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「女の愛」をテーマにした推理短編集。
どこかで清張の作品の中では一番の秀作と書いてあったので買ってみた。
元は「小説現代」に原稿用紙30枚の読み切りということで書かれたものだとか。なぜか11作品しかないから超売れっ子だった清張氏ゆえに息切れでもしたのかな?
読後感としては期待した分がっかりさせられた。
元々、清張氏の女性の描き方は好きじゃなかったけれど女を見る目が冷たいと再認識した。男尊女卑の男の視線に終始しているのが不満。
まあ、太宰治と同じ年なのだから年代的には仕方ないのかもしれない。
30枚でどれほどの物が書けるかいつか実験してみたい。
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短編集が十一作入った話でした。
えーっと、個人的な感想を言わせていただけるのであれば。
正直、思ってたものと違った……
という感想になります。
個人的に、松本清張という作家さんはどちらかというとややミステリー的なものを書く作家さんだと思っていたのですが、違ったのね……という感じでした。
まぁ、ずっとそんなものばかり書いているわけではないというだけだったのかもしれませんが、ちょっと認識を改めました。
肝心の本の中身なんですが。
どれもが女の人の話。
それも、余り幸福ではない女の人の話。
三千万円出せば別れてあげるという男の妻の台詞に勤め先の銀行から三千万円横領したものの、百円硬貨によってそれを台無しにしてしまう女の人の話。
年下の男に尽くしてきた女が、男が若い女と結婚することになって、一旦は潔く身を引いたが、男に結婚前夜に訪ねてこられてその男を殺してしまう話。
その他にもいろいろ。
男と女の結びつきを考えさせられてしまいますが、なんというか。
あんまりにもあんまりな恋だとか男と女との関係ののめり込み具合に正直、逆に興ざめしてしまう感じがありました。
なんというか、私には理解できない話しすぎて、共感ができなくて困りました。
もう少し年を取ったら共感できるのかなー……と思ったりするんですが、今のところはその方がいいんだと思うんですが、その予定はないです。
なので、少し評価は低めでした。
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大人の色香が漂うまさしく人生経験を
重ねた大人のためにあるであろう作品。
そのため、そうでない人が読むと
露骨に不快になるであろう本です。
何でタブーを扱ってんるんだよ!と言う感じでしょうか。
秀逸な作品はある結婚式が終わったあとに
思わぬ展開の待ち受ける「見送って」です。
気丈な女性の裏に隠された心が素敵であります。
一方、ある人たちは愚かでしたね。
最後の動揺はまさに「爽快」そのものでした。
基本的に
静かながらも人間の弱さ、
醜さを描いています。
ほんの少しのボロが命取り…
人間の人生、そうなのかもしれませんね。
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清張作品にしては、変わった種類の内容でした。男女のドロドロはありつつも、どこか滑稽なところもあったりして…。
全編、女性が主人公になっていますが、女の人って…コワいな、と(笑)
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短編集で、一編の長さが原稿用紙三十枚(表現からして古い)なので、読みやすかった。もう少し短編で慣らしてから、『点と線』などの長編に挑むのだ。
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30枚の短編集。状況説明や心中が省かれ、読者は自分で登場人物に同化して思いをはせる事になる。2016.12.16
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松本清張晩年の短編集。松本清張の短編は通常70~100ページくらいだそうなのですが、この短編集は30ページくらいの作品というのがテーマになっている。ショートショート手前な感じが新鮮で面白かった。
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「松本清張」の晩年の短篇集『隠花の飾り』を読みました。
「松本清張」作品は昨年12月に読んだ『影の車』以来ですね。
-----story-------------
「松本清張」 生誕100年記念復刊第2弾。
愛を追い求めた女たちの運命――。
妻子ある男を好きになってしまった銀行勤めの「伴子」。
男と結婚するのに必要となる三千万円を横領するが、たった一枚の百円玉が、その運命を反転させる『百円硬貨』。
毎日弁当を作り、ボーナスで洋服を仕立てて、年下の男に尽くす「滝子」。
男が若い女と結婚することが決まり潔く身を引くが、結婚前夜に男が訪ねて来て……『記念に』。
愛を求めるあまり転落してゆく女たちの深い情念を描く傑作短編十一編。
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月刊誌に連作短篇としてされた以下の十一篇が収録されています。
■足袋
■愛犬
■北の火箭
■見送って
■誤訳
■百円硬貨
■お手玉
■記念に
■箱根初詣で
■再春
■遺墨
時代背景は現在とはやや異なるものの現在に通じるテーマも多かったし、エンディングでぞくっとさせられる作品もあり、なかなか愉しく読めました。
特に印象に残ったのは以下の4篇です。
『足袋』
不倫相手に見捨てられた女性が、元不倫相手の男性宅に無言電話を続けたあと、男性宅周囲を夜中に徘徊し、寝室や台所の横を革草履で地を舐めるように忍びやかに歩き回る… 現代で言うストーカー行為。
想像するだけでも怖いですね。
それだけでも不気味なのに、最期は郵便受けに足袋を残して逝ってしまう。
男性にとってはさぞかし後味の悪い幕切れでしょうね。
怖いわぁ。
『見送って』
夫の死後、自分を犠牲にして厳しい姑に耐え忍びながら、一人娘を育て上げ、そして嫁に出す披露宴が舞台。
披露宴での来賓挨拶等で、その忍従生活が明らかになるとともに、娘の回想シーンから母親の真の思いが徐々にわかり始める、、、
そして、空港で親戚一同とハネムーンに旅立つ娘夫婦を見送ったあと、姑と義妹夫婦に離籍を申し出て、自由な自分を取り戻す… 現代で言う熟年離婚(離婚ではなく離縁、もしくは離籍ですが… )に近いテーマですね。
スッキリするエンディングでした。
『百円硬貨』
本作がイチバン印象に残ってますね。
不倫相手が奥さんと別れるために必要な費用の三千万円を職場の銀行から横領し、彼の待つ鳥取の伯耆地方に向かいますが、、、
最寄り駅の倉吉線山守駅(現在は倉吉線の廃線に伴い廃駅)で心細くなり、彼に連絡を取ろうとしますが、電話をかけるための小銭(百円硬貨)が手持ちになく焦りに焦り… 駅窓口で忘れられた釣銭の百円硬貨に手を出し、それを見咎められ犯罪が発覚してしまうという哀しい物語。
お金は沢山あったのに、小銭は持ち合わせていなかったんですよねぇ。
銀行から大金を横領するだけの優れた知識や知能があっても、追い詰められると冷静な判断ができなくなるんでしょうね。
哀しくて同情してしまう物語でした。
『記念に』
「わたしはいつでも別れてあげるわよ。いっしょになるというのははじめから諦めてるんだから。そのときは遠慮なくそういってちょうだい。」 都合の良い、あっさりとした関係の相手だと思っていたら… 彼女は命を懸けるほど男性のことを愛していた。
女性の情念や欲望がストレートに表現された作品だと感じましたね。
いつでも別れる… なんて、絶対本心じゃないですよねぇ。
他の作品も、それなりに愉しめました。
「松本清張」作品は読み始めると癖になりそうですね。
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足袋(たび):ストーリーは凡そ読める。よくあるパターンの不倫がきっかけで双方共に不幸になってしまう展開。ストーカー?
愛犬:犬の嗅覚を利用したトリック、おみよさんは薄幸だと思った。
北の火箭(かせん):火箭:火をつけて放つ矢。ストーリーは意味不明だった。
見送って:披露宴での話、イマイチ。
誤訳:誤訳にまつわるストーリー、イマイチ。
百円硬貨:急行だいせん2号で大阪から倉吉、そして倉吉線。急行だいせんはA寝台利用か、山守駅から先にバスが出ていたのか、伯耆と美作の境の高原?蒜山高原?しかし百円硬貨の為に全てがダメになってしまった。黒革の手帳のショートバージョンか。これは◎
お手玉:女は恐ろしい、男はバカな生き物だと思う。まあ〇の下。
記念に:最後の瞬間に毒牙にやられてしまったんですね。まあ自業自得ですが。
箱根初詣で:昔の東京、NYのフライトの様子もほんの少し触れられていた。男のどうしようもない性故の事故だからまあ仕方ないか、女のいがみ合いもまあ容易に想像できる。
再春:偶然記したストーリーが盗作と怪しまれる。疑惑は晴れずですね。
遺墨:古本市の目録、作家と速記する女性のストーリー
本書はアタリの作品もあればハズレもあった。倉吉線の百円硬貨は◎
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松本清張の11編に短編集です。あとがきにあるように30枚の短編となっており清張の作品としては短めです。女性の愛を求めるばかりに悲しい結末になる作品が収められてます。
不倫の果ての哀しい結末を描いた「足袋」
犬を愛するあまり、恋人と別れた女が犬に危機を免れる「愛犬」
銀行員の女の逃避行の果てに、たった1枚の100円玉が全てを終わらせる「百円硬貨」
など結末がこういう終わり方なのという作品です。殺人もあり、不倫もあり、女性同士の嫉妬など恐ろしいですが、いろんな切り口のストーリーなので短時間で読めます。2023年11月2日読了。