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大げさかもしれないけど、自分にとってこの本は衝撃的な一冊だった。工学的な渋滞という問題に対し、そこから共通点を見つけ出し分野横断型の新しい学問の創出をしてみせている。 ニュートン力学と非ニュートン力学の違いを明確にして自己駆動粒子を定義し、セルオートマトンの一つであるASEPというモデルを利用して様々な渋滞問題にアプローチしていく姿は、まさに学問の素晴らしさを物語っている。また、理学・工学の本質にも焦点が当てられているので、とてもためになった。
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セルオートマトンと呼ばれる計算の難しい自然現象の模型の作り方とそれを応用すると面白そうな分野への解説。わかりやすい科学啓蒙書。
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渋滞については、いろいろ実験や考察がなされているらしい。
しかも結構わかりやすい単純なモデルで表現できるらしい。
道フェチとしてはかなりおもしろかったが、途中で挫折してしまった。
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交通渋滞はなぜ起きるか、それ以外でも人ごみの仕組み、蟻はなぜ一列で歩くのか、そしてインターネットの渋滞まで。さまざまな渋滞についての多面的な考察がおもしろい。
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「渋滞学」っていうと、何それって言う感じですが、奥が深い。題名から待ち行列のように感じますが、その適用範囲は広く車の渋滞からネットワークの輻輳まで扱っています(車もネットワークも同じようなものですが)。
渋滞と名の付くものの原因および解決方法が列挙されていますが、やはり原因の部分がなぜこうなるのかという部分を丁寧に書かれているので、非常に面白い。
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「なにやってんだよ」。高速道路で誰もが体験したことのある、あのワケがすっぱりとわかる。渋滞は、科学(化学?)反応なのだ!
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ある状況下では渋滞は必ず起きる。それを数学的な簡単なモデルで示す。条件を変えるとどうなるかを調べる。頭の中の実験場でモデルを動かす。結果を見る。渋滞が起きる。もしくは渋滞にならない。その変化の起きる条件を導き出す。こうして少しずつ渋滞が起きる原理をつかんでいく。
面白い本だ。待ち行列なんて考え方が私がまだ学生の頃に登場した。それが少しずつ変化して、手法を加えて、渋滞学になった。さらに、様々な分野で、どういう原理が働いているのかを解明するための手法として使われ始めている。面白い。神経の中の物質の動かし方、山火事の広がり方、ネットワークでのトラブル。様々なところへの応用がすでに始まっている。うん、面白い。
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渋滞の可視モデルの話や、物質の液体、固体のように、渋滞にも相があるという話。自然渋滞はなぜはっせいするのかなど。
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どのような条件がそろうと渋滞が起きるのかが、「モデル」や実験に基づき解明されている。渋滞と一口に言っても、交通渋滞、人の混雑、アリの行列、コンピュータのパケット送信・・と様々な渋滞が扱われている。
個人的にもっとも興味がひかれたのは、交通状態の章。
平均速度×交通密度=交通流量という公式に基づき、流量を縦軸に、密度を横軸にしたグラフを用意する。そのグラフに、実際の高速道路で観測したデータをプロットしていく。そして、そのグラフから、渋滞のメカニズムを探って行く。
私自身は、このようなグラフを読み解くことに不慣れだ。縦軸が金額で横軸が時間、というようなグラフは見慣れているが、流量と密度が軸になったグラフを見たとき、それがパッと何を意味するか理解できない。そこで、スピードを落として説明を読むことになる。しかし、本書では、常にわかりやすい説明がされていて、1、2度読めば意味が必ずわかった。
交通渋滞のメカニズムを探る過程を読みながら、科学者の方がどのような思考展開をしているのか、ちらっとだけど垣間みることができたような気がした。その意味で、なぜ交通渋滞が起きるのか?に対する答えそのものだけでなく、その検証の過程の説明を読むのがとても楽しかった。
科学者の方で、説明が上手な方というのは、明晰な頭脳とそれを伝える力の両方を持っている訳で、西成先生のような説明の上手な科学者が日本にもっともっと増えるといいな。
※知識をたくさんいただき、内容もわかりやすく楽しめる1冊でした。
私の★の付け方の基準は、「私の考え方にどれだけインパクトを与えたか?」にしたいと思っているので、その意味で星3つです。
読んだ日: 8月13日
読んだ場所: 平塚→東京の東海道線内
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星を4にするか5にするか迷ったけど
とりあえず5で
世の中には「相転移」と呼ばれる、秩序とも無秩序とも言えないような不思議な状態がある。
本書はそれをASEPと呼ばれる数理論を用いて行なわれた研究を一般人向けに書いてくれた大変ありがたい本である。
ASEP自体は1970年代くらいにはもうあって、自分の研究室の教授もこの理論でその頃には人の行動モデルの作成を行なっていたようだから特別に新しいわけではないようだが、それがここに来て一般に知らせられるほどの成熟と他分野、ネットワーク論やパーコレーション論などとの相性の良さや、扱う問題の共通性によって注目を集めているようだ。
実際に80:20の法則で有名な「ベキの法則」に始まり、スケールフリーネットワークなど、現在のホットな話題の陰には「相転移」という状態があり、その情報の受け渡しシステムがどのような仕組みになっているかを知るには非常に便利な本と言える。
渋滞とはブレーキを踏むと言う情報の連鎖の結果である。このときネットワークが密である事で情報は後方に伝わって行く、そして情報とは機械情報・日常情報でなければ、そこに観察者の解釈が加わる、その解釈によってブレーキ量は変化していって最終的には渋滞にまで到達する。ようは、伝言ゲーム
スケールフリーネットワークとはまさに密な「小さな世界」を構成するネットワークである。そこに流れる情報は伝言ゲームのように伝わって行くものである
その仕組みを理解する一つのアプローチがここにあると個人的には思っている。
一般の人に対して分りやすくを心がけたと言う筆者の言葉は非常に良く伝わってくる。
ぜひとも、一度読んで欲しい本であるし、買って欲しい本である。
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自己駆動粒子という自由-『渋滞学』
http://d.hatena.ne.jp/kojitya/20100428/1272405002
http://d.hatena.ne.jp/kojitya/20091127/1259291863
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読んで良かった。大学院へ行って研究を続けるモチベーションをくれた本。
将来立派な研究者なれたら、「この本が私の人生を変えました」と言うと思います。もし研究者になれなかったとしても、やはり同じ事を言うと思います。
セル・オートマトンを用いて車の渋滞を説明するモデルを提示。シンプルなミクロの動きが不思議なマクロの現象を導く、複雑系の世界に触れられる。経済への応用についても少しだけ触れられているが、そこはあんまりピンと来ない。そこまでやられてしまってはこっちは商売上がったりなんですが。
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先日読んだ、同著者のもうちょっと詳しい本。
たまたま今日、明石歩道橋の事故の判決が出てましたが、あの事故についても語られてて興味深かったです。
渋滞が起こるメカニズムはわかってきたけれど、じゃあ渋滞をどう解消するのか、というのはまだまだこれからの分野。
実生活に密接に結び付いた研究は面白い。
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[ 内容 ]
人混み、車、アリ、インターネット…世の中、渋滞だらけである。
生まれたばかりの研究「渋滞学」による分野横断的な発想から、その原因と問題解決の糸口が見えてきた。
高速道路の設計のコツから混雑した場所での通路の作り方、動く歩道の新利用法まで。
一方で、駅張り広告やお金、森林火災など、停滞が望ましいケースでのヒントにも論及。
渋滞は、面白い。
[ 目次 ]
第1章 渋滞とは何か
第2章 車の渋滞はなぜ起きるのか
第3章 人の渋滞
第4章 アリの渋滞
第5章 世界は渋滞だらけ
第6章 渋滞学のこれから
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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極めて平易な文で渋滞が解説されていて、渋滞についてもっと知りたくさせる。
何より社会のことが分かるって、楽しいですよね。