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本の中で人生に役立つ言葉が一つでもあれば読んで良かったと思う。
でもこの本は雑談しているような優しい雰囲気の中に、これでもかってくらい役立つ言葉が詰まってる。
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子どもと向き合う時の心構え、とても勉強になりました。人に寄り添うことは難しいですが、その先に希望の光がみえ、読了後、温かい余韻に浸れました(o^^o)
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とても深い意味のタイトルだが、とても穏やかで、和やかな会話の中で、大切な言葉の端はしが読み取れる対談集。
「やさしさの根本は死ぬ自覚にある。あなたも死ぬ、私も死ぬ、ということを日々共有していられれば、お互いが尊重しあえる。相手のマイナス面も含めて受け入れられる。」
いつか誰でも死ぬとはいえ、自分が死ぬなんてこと、まだ考えたこともなかった。ゴールは誰でも死。そのゴールに向かって、自分なりの物語をつくるべく、一日一日生きている。そう思えば、楽しいこと、悲しいこと、辛いことなどいろんなことが自分の物語に彩りを添えている、と客観的に見ることができるのかもしれない。じわじわと生きる勇気を与えてくれる本。
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息の合った対談、分量も多くはないし、すぐに読めます。さらっと読めるわりに内容は深く、掘り下げるのもきりがない感じ。
河合氏のカウンセリングの際の「聴く」姿勢は、個人的にこう聴いて欲しいと思っている内容とぴったり一致していた。
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結構軽い気持ちで読み始めましたが、最期の「少し長すぎるあとがき」にやられました。小川さんの作品は好きでよく読むのですが、その理由がわかりました。小説家とは、なんとも素敵な役割なんだなと実感です。
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魂、という言葉を、何らの衒いもなく使うことは可能だろうか。
小説家の小川洋子が、臨床心理士の河合隼雄に問い掛ける。
そして、その問いの中に、既に、答えの一部は含まれている。
分けられないものを分けてはならない。
つながりあった、というよりもむしろ、元々一つだった世界の中から、各人が各人にとって必要な物語を取り出すこと。
小説家は、その世界の中から、目に見える形で物語を取り出す仕事であり、臨床心理士は、その世界の中から、各人が物語を見出すのを手助けする仕事である。
生きていくために必要な物語を、自分の中に積み重ねていく。
小説家でも、臨床心理士でもない我々にとって、必要なのは、読むべき幾つかの本と、語らうべき何人かの友人だと。
「その恐怖や悲しみを受け入れるために、物語が必要になってくる。死に続く生、無の中の有を思い描くこと、つまり物語ることによってようやく、死の存在と折り合いをつけられる。物語を持つことによって初めて人間は、身体と精神、外界と内界、意識と無意識を結びつけ、自分を一つに統合できる」(P. 126)
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河合隼雄先生との対談をまとめた本書。河合先生が亡くなられたことで未完に終わっているのが唯一残念だが、タイトル通り「物語」が持つ意味や力、日本とキリスト教世界での生きることの意味など深く広い知識と、臨床心理の現場の経験から生み出される言葉は、学ぶことがとても多かった。
また、小川洋子氏の小説を河合先生が読み解くところでは、小川氏の知らないところで様々な偶然が小説の中で起こり、彼女の意図を超えたところで物語が勝手に動いていることも面白い。作家の意図を超える解釈の自由は許されるのだ!これがユングの集合的無意識というものなのか。無意識から汲み取られる物語。
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小川洋子、村上春樹といってること一緒すぎるけども大丈夫?って思っちゃった。コピーとは言わないけれども、それに準ずるような、なんか聞き覚えのあるかんじで、でも一段低くて、なんだか心配になってしまった。心の底からそう思っているのだとは思うけれども、本当にそのスタンスで大丈夫?無理してない?ってかんじ。特に人間にとっての物語の存在についての意見が。なんだか読むにつけ、本当に村上春樹のオリジナリティーみたいなものをひしひしと感じてしまう。対談自体はとても魅力的で、最近わたしが忘れ去っていたあらゆる物事、要素を思い起こさせてゆさぶられる、ああ忘れていた、こういうかんじだったと懐かしませる、そんな感じだった。
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まだ読み始めなのですが、心理学に憧れていた私が本格的な入門書に挫折して巡り合ったのが河合先生の著書でした。お亡くなりになってしまったことがとても残念です。
「博士の愛した数式」も好きな作品のひとつです。その著者である小川洋子さんとの対談!そして、「自分の物語をつくる」というタイトルに心惹かれて読んでいます。また、読み終わったら編集するつもりのレビューです。ただ、みなさんにぜひ読んでほしい、ということは今から変わらない感想になると思います。
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河合隼雄は何度でも戻っていかなければならない、と思う。後からつくられたものであろうが自分の原点の一つ。人と関わるのが好き、というのではなく、その裏にあるもの、物語が開花していくダイナミズムへの優しさ、見守ることの喜びとでも言うのか。
沈黙の大切さについても語られていた。黙っている、しかし関心を絶対に外に向けず相手と同じ世界にいる。そういう関わり方の中で確実に変化が起こる、というあり方の記述。
小川洋子の小説を書く動機についての率直な述懐も心を打つ。河合隼雄の話は面白い細部に溢れている。充実した読書であった。
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小川洋子と臨床心理学者河合隼雄との対談2編と、河合氏の死によりもうやってこない次回以降を埋める小川さんの長いあとがきで構成されている。
ふたりの会話は非常に軽やかでさっぱりしている。
高尚なこと、哲学的なこと、デリケートなこと、様々な話題が出ても、どこか優しくて穏やかな普通さが漂っている。
臨床心理学者として心の病を抱えたひとと向き合う中でのエピソード、『博士の愛した数式』にまつわる内容が特に示唆に富んでいる。
小川さんが書かれている通り、もっともっとふたりの話を聞きたいのに、もう二度と叶わないのが残念である。
http://www.horizon-t.net/?p=1105
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人生を再構築しようとする心を病んだ患者が、奇跡と言えるような偶然を契機にしながら立ち直っていくということが興味深かった。前向きに捉えるようになれば、人生には面白いことがたくさんあるということだとおもいます。
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2014年52冊目。
『博士の愛した数式』著者の小川洋子さんと、ユング派心理学や箱庭療法の日本での第一人者・故河合隼雄さんの対談。
人間の深層に降りていくことの意味を分かっている人同士で、絡み合いが絶妙。
「人は生きていくうえで難しい現実をどうやって受け入れていくかということに直面した時に、それをありのままの形では到底受け入れがたいので、自分の心の形に合うように、その人なりに現実を物語化して記憶にしていくという作業を、必ずやっていると思うんです。」
物語は過去に対してだけ効果のあるものではないと思う。
人間誰しもにある暴力性を、物語を書く・読む中で実現させることで、現実世界をやり過ごすことができる、そういう未来性もあるのだと。
「物語」、この言葉をまだまだ追求していきたい。
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ほろほろ、いい言葉が散りばめられている本。
読み終わって印象に残っているのは、河合先生の話していた、寄り添うお話。
人を励ます時に、人の話を聞く時に、なにも面白い反応はしなくていい。
大事なのは気の利いたことを言うのではなく、相手に寄り添うこと。相手のいるところまで降りていくこと。うんうん、そうなんだね、って言うこと。
そうすることで話し手は、自分で解決の道を見つけていくんだって。
そうなんだーって知ったら、らくーな気持ちになった。
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小川洋子による追悼文で涙しそうになった。リアルタイムで知ったときには、そんな気持ちにはならなかったのに。対談部分ではそんなに…って感じだったのに、後半の作家の筆致に感動した。