代目は弟子の職人5人と外部の職人の合計6名を、3年後にお凛が選ぶのが遺書の内容。
遺言では外部の職人を牢から受け出す事がお凛に課せられた。外部の職人は天才的な技術を持つが、人との交わりが出来ない。お凛との結婚も絡み、弟子と外部の職人との大揉め。時は緊縮財政の水野の改革時代。贅沢な細工も禁止されて、世相も店も仕事が無くなり、更に店の雰囲気が悪くなる。親戚の大店から個人的な千両の仕事で何とか店が纏まる。完成するも贅沢禁止に引っ掛かり、職人が牢に繋がれる。2つ目の遺書が開かれ、5代目が明かされるが、遺書の通りには成らず。その理由が最後に実る形になる。目出たし。
千両細工の経緯等疑問点はあるが、全体としては面白く読ませて貰った。
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恋であり恋でなく、仕事に打ち込み、細工に没頭する職人の魂の触れ合いという絆を結んだのかな、と。
最後に訪れた人との会話に私は涙した。
読む人によってまた別の場面で泣くのだろう。
胸に来るポイントが多くて、読み応えがあった。
お千賀がすごく良い。応援したくなる人物が多かった。
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思わず惚れ惚れしてしまう作品というべきか。いい小説を読んだなあ、としみじみと振り返ることのできる温かく爽やかな時代小説です。
ヒロインとなるのは飾り職の老舗「椋屋」の娘・お凛。若いながらも椋屋をおかみさんのように切り盛りしていたお凜は、次代の椋屋主人を決めるよう託されます。そして椋屋に先代口利きの新たな職人がやってくるのですが、これがなかなかのくせ者で……
とにかく人物描写が巧み。女性ながら細工に幼いころから情熱を注ぎ、一方で女性ゆえ男社会である職人の世界では自らの腕を発揮する機会のないお凛。そんな彼女の葛藤とそれでも断ち切れない細工への思い。そうした複雑な感情を巧みに描きます。
そして後継者争いのさなか椋屋に現れた謎の職人・時蔵。技術こそ間違いはないものの、性格に難ありで椋屋の職人たちの間には徐々に亀裂が入り始める。
椋屋をまとめなければいけないという責任のもと、時蔵に振り回されながらも奔走するお凛。一方でその卓越した技術や謎めいた人間性に徐々にお凜は惹かれ始める。
この恋愛感情の初々しさやみずみずしさも読んでいて非常によかった!
お凛以外の登場人物もそれぞれがとても人間味があって生き生きしています。お凜の友人であるお千賀との信頼関係と友情も心が温かくなる。職人たちであったりお凜の仕事相手や仲のいい同心であったり、それぞれに思いや葛藤というものが描かれていて、そして見せ場がある。それが小説の中身をより強固にしていく。
天保の改革により芸術品がぜいたく品として取り締まられ窮地に立たされる椋屋。そこを乗り越えようとする職人たちの矜持!
小説の一番の魅力としてあるのは、やはりお凛の懸命さによるものと思います。後継者問題。職人たちの派閥争い。改革による仕事への締め付け。そして自分の細工の腕が認められることの喜びと挫折。女職人としての孤独。そして恋心。
様々なトラブルに対しお凜は懸命に真っ直ぐに挑む。NHKの朝ドラのようなヒロインの爽やかさと一生懸命さにまず共感し、そしてお凛以外の魅力的な登場人物たちにも心つかまれ、権力や社会の規範と対峙し職人としての矜持を貫く姿に思わず心打たれる。
時代小説らしい人情と矜持を真っ直ぐに描いた、心に爽やかな風が吹く見事な一作でした!
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錺職人の老舗「椋屋」の娘のお凛は密かに銀線細工の修行をしていた。
そこへ跡目争いをすることになり突然現れた時蔵。
贅沢品が禁じられたことと跡目争いの事を描きながら、
職人の世界を描いた時代小説。
これまで読んだ西條さんの作品の中でも
江戸の町の人達の活気や人情などが
生き生きと描かれていて、まるで目の前に繰り広げられて
いるかのような活気のある会話が今回も
引き立っていて読んでいてとても面白くどんどんと
物語に引き込まれてきました。
特に今回は女性では珍しい錺職人で若くて経験も浅いということもあり、
この時代にしても珍しい職人ということもあるので、
この事に対してもこの時代に対してどう立ち向かっていくか
というのも見ものでした。
そして突然現れた江戸では見られない手法を持った時蔵の存在。
最初の頃のお凛の時蔵に対する思いが徐々に変化していくのを
見ているとほんのりと甘酢っぱさを感じる部分もあって
最後までどうなるのかとワクワクとしていましたが、
突然の別れが来てしまって吃驚してしまいました。
これが時代小説の驚きの一つかなとも思いました。
お凛の仕事に対する真面目さや考え方、取り組み方などが
とても好印象だというのもあって、周りの人達も
それを応援するかのように支え合っていたのが微笑ましい光景でした。
年頃の近いお千賀の存在もお凛にとって刺激になったり、
良い友達のような関係でもあって良かったです。
平坦なような内容であっても、
ひと山超えたらまたひと山あったりと
物語が繰り広げられているのであっという間に読み終えてしまいました。
お凛さんの作った簪を見てみたいなと思ったり、
この作品でまた知らなかった日本の伝統ある文化や
職人の世界が垣間見れて良かったです。
なんといっても読了後が清々しくて心も温まる作品でした。
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じっくり読めた。沁みた。険しい先行きに主人公が女性ってもの凄い応援した。物語が与一からどんどん繋がり、大事な後目を決めるという大きな舞台でした。ただでさえ癖が凄い職人の世界で、最初の紛争から心を一つにして行く、祭りも交えて気持ちがよくて粋ですね。なんか親方も出来ると思うけど、職人になって秋田に毎年行くとかいう、やっぱり粋なのかな。2人は夫婦になって欲しかったです。続けて2冊読んだし、満足の読書でした