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登場人物たちはみな、大なり小なりタブローに人生を狂わされた”愚か者”。しかしこの”愚か者”たちの熱意と信念は尋常ではない。個人的にこういう熱いドラマは非常に好みで、ページをめくる手が止まらなかった。
”豪華客船”のような圧倒的存在感を放ち、世界大戦の真っ只中で、豪胆な行動力をもって偉業を成し遂げんとする松方幸次郎。
彼の人間的魅力もさることながら、その船の”艀”として美術知識を総動員してコレクション形成に協力する者たち、巨大な光である松方幸次郎を”影”として献身的に支える者たち、周囲の人々がどんな想いで彼と共にあったか、彼らの心情の動きが緻密に描かれており、感情移入は必至。
松方幸次郎を含め、各登場人物それぞれがハッとして、タブローの持つ可能性や、物語の主軸である大事業に向けて真に心を動かされる瞬間、読んでいた自分もハッとさせられる。
ロシアのきな臭いニュースが続くが、彼らの”愚か”な生涯が無駄にならないように。彼らを”美しい”と語り継ぐことができる世界を維持していかなければならない。
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美術館へ行きたくなった。絵画や彫刻など芸術作品を見ることは好きだったが、この作品を読んだので、作品の見方が変わるかもしれない。作家が作品を描いた場所やその時の状況について、想像を膨らませ、その作品から感じることを受け止められるといいな。作品を見るのではなく、作品そのものを感じる。そのような作品に出会えることが楽しみになった。原田マハさんの作品は初めてだったが、初めての感覚がたくさんあって、読んでいて楽しかった。別の作品も読んでみたい。
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美術愛に溢れた一冊でした。物語の中に登場するパリの街並みが頭に浮かび、異国の文化や慣習を感じながら読み進めることが出来ます。まるで自分が旅をしているかのような感覚…原田マハさんのこうした作風が大好きです。芸術作品の持つ力が、マハさんの文章を通して、永く永く、多くの人々に伝え続けられますように。
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カラー写真もTVもない時代、登場するような名画はどれだけ人々に輝いて見え、心に響いたのでしょうね。
先人の想いと功績に敬意と感謝を込めて
改めて国立西洋美術館に足を運んでみようと思います。
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P355からがハラハラしてよかった。
日置とジェルメンヌの関係もよかった。
また国立西洋美術館に行きたい。
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絵画には全く興味がなかったが、原田マハの小説ですごく身近なものに感じ、興味を持つようになった。本作も歴史的事実に基づきタブローに魅せられた人々を爽やかに書いた素晴らしい話であった。
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とっても大好きな本!この本を読んでから西洋美術館に行くたびに、松方さんありがとうの気持ちしか湧きません。この本を読んで初めて西洋美術館の常設展に足を運んだけれど、今ではとっっても大好きな場所の一つ。500円でモネやルノワール、ゴッホなど数々の名作が観れることが心から嬉しくて、でもこれは決して当たり前ではなく、数々の苦労や努力?の賜物で、私は芸術家でもなんでもないけれど、日本の若者のために本物の美術を、という想いで設立に携わり尽力してくれた全ての人に、心からの感謝を捧げたい気持ちになる作品です。
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美しき愚か者たちのタブロー
この題名がぴったりのお話だった。
絵のために奔走する松方幸次郎、吉田茂、田代さん、日置さんなどなど。
どこまでが真実でどこからが想像の世界なのか分からないけど、とにかく"美しき愚か者たち"が守った絵を、国立西洋美術館に見にいってみたくなった。必ず行くぞ!
原田マハさんの小説はやっぱり最高だ!
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学校では教えてくれない日本史。
松方コレクションって聞いたことはあったけどどんなものだか全く知らなかった。
今度ゆっくり美術館で彼のコレクションを鑑賞してみたい。
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美術館巡りは、私の大好きな、趣味の一つで
当たり前に見れる事に改めて感謝しました。
激動の1900年代を生きた人たちの熱い思いを
感じ、気分が高まりました。
一つ一つわからない絵を調べながらパリ旅行でもしているかの感覚で読めました。
読み応えのある素敵な本です。
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「美しき愚かものたちのタブロー」
この言葉に、素晴らしい背景がたくさんあった。
絵画が見たいと思えば、見れる時代に生きていることがどれだけ幸福なのかを思い知った。
戦争に負けた日本が、文化・芸術という側面から日本を復興した国へと導きたいという人たちの気持ち。
争いで勝ち取る強さではなく、美しいものを美しいと共有して次の世代の心を豊かにすることこそが本当の強さだと。
マハさんの美術小説には、毎回影なる立役者がたくはん登場する。
その者たちの根源は美術を愛する者への愛が突き動かしている。
好きなものを否定するのではなく、お互いに共有して熱を上げ、その熱は温度を上げ、唯一無二の力強さとなる。
今の時代、そんなことってないんじゃないかな。
最近はSNSでなんでも見れる。
「いいね!」でスターになれるし、好きな物が同じだと嫌がる人、もっと前から知ってたと言う人、私が育てたようなもんだと言う人、そんなものよりこっちの方がいいと押し付ける人。
なんでこんなにも、「好き」に否定的なのか。
私はこの作品に出てくる者たちに感謝したい。
私がゴッホに巡り会えたこと、アルルの部屋を美しいと思えること。モネの睡蓮に感動できてるということ。
全てが影なる立役者たちの愛。
愛は、新しい世代に新鮮な愛をもたらしてくれた。
いつか、本物を見に行こう。
画集ではなく本物の絵画を。
そして守り抜いた全ての人に感謝を。
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現代で世界の名画を見れることが当たり前じゃないことを強く感じた一冊
様々な人の情熱が繋がって、紡がれて今絵画と出会えるのだなと感動した。
上野の西洋美術館で、松方さんの写真に思わず手を合わせてお礼を伝えてしまった。
美術館で絵画に会えることがより嬉しくなる良書
A+
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2019年の展覧会時に読んでから観に行こうと思いながら、どちらも機会を逸してしまった。展覧会だけでも行けば良かったと深く後悔。興味深く読んだが、同じ内容の文章が繰り返しでてくるのが残念だった。
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我慢出来なくて、この作品を読み終わらないうちに、上野の国立西洋美術館に行った!(笑)
タブローの横の解説の所に『松方コレクション』と書いてあるともちろん嬉しくなった
「ほんものを見たことがない日本の若者たちのために、ほんものの絵が見られる美術館を創りたい」
「素晴らしい美術館を持つ国は品格がある。戦争でなく平和を」
絵を一心に買い集めた男、松方幸次郎の思い
それに協力した男達の情熱
国立西洋美術館のいしずえ、松方コレクション誕生秘話である
小説で楽しみ、美術館で楽しみ、二度美味しいとても有意義な時間が過ごせた
原田マハさん、ありがとう!
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国立西洋美術館の松方コレクションを巡る壮大な物語。
日本に本格的な西洋美術館を建てるという夢のもと、いかにしてコレクションは作り上げられ、戦禍から守り抜かれたのかが描かれている。
国立西洋美術館に行ってみたくなった。
一点、ちょくちょく時期や場所が行ったり来たりするのだが、目次がないので遡ることが難しい。時系列を読みながら整理するのが苦手な自分にとっては少し読みづらさを感じた。