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文明開化の横浜。宣教師が興した女学校に通うことになった鈴木カネ。英語も学び、キリスト教も学ぶ。父や兄と共に信者となった彼女の生き方の基本はキリスト教なのだろう。卒業後の進路を選ぶとき、結婚すると決めるとき、夫と共に北海道の開拓に挑むとき、それぞれに自分で決めながら天主様の導きというか見守りも信じている感じがする。時々の選択を経て今があることに納得している様子がみられることに安心する。
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読もうと思ったきっかけは、仕事で久々に帯広に行ったこと。
物語自体は淡々と進んでゆく。それでいて退屈にならずに読み進めていくことができた。上巻を読んでみて下巻を読むか判断しようと思っていたところ、予想以上に退屈しなかったので、下巻も購入。
北海道に生まれ育っているからこそ、冬の厳しさも体感してるので、少しでも情景を思い浮かべることができたから、飽きなかったのかも。
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明治維新後、没落士族の娘ながらも女学校で学ぶ機会を得、キリスト教への信仰と西洋風の生活様式の中で教壇にまで立つようになったカネ。
当時の最先端の教養を身に付けた彼女が、なぜ北海道開拓という苦難の道に飛び込んだのか。
父や兄、伴侶となった勝、チーム「オベリオリ」の柱ともいうべき依田、自分たちとは容易に打ち解けない開拓団の農民たち、そしてアイヌの人々。
厳しい自然の制裁を受けて遅々として進まない開拓だったが、それぞれの来し方や信仰、文化、開拓に賭ける思いの違いから時に反目し合い、計画はさらに暗礁に乗り上げる。
焦りからあれこれと動き回る男たちを尻目に腹を据えて黙々と働くカネの逞しさと信仰の清々しさに救われる。
彼らの苦労が報われる日は来るのか。物語は道半ばで終わるが、カネの最後のことばが未来を照らすような輝きを放っている。
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帯広開拓に乗り出した晩成社設立からの5年間を描いた、史実に基づいた長編小説。自然が厳しい蝦夷で、容赦ない苦難の連続に祈りを捧げる日々。江戸から明治への時代の変わり目、男たちに翻弄されながらも、腹に決めたこと、諦めたこと、諦めないこと。一気読み。
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「熱源」が男性視点なのに対してこちらは女性の開拓使。女性の方が男性より視野が広いと言われるように、熱源が「俺が!俺は!」なのに対してこちらは家族や村全体を見通した語りになっているのが面白いです。豚とひとつ鍋は六花亭のお菓子で有名ですが、こんな風にワイワイした感じで詠まれたのですね。