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紙の本
すべてのカーブ?
2022/12/03 21:44
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投稿者:つばめ - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は鉄道写真家である。本書の内容は、月刊『旅の手帖』に連載の「鉄道時間旅行」の中から特徴的なカーブが存在する路線をピックアップしたものである。地形的あるいは人為的にカーブを形成した背景の解説がメインであるが、それに加えて地元の市町村史を丹念に調べあげて、路線の開業に至るまでの歴史を明らかにしている。黒部峡谷鉄道に関連した高熱隧道では、吉村昭著作の『高熱隧道』の紹介や、カーブでなく直線距離の長い室蘭本線や東京都内の中央本線については、駅前後で線路のカーブは存在するが、「測量中心線が直線」との解説など、著者の配慮が行き届いていると感じた。ただし、振子式車両の解説が大宗を占めるなど、それはそれで、興味深い内容ではあるが、なぜ、そのカーブになっているのか理由が明確に解説されていない路線もある。本書のタイトル「すべてのカーブにはわけがある」からは、幾分逸脱した内容もある。すべてのカーブの設置理由を当該路線の設計者でもない部外者(著者)が、明確に解説することには、自ずと限界があるのは致し方ないであろう。
わたらせ渓谷鐵道の解説で、「坂東カーブ」と呼ばれるR144mの急カーブは、国鉄~JR線の最急カーブとある。著者が参考にしたと記載のある、昭和60年代に発刊の『日本鉄道名所』(小学館)によると、国鉄の最急曲線は茅ヶ崎駅付近にあるR107mとの解説がある。いずれが正しいのであろうか。相模線の急曲線は、曲線改良で姿を消したのであろうか?
南海高野線の山岳線区では、本書の解説・写真にあるように曲線の制限速度が33kmとなっている。鉄道の制限速度は、通常5km単位である。この半端な速度制限については、その理由を是非とも解説してほしかった。
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