後半は政治史の色彩が強く原の真意や人柄の記述が少ない
2021/12/31 21:33
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投稿者:おくちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
賊軍となった南部藩の士族の家に生まれ、藩校で漢学とフランス語を学んだ後、上京して司法省法学校に入る。しかし寮の生活や学習内容になじめず退学となる。しばらく新聞社に勤務するが、フランス語の能力を買われて外務省に職を得る。それから井上馨、伊藤博文、陸奥宗光らの知遇を得て次官まで順調に昇進を重ねていく。そして伊藤博文らと立憲政友会創立に関わり、その後は衆議院議員となって政治の世界に入っていく。このあたりまでは苦労や挫折を味わった原の人間らしさも加味されて比較的よく描かれている。
しかし、これ以降、政友会総裁、そして首相となってからは、内閣人事や議会対応など政治史のような淡々とした記述が続き、原の真意(例えばなぜ普通選挙運動に反対したのかなど)や人柄に迫る記述は少ないように感じる。「虚像と実像」というサブタイトルが付いているが、その違いが明確に対比されているとは思えない。
また、本書には注が一切ついていないが、「文官任用令」、「爵位」など、現在の一般読者には理解がむずかしい用語には注をつけるという配慮がほしかった。
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米騒動など民意高揚下、藩閥と敵対、時に妥協し改革を主導。初の本格的政党内閣を率いた原敬。リアリストの軌跡を追いその真意を描く
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清水唯一朗『原敬』中公新書 読了。没後百年を迎えた節目の今年。政党内閣を実現させた「平民宰相」のイメージが先行するが、大衆迎合とは一線を画するリアリストで、政治的手腕・技術に長けた実務家。現代にも求められるリーダー像が朧げに浮かび上がる。原敬ゆかりの盛岡の名所を巡ってみようかな。
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初の本格的な政党内閣を実現した「平民宰相」原敬の評伝。原は、粘り強い現実主義者として、傑出した政治家だったと再認識した。また、年齢を重ねるにつけ、円熟していく様がよくわかった。現代の、特に野党の政治家にも参考になる点が多いと感じた。
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小説みたいで、原敬が死ぬ直前からの描写には涙が止まらなかった。
本を読む前は平民宰相という印象しかなかったけれど、とてもグローバルな人間で、日本を考えて、着々と総理になっていく様子は、彼は日本のトップになるべくしてなったんだ、と痛感した。
同時に、明治から大正にかけてのギラギラした時代が伝わってきて、あの情熱がある時代は失われた30年と言われる世代に生まれた私としては羨ましくなってしまった。
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初の本格的政党内閣、平民宰相、暗殺された総理大臣と、歴史的に有名で、日本の近代史では必ず登場する原敬。そのわりには、その個性が分かりにくい人なのではないでしょうか。本書では「原敬」について、生い立ちから、最後までを辿ることで、その魅力と業績を知ることができます。それによって、「本格的政党内閣」や「平民宰相」が当時の社会や世界に与えたインパクトの大きさを知ることができます。現代では見られない、将来を見据えた行動と、その結実としての総理大臣。国を考えての様々な行動が、昭和天皇含めて、戦後の日本にもつながる重要な影響を与えた人であることを教えられます。賛否の否もあった人であるゆえに、その人間的な苦しみから、為したいものへの執念が世の中を巻き込んで大きな影響を発したこと、今の私たちにも学ぶべきこと多数あると思います。
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功績は大きいが、欲もあり、目的のためには手段を択ばないところもあるマキャベリアンで、でも理想もある。
とても複雑で魅力的な人物だと思った。
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西園寺公望。原敬の上司。原を政友会の総裁に推薦した。
爵位。大衆の支持を得るため、爵位の受けることを避けた。p.212
原敬刺殺の犯人。国鉄・大塚駅の分岐器を操作する末端の公務員。p.294