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読んで良かった。大学院へ行って研究を続けるモチベーションをくれた本。
将来立派な研究者なれたら、「この本が私の人生を変えました」と言うと思います。もし研究者になれなかったとしても、やはり同じ事を言うと思います。
セル・オートマトンを用いて車の渋滞を説明するモデルを提示。シンプルなミクロの動きが不思議なマクロの現象を導く、複雑系の世界に触れられる。経済への応用についても少しだけ触れられているが、そこはあんまりピンと来ない。そこまでやられてしまってはこっちは商売上がったりなんですが。
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先日読んだ、同著者のもうちょっと詳しい本。
たまたま今日、明石歩道橋の事故の判決が出てましたが、あの事故についても語られてて興味深かったです。
渋滞が起こるメカニズムはわかってきたけれど、じゃあ渋滞をどう解消するのか、というのはまだまだこれからの分野。
実生活に密接に結び付いた研究は面白い。
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[ 内容 ]
人混み、車、アリ、インターネット…世の中、渋滞だらけである。
生まれたばかりの研究「渋滞学」による分野横断的な発想から、その原因と問題解決の糸口が見えてきた。
高速道路の設計のコツから混雑した場所での通路の作り方、動く歩道の新利用法まで。
一方で、駅張り広告やお金、森林火災など、停滞が望ましいケースでのヒントにも論及。
渋滞は、面白い。
[ 目次 ]
第1章 渋滞とは何か
第2章 車の渋滞はなぜ起きるのか
第3章 人の渋滞
第4章 アリの渋滞
第5章 世界は渋滞だらけ
第6章 渋滞学のこれから
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
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☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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極めて平易な文で渋滞が解説されていて、渋滞についてもっと知りたくさせる。
何より社会のことが分かるって、楽しいですよね。
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渋滞学とはどんな学問かを知るには一番適した本です.
渋滞学関係の書籍を読み始めるなら,最初に読むべき本だと思います.
タイトルが渋滞シミュレーションでなく,渋滞学であることに注目してください.渋滞学は西成先生の構築した学問で,単なる渋滞シミュレーションでなく,あまたある「流れ」を取り扱うことができます.「流れ」には必ず渋滞が存在し,その渋滞が良い渋滞ならより渋滞させる方法を考え,悪い渋滞なら渋滞を軽減する方法を考えるということが基本精神です.実際,例としてアリの行動や脳内の神経細胞の栄養分の渋滞など様々な渋滞を扱っています.
非常に壮大な研究だと思います.読む価値十分です.
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インターネットの輻輳も渋滞の一種だが、世の中にあふれるあらゆる「渋滞」の共通点を考えて、genericな学問にしようという試み。
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ニュートン力学の三つの法則(1.慣性の法則・2.作用=反作用の法則・3.運動の法則)に乗っ取っているものは「ニュートン粒子」といい、ほとんど全ての物体の運動を解析ができる。しかし人間の動きは、これらに当てはまらないため「非ニュートン粒子」あるいは「自己駆動粒子」という。「自己駆動粒子」はニュートン粒子でないため、自分自身の意思を持っていて自発的に動けてしまう。別の分子から「力」を受けても、社会心理学的なものであり同じ力を返すことはない。そしてその力を見積もることもできない。運動方程式に当てはめられないので計算ができない。
従来の渋滞理論では、サービスカウンターやネットワーク上の渋滞に対応する「待ち行列理論」が存在し、特徴的な「リトルの公式」とは「待ち時間×人の到着率=待ち人数」。しかし、他人とぶつからないように無意識に動くなどの「排除体積効果」のような人の実際の動きは考慮されない。新しい渋滞学は統計力学的に「非平衡状態」(常に粒子が流れている)である「自己駆動粒子」(つまり人間)そのものの動きを考慮している。これはアインシュタインの「ブラウン運動」(ランダムに動くものの規則性をとらえる)が基盤となる「確率過程」とも密に関連する。
渋滞学は、基礎研究と応用研究が直接結び付く研究である。数学的には確率過程論・グラフ理論など、基礎物理学的には非平衡統計力学・機能性流体力学が関わっている。応用としては渋滞解消とそれに伴う環境や経済の効果などが関係する。分野横断型研究こそが今後重要になってくる。
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これも読みたいと思いながら、机に放置していた本。本当に素晴らしい、なんとも面白い本だ。渋滞という現象を数学的、生物学的、物理学的に多様な側面からアプローチしている。横断的でもあり、縦断的でもある。文章も読みやすく、ときおり「トリビアの泉」とか、料理の作り方みたいな小ネタを交えながら難解な化学的叡知を説明する。抜群のバランス感覚である。ノイマンのゲーム理論の分かりやすい解説やパイコネ変換も面白かった。
248ページから引用。素晴らしい文章である。
「私ももちろん専門家のはしくれなので、たとえば非線形現象について細かいことを一応いろいろと知っている。クイズ王と専門家のちがいは、例外まで含めてある分野の原理原則を知り尽くしているのが専門家で、専門知識の一部を例外抜きで満遍なく知っているのがクイズ王である。例外を知ることは、知識の適用限界を知ることにつながり、実際に知識を実生活に応用する際にはとても大切なのだ。その意味では、ものごとがうまくいっている場合には実は専門家はほとんど必要ない。しかしうまくいかないことが出てきたときに、それを解決できるのが専門家で、その存在は大変重要である。
しかしこれだけではまだ不十分で、新しいタイプの専門家がこれからの高度技術化社会には必要だ。(中略)自分の専門分野以外に、クイズ王よりは深く工学と理学のいろいろな分野を知っていることも必要なんのである。その上で専門家の友人を多く持ち、その内容を理解してお互いの精神を共有できる人材こそ、これからの社会を担う人材である。異分野の知識が有機的に結びつくのは、結局一人の人間の頭の中にそれらが入り込んで混ざったときのみである。
専門分野によっては、他の分野に対してなかなか友好的でない集団もある。これでは長期的に見てお互いのメリットにはならない。我々は科学者なので、真実のもとに一致協力して理学と工学が分野を超えて一つになれれば素晴らしいと思う。そうすれば必ず渋滞問題は解決する」
All agreed.
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子供の頃から行列や渋滞(を観察するの)が大好きで、好きが高じて「渋滞学」という新しい学問分野まで作ってしまった西成先生の著書。渋滞のメカニズムを科学的なモデルを使って解明し、「渋滞の先頭はどうなっているのか?」とか「渋滞時は追越車線より走行車線の方が早く進むのは何故?」といった素人的な疑問にも科学的で分かりやすい解釈を与えている。さらに、車の渋滞のモデルを変形することで、アリの行列や人混みのメカニズムについても説明する。とにかく分かりやすくて面白い。
西成先生は、科学者としては稀有なほど物書きとしての能力に恵まれている。数学的なモデルを噛み砕いて分かりやすく説明できるだけでもすごいのだが、本当のすごさは、各段落の「締め方」(すなわち各段落における最後の一文)に現れているように思われる。ここで、ときどき意外性のある文章を入れてみたり、思い切ってハメを外したりボケてみたり、とにかく読者を飽きさせないのである。工学と理学の境界領域で苦労して活動しているうちに、このような表現力を身に付けられたのかもしれない。
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渋滞学って筆者の造語かと思いきや、かなりまじめに(といったら失礼だけど)やっている。
渋滞を単純なモデルにして数学的解析をするという方法で、とてもおもしろい。
行動経済学でもそうだったけれど、最近は人間のファジーさをいかに科学的に解析するかが進んできているのだろうか。
これから必要とされる人材は、各分野の横断的な知識を持つ専門家だ、というのには納得。
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すごく参考になりました。物事は色々な見方があって、読書をすると、知らなかったことに気付き、読書の大切さが分かる。
「新潮選書」というと、難しいイメージがあるが、とても楽しく読むことができた。
「メタ安定」という概念が出てきたが、渋滞する前の仮の安定というような意味で、興味を持った。
この「メタ安定」を持続することが、交通量を増やすためにも大切で、現在盛んに研究されていることが分かった。
「渋滞学」はこれでひとまずおいといて、今後さらにいろいろな分野の本に挑戦してみたい。そういう意味でも、いろいろなことに興味を持つきっかけになったこの「渋滞学」は貴重です。
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これは久しぶりに面白かった。
もちろん、渋滞の一番前の車はなにやってんだろうとか、渋滞を起こさない方法ってないんだろうかとか、「渋滞」のもろもろが面白いのはもちろんだが、それ以上に、「渋滞」が科学で解ける、というのが素晴らしく面白い。
ゾウリムシって不老不死なんだろうか、とか、缶詰のミカンって誰が剥いているんだろう、とか思っている、なぜなぜ小僧、なぜなぜ大人はぜひ。
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渋滞学って色んな分野で応用が効くんだな。所謂渋滞の仕組みから始まって、電車の混雑、蟻の隊列、ネットワークの伝送速度、電車の運行などへ。まだまだ分からないことが多い分野の様だけど、研究が進んだら経済に与える営業は計り知れないよね。こういった基礎研究にもちゃんと予算がつけられるような社会にしないとね。
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著者と渋滞学という分野に興味があり読書。著者とは学生時代に一回お会いしたことがあるが、とてもバイタリティがある方といった印象。さて、肝心の渋滞学というところは単純な離散的な数理モデルに収まらず、本作では車、人混み、アリ、インターネットを特に多く取り上げ、生物学や粉体モデルなどのより複雑な事象の分析をも動機を与えている。一つに渋滞という現象だけをフォーカスしているのではなく、制御不能(可能)な多体モデルにおいて、科学に基づいた分析をし、より適合できるルールを生み出しているのが面白い。一見すると単純なルールの集まりが複雑な現象を生み出し、それを理解し、最適なコントロール原理を抽出するようなヒントもそこに隠れているのかもしれない。理工の問題は著者の問題意識には根強いことが終章を読んでも分かる。私自身も、理学、工学とそれぞれを学んだ経験から、新しい形の理工学のあり方というのも考えたいと思った。学生時代に触れている分野とはいえ、やはりこうした複雑系、数理系のモデル解析は面白いと素直に感じた。
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渋滞はくるまばかりでなく、インターネットのデータや駅の改札口でも発生しています。いかに単純なモデルで渋滞を表現できるか、なんか物理学にも通じる考え方です渋滞をシステム工学的にかんがえて、いろいろな分野に応用するのは、けっこうおもしろいと思いました。