誰の心にも「おっさん」がいる
2022/08/26 21:47
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投稿者:ぱんだ - この投稿者のレビュー一覧を見る
中高年の男性に「おっさん」という単語を見せるとつま弾きにされる、世の中から攻められていると感じるらしい。
権力を握り、組織に従順、そして話を聞かない、嫌なところを凝縮した存在の「おっさん」。
でも誰もが「おっさん」的なものを持っている。
何が世の中を「おっさん」化させているのか、5人の方の対談ともに考えさせられました。
「おっさん」の問題も社会の問題
2022/10/02 08:25
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投稿者:とらとら - この投稿者のレビュー一覧を見る
5人の対談の中で、最後の上野千鶴子との対談がいちばん腹に落ちた。
全体として、「おっさん」という言葉で問題を浮きだたせているけど、結局、社会、行き過ぎた自由資本主義の問題ということに帰着しているところは、ほかにも似たような内容のものはあると思う。この本では、著者の個人的な体験・経験を通した問題意識がクリアに書かれている(書かれ過ぎ?)ことが、納得感を増していると感じました。
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投稿者:かめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
私もおっさん的なものは嫌いだけど、いくら筆者が大黒柱で稼ぐ必要があるからと言って、自分の夫のプライバシーや恥ずかしい過ちを公に晒すなんて、女性としてちょっとお気の毒な気がしました。それに、夫が過去に性的サービスを買った事について、女性のカラダをモノのように扱ったとありましたが、それってそれを仕事にしている女性に対して失礼ではないのでしょうか?
最終章の対談相手の上野先生の筆者に対するお言葉が、非常にまっとうで、人間としてご立派な方なんだと思いました。おっさん的なものを憎み、社会を変えて行く事は大切ですが、欠陥品同士許し合う事も大事ですよね。
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上野千鶴子さんとの赤裸々過ぎるトークに驚愕!!ワタシの夫は浮気はしないもののそれ以外の部分で共感しまくりな感情多発で小島慶子さんと語り合ったら盛り上がれそう!!と、おこがましくも思ってしまった(笑)
確かにコノ本の題名、別の方が売れるのでは?とは、思っちゃいました…このタイトル、きつ過ぎる❢
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面白かったです。
特に最初の清田隆之さんとの対談が。
目の前の事実から目を背ける"おっさん性"についての考察が興味深かった。
上野千鶴子先生と平野啓一郎さんとの対談もとても良かったです。
小島慶子さんの夫についてのエピソードはかなり赤裸々で「大丈夫?」と思ってしまいました。
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タイトルも内容も衝撃的。
だけど、性別に拘らず誰もが抱える生きづらさをリアルに描いている。
と同時に、著者の問題提起と強い課題感が伝わってくる。
弱さを需要し、弱者が弱者のまま尊重されること、日本社会とは程遠い価値観。
そうしたステレオタイプに、様々な角度から切り込む一冊。
自分の中にも様々な偏見が潜んでいて、子供の時から刷り込まれた価値観を見つめるきっかけになった。
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"おっさん社会が生きづらい"と言う立場で読んでみたけど、実は自分が"おっさん的"であることがわかった。だから今まで解決策が見つけられずにいたんだと。
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とても興味深い内容でした。
おっさん社会というワードは強烈だけど、日本に根付いている保守的な病理(家父長制、男尊女卑等)のことなんだね。日本社会がこのおっさんOSの上でオペレートされていて、男性はもちろん女性の中にもこの感覚はあって。無意識の刷り込みってあるよなぁ。
女性にとってこの社会はどうしてこうも生きづらいのか。読んでいくと腑に落ちることがたくさんありました。男尊女卑的なことは許せないけど、その根源に男性のしんどさがあるのでは?というのはなるほどです。どんなに理不尽な仕事でも働き続け、生活費を稼ぎ続けなければならないというプレッシャー、足枷を生涯背負うしんどさ。弱音を吐けないと思っているのでストレスが溜まって、それが女性に向いてしまう人もいる…。
気づきは色々あって興味深かったけど、ではどうすればいいんだろう…という解決策には至らず。ひとりひとりが気づいて考えてみるところからかな。道はまだ遠い。それでも昔よりはだいぶ感覚も変わってきてるし、少しずつ日本社会も良くなってきていると信じたいよ。
小島慶子さんの問題意識と書くことの覚悟を感じさせた一冊。
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著者の小島慶子さんは元TBSアナウンサー、今はフリーで活動中ですが、その小島さんと5人の識者の方々(清田隆之さん・多賀太さん・熊谷晋一郎さん・平野啓一郎さん・上野千鶴子さん)との対談集です。
テーマは、現世に蔓延る“おっさん性”。
正直なところ、小島さんが提起している議論になかなか没入できませんでしたが、「男性社会の価値観」が生起させる不合理なことがらをはじめとした様々な“おっさん社会”をテーマにしたやりとりには、単なる「男性社会批判」に止まらない面白い論点やコメントが記されていました。
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薄っぺらい批評家による感情論的対談本と思ってサラサラページを捲っていると、後半でグッと面白くなる。それは著者の小島慶子が自身の体験を語り、なぜ「おっさん論」にこだわるのかが明かされるから。人は、二次的な話より、一次的な原典を聞く方が感情が動く生き者だろう。生々しさにこそ教訓がある。
平野啓一郎との対談後、小島慶子が語った事。それは、個人的な話ではあるがと、自身が第一子を産んだ後、夫から性感染症をうつされた傷を負っているのだという話。不安障害となり、被害感情と同時に「私には復讐する権利があるのだ」と言う強い暴力衝動が沸き上がったのだと。それをエスカレートしないように制御する必要があった。許し、忘れようと努めた。一方、夫は自分がしたことについて思考停止で凌ごうと。夫は、不安を言語化せず、なかったことにするというやり方が身に付いてしまっているようだ。男とはこういうものだ、という繰り返し学習したことの結果だ。かく言う小島慶子自身も、自分が何を正しさとして学習してきたのかと悩む。小島によるジェンダー論の本質をついたようなエピソードだったと思った。
言語化が必要、言語化を絶対善とする思想は安易。しかし言語化にも良い点はあり、その源流には、社会学習による意識の洗脳状態を透かす事ができる。
こと夫婦間の性に関して言えば、これは相互支配や所有の問題ではないか。小島も結婚していなければ、夫の放埒ぶりに関心など抱かない。つまり、所有した夫に性の自由は許せない、という点が根本にあり、これはジェンダー論からはズレる。パートナーの性行動には厳しいが、その他大勢の男の行為には大して関心はない。夫婦の関係において、どうあって欲しいかという悩みは、小島以外にも共通する所もあるだろうが、女性の社会的地位とは異なる論点だ。
これをズバッと指摘したのが、上野千鶴子。小島の考えるおっさん性という俗語を否定し、それはおっさんがどうこうと言う問題ではなく、エリート女の宿痾だと。上野千鶴子は言う。私が相手を所有する権利もないし、相手が私を所有する権利もないって思っている人間だから。自分の体は自分のものだから、と。この観点が無ければ、ジェンダー論はマウント合戦のシーソーゲームを繰り返すだけ。男と女は永遠にバランスしない。
上野千鶴子の言葉が胸に刺さる。二個目のものは、東大入学式の祝辞だ。感銘を受けた。
ー そんな気休め言わないでよって思うかもしれないけれど、歳をとって自分の限界や弱さがわかってくると、せめて気休めぐらい言ってよって思うようになった。辛い時に、世間は君の才能が理解できないんだねって言ってくれた人がいて、素人だから言えるんだけど、無条件に信じてくれる男が世界に1人でもいるのってすごい幸せなこと。
ー あなたたちの頑張りをどうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれない人々を貶めるためにではなく、そういう人々を助けるために使ってください。そして強がらず、自分の弱さを認め、支えあって生きてください。