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河合隼雄先生との対談をまとめた本書。河合先生が亡くなられたことで未完に終わっているのが唯一残念だが、タイトル通り「物語」が持つ意味や力、日本とキリスト教世界での生きることの意味など深く広い知識と、臨床心理の現場の経験から生み出される言葉は、学ぶことがとても多かった。
また、小川洋子氏の小説を河合先生が読み解くところでは、小川氏の知らないところで様々な偶然が小説の中で起こり、彼女の意図を超えたところで物語が勝手に動いていることも面白い。作家の意図を超える解釈の自由は許されるのだ!これがユングの集合的無意識というものなのか。無意識から汲み取られる物語。
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小川洋子、村上春樹といってること一緒すぎるけども大丈夫?って思っちゃった。コピーとは言わないけれども、それに準ずるような、なんか聞き覚えのあるかんじで、でも一段低くて、なんだか心配になってしまった。心の底からそう思っているのだとは思うけれども、本当にそのスタンスで大丈夫?無理してない?ってかんじ。特に人間にとっての物語の存在についての意見が。なんだか読むにつけ、本当に村上春樹のオリジナリティーみたいなものをひしひしと感じてしまう。対談自体はとても魅力的で、最近わたしが忘れ去っていたあらゆる物事、要素を思い起こさせてゆさぶられる、ああ忘れていた、こういうかんじだったと懐かしませる、そんな感じだった。
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まだ読み始めなのですが、心理学に憧れていた私が本格的な入門書に挫折して巡り合ったのが河合先生の著書でした。お亡くなりになってしまったことがとても残念です。
「博士の愛した数式」も好きな作品のひとつです。その著者である小川洋子さんとの対談!そして、「自分の物語をつくる」というタイトルに心惹かれて読んでいます。また、読み終わったら編集するつもりのレビューです。ただ、みなさんにぜひ読んでほしい、ということは今から変わらない感想になると思います。
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河合隼雄は何度でも戻っていかなければならない、と思う。後からつくられたものであろうが自分の原点の一つ。人と関わるのが好き、というのではなく、その裏にあるもの、物語が開花していくダイナミズムへの優しさ、見守ることの喜びとでも言うのか。
沈黙の大切さについても語られていた。黙っている、しかし関心を絶対に外に向けず相手と同じ世界にいる。そういう関わり方の中で確実に変化が起こる、というあり方の記述。
小川洋子の小説を書く動機についての率直な述懐も心を打つ。河合隼雄の話は面白い細部に溢れている。充実した読書であった。
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小川洋子と臨床心理学者河合隼雄との対談2編と、河合氏の死によりもうやってこない次回以降を埋める小川さんの長いあとがきで構成されている。
ふたりの会話は非常に軽やかでさっぱりしている。
高尚なこと、哲学的なこと、デリケートなこと、様々な話題が出ても、どこか優しくて穏やかな普通さが漂っている。
臨床心理学者として心の病を抱えたひとと向き合う中でのエピソード、『博士の愛した数式』にまつわる内容が特に示唆に富んでいる。
小川さんが書かれている通り、もっともっとふたりの話を聞きたいのに、もう二度と叶わないのが残念である。
http://www.horizon-t.net/?p=1105
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人生を再構築しようとする心を病んだ患者が、奇跡と言えるような偶然を契機にしながら立ち直っていくということが興味深かった。前向きに捉えるようになれば、人生には面白いことがたくさんあるということだとおもいます。
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2014年52冊目。
『博士の愛した数式』著者の小川洋子さんと、ユング派心理学や箱庭療法の日本での第一人者・故河合隼雄さんの対談。
人間の深層に降りていくことの意味を分かっている人同士で、絡み合いが絶妙。
「人は生きていくうえで難しい現実をどうやって受け入れていくかということに直面した時に、それをありのままの形では到底受け入れがたいので、自分の心の形に合うように、その人なりに現実を物語化して記憶にしていくという作業を、必ずやっていると思うんです。」
物語は過去に対してだけ効果のあるものではないと思う。
人間誰しもにある暴力性を、物語を書く・読む中で実現させることで、現実世界をやり過ごすことができる、そういう未来性もあるのだと。
「物語」、この言葉をまだまだ追求していきたい。
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ほろほろ、いい言葉が散りばめられている本。
読み終わって印象に残っているのは、河合先生の話していた、寄り添うお話。
人を励ます時に、人の話を聞く時に、なにも面白い反応はしなくていい。
大事なのは気の利いたことを言うのではなく、相手に寄り添うこと。相手のいるところまで降りていくこと。うんうん、そうなんだね、って言うこと。
そうすることで話し手は、自分で解決の道を見つけていくんだって。
そうなんだーって知ったら、らくーな気持ちになった。
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小川洋子による追悼文で涙しそうになった。リアルタイムで知ったときには、そんな気持ちにはならなかったのに。対談部分ではそんなに…って感じだったのに、後半の作家の筆致に感動した。
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河合先生の最後の対談本
残念なことに途中で亡くなられ後半は小川さんの文章
源氏物語のことに触れていた
わたしはきちんとすべてを読んでいないので
今年の夏は源氏物語を読んで過ごそうかと思ったり・・
恋に疲れた女が尼さんになる・・・という印象が強い
しかし女性が使う平仮名により人の心の機微が表現され始めたのが紫式部や清少納言・・
どの作家さんの源氏物語を読もうか悩むのも楽しい。
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良いにつけ悪いにつけ、必然になる偶然を呼び寄せられていく。
意図をしないと何もかわらないが、意図をして何かしても、思ったようには進まない。しかし、考え尽くした挙句に直感で選んだものには、選んだ当人が気づこうと気づかまいと、思いがけないつながりや次への道しるべとなるヒントがたくさん詰まっている。
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河合さんの、カウンセラーとしての人への接し方にはだいぶ学ぶことがある気がした。助ける者が強すぎてはいけない、結論をだすのを急がずに寄り添うという在り方。
また、物語とは、人が矛盾との折り合いをつけるときに人の支えとなるもの、という話が興味深かった。
20180913再読
物語とは、こうだったらいいなとか、こういうつらいことにもこんな意味があるかもしれないとか、こういう考え方や対処もあるとか、こんなことを信じたいとか、色々な思いを重ねうるものかなあ、と思った。
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【本の内容】
人々の悩みに寄り添い、個人の物語に耳を澄まし続けた臨床心理学者と静謐でひそやかな小説世界を紡ぎ続ける作家。
二人が出会った時、『博士の愛した数式』の主人公たちのように、「魂のルート」が開かれた。
子供の力、ホラ話の効能、箱庭のこと、偶然について、原罪と原悲、個人の物語の発見…。
それぞれの「物語の魂」が温かく響き合う、奇跡のような河合隼雄の最後の対話。
[ 目次 ]
1 魂のあるところ(友情が生まれるとき;数字にみちびかれて;永遠につながる時間;子供の力;ホラ話の効能)
2 生きるとは、自分の物語をつくること(自分の物語の発見;「偶然」に気づくこと;黙っていられるかどうか;箱庭を作る;原罪と物語の誕生;多神教の日本に生まれた『源氏物語』;「死」への思い、「個」への執着;「原罪」と「原悲」;西欧一神教の人生観;厳密さと曖昧さの共存;忘れていたことが出て来る;傍にいること)
[ POP ]
「『若きウェルテル』は死ぬけれど、ゲーテは長生きする」。
人は生きるために物語を必要とする。
作家と臨床心理学者の対談。
共感に満ちたやりとりの中で語られる物語の不思議。
対談本は多いが、これほどの面白さは稀。
河合の死による中断が惜しまれる。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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作家、小川洋子と河合隼雄の対談集。
対談は終わっても終わりではなく、また次に会うときに二人の会話はまた始まるんじゃないかと思う。
次は会えないこともあることを人は知っていながら、忘れてしまう。この本を読んで、河合隼雄さんはもうこの世にいないことを想った。人が死ぬということは、その人からもう言葉や物語が生まれないということなのだと思った。
その人の言葉、物語が自分の手の中に重さを持って存在している本もその人の物語と一緒に生きていくもの。
ネットの中にあれば、ものとしての本はいらないのではないか、そして場はいらないのではないか・・そうした問いへの合理的な答えは分からないし、説明したいとも思わない。
自分の手の中にある本が存在していることの意味を自分が感じるだけ、ただそれだけでよいのではないかと思う。
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印象に残った言葉
・『臨床心理のお仕事は、自分なりの物語をつくれない人を作れるように手助けすること。小説家が書けなくなった時に、どうしたら書けるのかともだえ苦しむのと、人が「どうやって生きていったらいいのかわからない」と言って苦しむのとはどこかで通じあうものがある。』(小川洋子)
・やさしさの根本は死ぬ自覚(河合隼雄)
私も死ぬし、目の前の人も死ぬ。
明日がその終わりかもしれない。そうした当たり前のことを自覚しているだけで、かかわり方は変わるんだと思う。
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カウンセリングの傾聴の話を聞いていて、沈黙でもいいから、相手の世界にいつづけることの大変さ難しさ大切さを感じた。