紙の本
未来のアメリカ?
2022/08/30 16:13
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:とめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
三流映画のなかの薄暗いディストピアのような世界。不確実な環境の中でどこかほのぼのとした温かみすら感じる老人家族が銃を持って漂流する話。何だろう、この読後感。
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ウイルスが流行り食べ物はフードバンクから提供され、治安は悪く、物もほとんどなく住むところも転々とするような世界。そんななかを生きる老人と娘と孫。まず冒頭の展開から驚かされる。荒廃した世界での暮らししか知らない孫を憂いたり、でも老人の生き方と家族を守ろうとする意志と優しさに心掴まれる。希望が限りなく少なくなっている世界でどう生きていくのか。ラストは希望なのか、違うのか。色んなことに思いを馳せる作品。
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ウイルスのパンデミックによって荒廃した世界。治安は著しく悪化し、物資も乏しい。アメリカのある町に暮らす老人は、悪質な犯罪と公権力の横暴に脅かされながらも、娘や孫と懸命に日々を送っていたが……。
不思議な読後感。
久しぶりにリューインの作品を読んだ。これを機に、過去作を読み返してみたい。沈黙のセールスマンの新版が出るらしいし。
ポケミスに限らないことだが、翻訳書の値段が随分高くなった。売れ行きが心配になる。
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未知のウイルスが蔓延したことにより荒廃した世界。その世界を生きる老人、老人の娘、娘の息子。ただし未知のウイルスも、登場人物たちも、その固有名詞を排して描かれている。とはいえ、本作が新型コロナウイルスが流行した2021年に刊行されたのは注記しておくべきだろう(日本で翻訳されたのは2022年)。1942年生まれの著者が79歳で出版した作品である。荒廃した世界においては本来の警察は崩壊しているらしく、“金バッジ”と呼ばれる存在が不法者を取り締まっている。そんな世界を舞台にしてはいるが、主眼が置かれているのは、先に書いた老人たちの一家である。
本作のメイン登場人物である老人は、その年齢ゆえに多くの過去を持っている。200ページ超ほどの本作の中でも、過去を語る場面が何度か出てくる。そんな老人を中心に据えられて展開される本作は、それほど大きな事件が頻発するわけではない。非常にミニマルな作品と言えるだろう。そういう意味では手軽に読める作品ではある。中盤以降には、老人の孫(娘の息子)がキーマンとなる展開が用意されており、読みどころのひとつとなっている。ラストには、こんな荒廃した世界における希望が示されているようでいて、どこか物悲しさが漂う。著者によるその他の家族小説にも興味が湧いたので、いずれそちらも読んでみたい。
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ハードボイルド刑事ものが有名な作家さんとのことですが、自分は最初に読んだのがこの作品なのでこういうやわらかめな作風なのかなと思ってしまった。
全体的に読みやすいのでさらっと読んでしまうが、実は深く伝えたいものが見え隠れしている印象。
訳者さんの手腕によるところですが、とてもよく原本のニュアンスを出している作品という気がしました。
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名前は知っていたけれど、初読みの作家。
解説は北上次郎氏、訳は田口俊樹氏というキャストからして実力作家なのだろうけど、たぶん最初はこれじゃない方が良かったんだろうなと。
パンデミック到来後の世界の未来を描いたディストピア小説。
第一章の出だしは「おっ、かっこいい家族小説か?」とも思ったのだけれど、その後は主人公の老人家族以外ほとんど登場人物が出てこない。
そしてインターネットはおろか、テレビ、新聞、口コミですら情報の流入がない世界を生きる物語。
どこまで行っても息苦しく、希望が薄い。
まぁ、こんな世界にしてはいけないという思いばかりは強く感じた。
訳者あとがきで、主人公の老人のやさしさを称えて、”やさしくなれないようじゃ、私など息をしている値打ちもなくなる”と、かのハードボイルドのレジェンドも言っていた、と引用を用いるが、「ん?これって彼のセリフだと思うけどなんか違和感」
と思ったら最近創元推理文庫で出た新訳は田口俊樹氏だたのですね、納得。(ひっそりと宣伝が含まれていて笑)
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コロナ禍の影響が大きく反映されたディストピア小説。
ディストピア物らしい大事件が起きそうで起きない、老人が過去を懐かしみながら退廃した世界を家族とサバイバルする日常を描いているのが独特。
事件が起きそうな材料が出てもスルーするからモヤっとする。でもラストは良い。
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ウイルスのパンデミックにより国の機能は停止。
自分の身は自分で守るしかない。
老人は娘と孫のため、崩壊した世界のありとあらゆる物と対決しなければならなかった。
絶望だけではなく、希望も描かれている(と、思いたい)
とても読みやすかった。
ヒデミス!2022 選書で手にした一冊。