投稿元:
レビューを見る
海堂尊『コロナ狂騒録 2021五輪の饗宴』宝島社文庫。
『チーム・バチスタの栄光』シリーズの新章『コロナ狂騒録 2021五輪の饗宴』の続編。
ノンフィクション・虚構コメディという感じで政府や地方自治体の新型コロナウイルスへの無策を揶揄しながらストーリーは展開する。この際、全てを実名にして、おバカどもの愚行を赤裸々に描いた方が面白かったのではないかと思った。
最後に『これはフィクション』とでも書いておけば許されるだろう。
現在、日本は新型コロナウイルス感染症の第7波にさらされている。状況が一変したのは第5波からだろう。それに比べれば第1波、第2波などさざ波程度だ。恐らく第7波は全国で1日20万人近くの感染者数になるだろう。そしてウイルスは変異し、この状況は後2年は続くのではなかろうか。にも関わらず政府も地方自治体も行動制限をせずに自助で状況を乗り切ろうとしている。
新型コロナウイルスの第2波が収まりつつある中、念願の東京五輪の開催を待たず、安保総理大臣が体調不良を理由に辞任する。代わって総理大臣となった酸ヶ湯はGo Toキャンペーンを強行し、東京五輪開催に向けて邁進する。やがて、変異株が上陸し、各地で医療崩壊が始まる。
愚かなワクチン政策に緊急事態宣言。税金を使った旅行と外食の促進キャンペーン。当初予算の3倍の無駄金を使った東京五輪の強行開催にボッタクリ男爵の登場。政府の危機管理能力の低さが再び露呈される。
2019年の12月。中国の武漢で最初の新型コロナウイルス感染者が見付かる。年が明けて2020年1月。中国では春節を迎え、国内で民族大移動が始まる中、感染者数が急増した武漢でロックダウンが決行された。
まさに春節の前の週、自分は仕事で中国の広州に居た。帰国する1月17日に車で空港に向かうと春節を目前に道路も街中も大きな荷物を携えた人びとで溢れていた。空港も国内線のロビーはお祭り騒ぎで、国際線ロビーも驚く程の混雑だった。
自分は中国全土に感染が広がる前に帰国出来たのだが、翌週からの上海出張どころかそれ以降の海外出張は全て中止となった。そして、その後にまさか世界中がパンデミックに見舞われ、3年間も苦しめられることになるとは全く考えてもいなかった。
定価850円
★★★★
投稿元:
レビューを見る
筆者は安倍・菅政権、大阪維新の会が相当嫌いなんだろうなぁと感じました。
コロナ禍、ネットの中で見ていた内容が多く含まれていたので あの頃あんなだったなぁと振り返りながら読みました。
うがい薬や雨ガッパの件は 私も子供の発想やんって そんな人達が政治家なんて大丈夫なん?って思ってました。
あらゆることに利権が絡んでいて ホント嫌になりますね。
現在は毎日の新規感染者は 発表されなくなりましたが 沖縄では9波かって言われているみたいですが…
ワクチンもあんなに何度も打って身体は大丈夫なんかな?って思います。
投稿元:
レビューを見る
フィクションの体を取ったノンフィクション第2弾.国民を含め,この国にとって医療システムとは何なのだろうか.問題なくうまく回っていることが当たり前,という考え方から一人一人が脱却するための一助としての役割に本書がなるとよいのだが….
投稿元:
レビューを見る
新型コロナへの対応のマズさが描かれている。
登場人物が多く、実名を推測するには中途半端な名前だったり、読みにくかった。
投稿元:
レビューを見る
前巻同様、かなり政治色の強いストーリーとなっており、このストーリーの感想を人目につく場所で披露すると炎上を起こしそうな内容である。
政府に失敗は多かったのかもしれないが、現時点では正解がわからない問題のため、批判を強くしすぎると、偏った意見のように感じる。
医療側の意見の代弁としてなら理解できる節も多い。最前線の医療従事者の大変さは、真実に近い内容なのだろうと感じる。ただ、検疫がうまく機能したとして、ゼロコロナに大きな経済的代償がある事が判明している今、果たしてそれも正解なのか、という感じがしないでも無い。
PCR抑制や非常事態宣言等、是非が問われる対応はいくつもあったが、それに正確な採点をつけられるのは、もう少し時間が必要なのだろうと思う。
投稿元:
レビューを見る
「チームバチスタ」最新作第2弾。 昨年2021年の出来事を基にしたリアリティ溢れる内容。ワクチンの部分が専門用語が多くてむずかしかったです。 それにしても、日本の政治がそれほどまでにいい加減なのかと心底がっかりさせられました。 ネットではいろいろ情報が公開される傾向にあるので今後は良い方向に向かっていきそうですけどね。
投稿元:
レビューを見る
前作に引き続き、コロナ禍で桜宮サーガの面々がどう関わっていたかというお話
前作以上に政治のグダグダ加減が描かれている
実際の出来事の経緯を説明しているだけで、創作の要素はそんなにないかも
政治判断の裏側には私利私欲に塗れた呆れた理由があったというのが創作要素だろうけど
でも、実際にそんな損得勘定があったんだろうなぁとは思う
ところどころ、現実とは違う展開があって、その辺はやはりこれまで物語を追いかけてきた身としては面白く読める
やはりヤツが全てを破壊していくんだなぁ……
まぁ、総理に面と向かってああもズケズケ言える人物といえばそうなるよなぁ
あと、村雨のモデルは橋本だと思ってたけど、それは蜂須賀の方でしたね
となると、村雨のモデルはいない事になるなぁ
ま、実際にこれだけ有能な政治家はいませんしね
コロナ禍で以下に政府がひどい対応をしていたか、そして国民がどれだけ馬鹿だったかがまざまざと突きつけられる
史実を物語として記録しておくという試みは成功しているんだろうか?
表現の仕方がどうしても政治批判になってしまうので、偏った物語に思えてしまう
前作の感想でも書いた通り、桜宮サーガとするには時間軸に無理がある気がする
個人的には、この2作は桜宮サーガの設定を使った別物という位置づけにしておきたいかな
投稿元:
レビューを見る
『コロナ黙示録』と同じく、フィクションというよりも現実の反映が強い。『コロナ黙示録』『コロナ狂騒曲』の新たな登場人物は現実の登場人物がモデルになっており、事件も現実を反映している。『コロナ黙示録』では桜宮サーガの登場人物の物語と現実の反映にギャップを感じ、小説として面白さを感じなかった。『コロナ狂騒曲』では慣れたためか違和感は減少している。
本書は菅義偉首相も小池百合子東京都知事も批判の対象である。しかし、コロナ対策を怠る菅首相に緊急事態宣言を迫ったことは小池知事の功績である。そこはもっと評価できるのではないか。
『コロナ狂騒曲』は政府が国民の行動を制限することを「主権侵害」と表現する(376頁)。これは私権制限と呼ばれることが多い。しかし、人権意識の低い日本社会では私権を公益よりも低いものとみて、公益のために制限することを安直に正当化する傾向がある。それ故に国民主権の観点から主権と表現したのだろう。自由を行使することが主権である。
『コロナ狂騒曲』の狂騒曲はコロナ禍そのものよりも、コロナ禍を無視した東京オリンピックなどの乱痴気騒ぎを批判するものである。以下の実態が狂騒を表している。「五輪関連業務で来日した英米人が、深夜に飲酒し大暴れした上に、コカインをやっていて麻薬取締法違反で逮捕された」
投稿元:
レビューを見る
前作「コロナ黙示録」を読み終えた後、購入。ブクログのレビューだはあんまり褒められてないので、まあそういう作品なんだと思いながら、ページをめくる。
天満君の復帰。輝天炎上読んでから9年経っていた。桜宮すみれとはどうなったんだ。
政府や地方自治体のどうしようもなさがきっちり描かれているけれど、事実とフィクションの境がチョッと判らない。特に製薬メーカーについては、そういう事実があったのかな。政権批判も辛辣だけど、維新の会も舌鋒鋭く叩きまくっている。海堂先生の目から見たら、この程度の輩たちということなんだろうな。
如月、若月の二人の師長に率いられる看護婦さんたちの頑張りと何の支援もしない行政。この点は肝に銘じなければ。
彦根がやっぱり判らない。何を考えて行動しているのやら。
投稿元:
レビューを見る
2020年9月から2021年7月の、五輪開催と引き換えに政府が人命を危機にさらした期間の話。
世界では幾つもワクチンが開発されて、その効果に関しては、中国製、ロシア製のデータも出てきた。
小説だから文面のまま信用するわけにはいかないが、忘れていたので調べ直すきっかけになった。
この時期の政治家の無策や非常識な言動が、笑点の大喜利の風刺ネタのように書かれている。
ワクチン接種後の死亡例の話題も出てきたが、「ワクチンと死亡との因果関係が評価できない」と責任逃れしている。
コロナワクチンの功罪については公的発表を全面的に信用せず、別途確認しようと思っている。
3年経った今読んでみると、よくここまで書いてくれたものだと感心する。
そんなこともあった、と当時の自公政権やマスコミ報道のいい加減さにイライラしたことが思い出される。
事故原発の完璧なアンダーコントロールのもと行う「復興五輪」というスローガンを語る人もいなくなり、
「人類が新型コロナウィルスに打ち勝った証として」の五輪どころでもなく、
変異株によるコロナ感染爆発の中「安全安心な大会開催を目指す」五輪が強行されようとしているところで第2作は終わり。
残るは「コロナ」三部作の最後、「コロナ漂流録」だが、カルト教団や大阪万博の話題も出てくるらしい。
どんな話になっているか楽しみだ。
投稿元:
レビューを見る
本作より少し前の時期を背景にした別作品を興味深く読み、「続き?」と手にした作品だった。大変に興味深く読み、頁を繰る手が停め難くなり、素早く読了に至った。
前作では2020年前半頃の状況を背景としていた。本作は2020年後半から、2021年7月に東京五輪開催となる辺り迄の状況を背景にしている。
作品は、作者がこれまで綴って来た種々の作品の劇中人物達が多数登場し、そしてモデルが何となく判る様々な劇中人物達も多く登場し、実在地名と架空地名が混在する「作中世界の日本」で、現実の動きを少し反映した情勢が在る中で展開する。半ばリアルタイムで諸情勢を追いながら、御自身が医学者でに在るという作者の観方を織り込んで、連続テレビドラマや、少し未来に制作されるドキュメンタリーを文字化、読物化したというような雰囲気で展開している。
作者がこれまで綴って来た種々の作品の中、“コロナ”の語を冠し、近年の社会情勢等を踏まえた新しいシリーズの下敷き、“核”としているのは「バチスタ」のシリーズである。脚光を浴びた新たな技術ノウハウを駆使した手術を巡るスキャンダルが生じ、それに対応するという物語が在った。(個人的には未読だが。)その物語の舞台となった「東城大学」が本作の主要な舞台にもなっている。「東城大学」は東海地方の架空の街、桜宮市に在る。医学部を擁し、大学病院が在る。この大学病院に在る医師の田口や、「バチスタ」の件以来の付き合いである厚生労働省の型破りな技官である白鳥が物語の鍵となっている。
作中でもコロナが大変な問題になっている。前作ではコロナが拡がる中で混乱が生じ、田口や白鳥が奔走する。「東城大学」ではコロナ患者を受け容れる体制を苦心しながら構築していたが、本作に至って、懸命な取組に綻びの様なモノが生じ、田口達が苦慮しながら対応する。
そういう他方、ワクチンの問題、観光を振興するキャンペーンのこと、“マンボウ”やら“緊急事態”やらの問題、東京五輪の件と様々な動きが在る。長期政権を投げ出すような形になった首相の後、政権で官房長官を務めていた人物が首相となって色々な動きが在る。
「物語」として、多少の誇張と抽象で些か戯画化もしながら、「2021年頃?」と問い掛ける興味深い中身になっていると思った。色々な意味で興味深い作品だ。広く御薦めしたい。
投稿元:
レビューを見る
専門用語が多く読み進めるのが結構大変だった。
しかし、1番笑ったのは、白鳥の相変わらずのキャラ。総理に対してもバカ扱いで有無を言わせぬ物言い。頭が良すぎて、根回しも完璧。怖いもの知らずで、どこにでも飛び込んでいく強さはダークヒーローの様だ。コロナ禍に開催されたオリンピックの裏側では様々な政治の確約が行われていた。ぜひ、白鳥の様な人に活躍してもらいたい。