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「物語に託せば、言葉にできない混沌を言葉にする、という不条理が可能になる。生きるとは、自分にふさわしい、自分の物語を作りあげてゆくことに他ならない。」
物凄く良かったなぁ。
前、よしもとさんと河合さんの対談は、ダメだったのだけれど、
今回のこの対談は非常に有意義のものに感じた。
人生とは、物語であるという考え方は、
私も持っていたのもので、その点でもとても共感させられたし、
どうしてそう思うのか、という点についてまでは、
私自身まだ考えていた部分もあったからとても有益だった。
そして、もう河合先生がこの世界にいないというのも、
とても残念な気にさせてくれる内容だった。
小川さんの河合先生に対する文章が、とても良かった。
どうしても、対談では、話がそれて行ってしまうものの、
最後の、小川さんのパートは物凄く読み応えがあり、
小川さんの重いがダイレクトに伝わってきて胸がいっぱいになったのだった。
いい本でした。
【4/5読了・初読・私の本】
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河合隼雄先生を舐めてましたすみません。
何このお方、素晴らしすぎる。
なんでもっと早くに読まなかったんだろう。
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全体的に小川洋子さんの小説『博士の愛した数式』の内容を取り上げてお話されているので、未読のひとにはわかりづらいかもしれませんが。
臨床心理学者の河合隼雄(かわい はやお)さんが語る、古来から多神教のもとで形成されてきた日本人の柔軟性や、”死”というものを初めて物語として書き表した『源氏物語』の独自性についてのお話などは、目からウロコでした。
タイトルの『生きるとは、自分の物語をつくること』についての核心は、巻末の”少し長すぎるあとがき”の中で小川さんが語っています。
2007年に亡くなられた河合さんのお人柄が偲ばれる対談集です。
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ユング心理学の先生でもあり、人格者としても高名な故河合隼雄さんですが、どうも引っかからないのです。箱庭療法の本とか5、6冊は読んでいるのですが、ピンとくるところがなくて……
今回もチャレンジしたのですが、気持ちが離れてしまいました。
縁がないのかなー。興味を抱いているポイントは先生に近いものがあると思うのだが……
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対談集。読んでいると気持ちがほぐれてきます。左脳傾向な僕のアタマにもすっと入ってくるのは、河合隼雄さんの真剣さ、取り扱った臨床の数がすごく多いこと、言葉の端々にあふれるユーモアのミクスチュアのなせる業なんだなあと。
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「のぞみがないときはどうするんですか。」
「のぞみがないときはひかりです。」
「あっ。のぞみの次はひかりだ。」
「こだまが帰ってきた。」
深いなぁ。
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一人一人物語がある。作っている。作っていく。
日本、日本の文化、宗教、言語、思考、文化差、歴史、あらゆることを考えさせられる。
おもしろくてうなりっぱなしだった。
「人間は矛盾しているから生きている」
自分が作る物語なんだから、矛盾したっていいし思い切りやればいい。
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やわらかくて温かい対談集。のぞみとひかりの小話がすき。お二人とも、本当に魅力的です。生きるためには物語が必要なんだよ。
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生きることは物語をつくること。
小川さんがなぜ物語を紡ぎ出すか。
人のこころに寄り添うことの難しさと偉大さ。
じぶん自身のの未熟さを、空回りしてしまう焦りを、ぐるりと回って愛おしく感じられるような本でした。
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小川洋子・河合隼雄対談集。
言葉の端々から、河合さんの人柄が伝わってきます。
お二人の対談、もっともっと読みたかったです。
「道に物なんか落ちていないと思ってる人は、前ばっかり見て歩いているから、いい物がいっぱい落ちとっても拾えないわけでしょ。ところが、落ちてるかもわからんと思って歩いてる人は、見つけるわけですね」
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河合隼雄臨床心理学者との対談集。数学者だった河合氏が臨床心理学者となりカウンセリングの世界へ。カウンセリングはキャッチボール、自分の物語を作るお手伝い、など興味深い話がありました。小川さんの「博士が愛した数式」への、もと数学者であった河合氏の解釈も面白かったです。
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「なぜ死んだか」と問われ、「出血多量です」と答えても無意味なのである。その恐怖や悲しみを受け入れるために、物語が必要になってくる。死に続く生、無の中の有を思い描くこと、つまり物語ことによってようやく、死の存在と折り合いをつけられる。物語を持つことによって初めて人間は、身体と精神、下界と内界、意識と無意識とを結びつけ、自分を一つに統合できる。人間は表層の悩みによって、深層世界に落ち込んでいる悩みを感じないようにして生きている。表面的な部分は理性によって強化できるが、内面の深いところにある混沌は論理的な言葉では表現できない。それを表出させ、表層の意識とつなげて心を一つの全体とし、更に他人ともつながっていく、そのために必要なのが物語である。物語に託せば、言葉にできない混沌を言葉にする、という不条理が可能になる。生きるとは、自分にふさわしい、自分の物語を作り上げていくことに他ならない
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生きるとは、自分の物語をつくること。
はっとさせられるタイトルに導かれて読んでみた河合隼雄さんと小川洋子さんの対談集。
一人ひとりが自分の物語を紡いでいく。それは小説家が小説を書くことに似ている。
たったひとつの自分の物語。
ころころと上手い方向に転がってハッピーエンドになればいいけれど、そんなわけにはいかないわけで。
どうしても先に進めないことや、まずい展開に陥ることも数知れず。
河合さんは、臨床心理士の仕事はそういう人に、自分なりの物語を作れるように手助けをすることだといい、カウンセリングの秘密を教えてくる。
その道の第一人者の秘伝の技。。。なるほどなあ、すごい、とうならされる。
でも、これはすごい、もっと、もっと、と読み進めていたのだけど、対談は突然に終わってしまった。河合さんの死によって。
もっと、もっと秘密を教えてほしかった。
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臨床心理学者の河合隼雄さんと小説家小川洋子さんの対話。
人は皆、それぞれの物語を綴りながら生きている。
「生きる」ということを、臨床心理学者と小説家が優しく語り合う作品。
長いあとがきの中の一場面が印象的。
科学がいくら発達して、死の原因を論理的に説明できるようになったからと言って、自分の身近な人の死を受け入れる解決策にはならない。なぜ死んだのかと問われ、出血多量と回答したとしても、その死を感情的に受け入れられるかというと別物。受け入れるには、物語が必要。
人間って本当に不思議。
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臨床心理学者の河合隼雄と作家の小川洋子の対談集。生きるということは自分の物語を作ること。物語が持つ力。読んでいて思うことは多く溢れそうなんだけれど、言葉に言い表すのが難しい。もっと何度も読んで、自分の中できちんと咀嚼したい。そう思わされました。
作家として物語を紡ぐことに、どういう意味があるのか。それを問われていましたが、それは読み手としてどう物語に向かうのかという問題でもあるでしょう。物語というものが必要とされる意味、それに向かい合いたい。