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鎌倉時代中期、北条得宗家と三浦一族との間に起きた内紛についての概説書。合戦の推移を描いた小説が本体であるが、補完する形で解説もしっかり書かれている。小説には著者の認識する鎌倉武士の有り様が存分に反映されていて、これはこれで面白い。
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歴史の概説部分と小説部分がある斬新な本。鎌倉期の政治史専門家である著者が描いた小説は、とても読みやすく、法治合戦の複雑な構図がしっかり理解できた。わかりづらい鎌倉時代を読み解くのに極めて有益な書。
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鎌倉時代の著作が多い歴史学者 細川重男氏が北条氏と三浦氏で争われた宝治合戦について解説した著作。解説編と小説編から構成されており、解説編では歴史用語を始め歴史的な背景などをきちんと学びながら、小説編ではかなりダイナミックな描写で臨場感たっぷりに宝治合戦を味わえます。ちょうど大河ドラマ「鎌倉殿の13人」から続くような形になっており、御家人たちのその後が分かるのでドラマを観て鎌倉時代に興味を持った人にはおすすめの1冊です。
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「鎌倉殿」のその後が気になって読んでみた一冊。
泰時亡き後、第5代執権となった時頼の時代のお話。
メインの合戦部分はまさかの小説形式。しかも『吾妻鏡』の殺伐感を活かすために、武将のセリフがほぼヤクザ会話(笑
宝治合戦は、北条義時のひ孫である北条時頼と、三浦義村の子である三浦泰村との戦いです。
これに、「鎌倉殿」では、頼家に愛人を奪われて窮地に陥っていた、安達殿の息子(安達景盛)が絡みます。
得宗という概念を知ったのは実は大河ドラマの「北条時宗」だった。それまでは執権しか知らなかった。実際には、執権と同格の連署と言う存在があったりして、鎌倉幕府はとかくわかりにくい。
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歴史小説自体が初めて読むのですが、とても分かりやすく解説も交えているので読みやすいと感じました。
鎌倉武士の言葉遣いや所作が想像していたより乱暴でしたが、命の重さや家の権威など現在とは価値観がかなり違うので、それはそれでそういったものかもしれないと納得しました。毎日命懸けで生きていだのだなと思います。
個人個人としては冗談を言ったり、相手を思いやったり普通に生活している、今の人々と同じ感覚もあるので、次の日には人を殺している、というのは理解しにくい気持ちでした。
しかし、それは今で言う所で、他国の兵士が家族と楽しく過ごしてその次の日には人を殺している、というのと似ているのかもしれません。
環境が変われば、一般的に平和に過ごしている普通の人も人を殺す。環境に抗おうとするのは中々難しいが北条時頼、三浦泰村は和平の道を探っていて凄いなと思いました。
光村は時頼の心情を読み取ってはいたのは少し意外でした。しかしやはり本人の気持ちとは裏腹に一族の為に、将軍に仕える名誉、悲願の為に動く、それが仕方ない事とは言え、辛いだろうなと思いました。
感情だけで生きられたらどんなに良いだろう。社会的、宗教的部分の中で私達は生きていて、足を引っ張られ後ろ髪を引かれながら何を選択するのか。後悔しない生き方を選ぶのは恐らく不可能だとおもうが、後悔してもそれでも良いと思える道を選ぶのは本当に難しい。ラストの三浦光村の切ない最期が印象的でしたが、良い生き様だったなと思いました。