紙の本
表紙が超好き。
2019/07/18 05:30
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投稿者:ROVA - この投稿者のレビュー一覧を見る
あらすじだけ見るとミステリ要素あるのかな?とも思ったがそんなことはなく
ストーリー自体は比較的オーソドックスなヒューマンドラマ。
とは言えリアルな表現が絶妙でどんどん読み進めてしまう。
終盤の夫婦の決断には少し驚くものの、適度なカタルシスとなってとても良い。
そしてその決断こそが逆に一樹を救うことになったのではないか、とも思える。
お互い突き放したようにも見えるラスト、
私はそこにお互い愛情があるように感じました。そう信じたいというか。
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なんて魅力的なタイトルなんだろう。
その話は今日はやめておきましょう
どんな話なんだろうと思い手を取ったらこれまた複雑な感情が行ったり来たりするお話だった。
老夫婦の寂しさやら不安も、青年のぶつけどころの悪い感情たち。それらが交差し、ものすごく強い物語になっている。
本当に嫌な人が一樹の友人だけだったのが良かった。一樹の友人に関してもあまり描写がなかっただけでもしかしたら根はいい子なのかもしれないけど。
じいさんが一樹に頼んでAV借りてこさせるシーンとか好き、可愛い笑。
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大楠昌平・ゆり子、一樹。
みんな弱くて面倒くさくて、でも「明日の我が身か?」と思ったりもして。
お話の中の人なのに、実在してる人のお話みたいに色濃く迫って来る感じ。
井上荒野さんって凄い。
そしてそしてタイトルも素晴らしい。
あーもー、このもやもやが最高。
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よく知らない若い男の子に
家の手伝いをしてもらっているうちに
なんだか夫婦間もギクシャク。
いい、この不穏な感じ。
ドキドキしちゃう。
でも最終的には丸く収まってヤレヤレ。
それにしてもゆり子さん達って
とっても上品な老人なのだなぁって。
私だったら人の目とかあんまり気にせず
もっと図々しく生活してる気がする(笑)
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平穏な老夫婦の日常が、一人の若者の出現によって揺らいでいく。老人を馬鹿にする若者。若者に馬鹿にされまいとする老人。問題が起こっても、子供たちにも言えない老夫婦の思い。若者目線と、老人目線で語られる物語は、どちらかというと老人目線にある者としては身につまされる。
読んでいて、これは本当に荒野さんの作品なのかと疑うような内容。確かに不穏な雰囲気は少し荒野さんらしくもあるのだけど、終わり方のスッキリ感とかはちょっと違うような・・・。
荒野さん、歳を重ねて新境地に至ったのかしら。
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+++
一人の青年の出現によって、揺らぎ始める定年後夫婦の穏やかな日常─ 。老いゆく者の心理をとらえた著者の新境地。
+++
冷静に客観的に考えれば、有り得ないようなことなのだが、72歳の大楠昌平と69歳のゆり子夫妻、それぞれの心の動きが手に取るようにわかるだけに、切なくやりきれない気持ちにさせられる。世間的に見れば、とても恵まれた老後を送る二人なのだが、歳を取るということは、若いときには思いもしなかったような心のありようになるものなのである。ひょんなことから家政夫として大楠家で働くことになった、石川一樹も、堪え性もなくどうしようもない若者なのだが、まだ救いようがないところまではいっておらず、中途半端に「いい人」なところがあるのが、これまた厄介なのである。読み進めるほどに、胸がきゅぅっとなるような一冊である。
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大楠家の老夫婦(といっても私より少し上といったところ)と、ひょんなことがきっかけとなって彼らの身の回りのお手伝いをするようになった一樹クンとのお話。
私たちの周辺に起こっても不思議ではない話だけに、読むペースも早くなった。
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定年後の老夫婦が自転車に乗り始め、オットが事故にあう。
手伝いに若い男性家政夫が、通ってくることに。
暗雲立ち込め、嫌なムードになったところで、大ごとになる前に話は集結。
この程度で済んで、よかった。
でも、お金持ち夫婦は、よく知らない男性でもかんたんに家政夫として雇ってしまうんだ…
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年取っていくことの寂しさや焦りが伝わってきました。
テーマは明るくないのでもっとブラックでぞっとするストーリーかとおもいきや、とてもいい気分で読めました。
井上荒野さんも年齢を重ねられたんだなぁと感じつつ。
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2018.8.11.
老夫婦の家に入り込む青年の内に秘めた暴力的衝動。
立ち向かわなければならない…後半はドキドキしながら読んだ。思っていたより、内容に入り込めよかった。
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相手のことがよくわからないのに、あれこれお手伝いを頼むって、それほど最初の印象が良かったということなのね。
第一印象も大切なんだろうけれど、その後の付き合いの程度にもよるかもね、それを信用するかどうかは。
最後に、「お金を振り込むのはやめました」としっかり相手に言うところがいいな。
言わなきゃわからない人には、ちゃんと伝えないといけないんだろうな。ま、言い方には気をつけないとダメなんだろうけどね。調子よく合わせてくるとか、異常に持ち上げてくるという人は何か企みがあるのかも。
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一樹にしろ 老夫婦にしろ
相手を心の底から嫌いになれなかったから
老人をないがしろにしたり
若いから悪いやつだと決めつけずに
やっぱり嫌いになれない
という感覚は信じれたから
毅然とした終わり方が出来たんだと思いました
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ロードバイクでのサイクリングが趣味の定年後夫婦ゆり子と昌平。
昌平が事故で足首を骨折したことをきっかけに、以前知り合っていた青年一樹を家政夫として雇うことにした。
ザワザワと嫌な気持ちになるお話。
それでも先が気になりやめられませんでした。
ゆり子と昌平夫妻がお人好しとも言い切れず、近所との付き合いも疎遠だったがために一樹に頼ってしまった所があったのだろうと思うと、寂しさを感じます。
一樹も、暴力的な衝動を持っているとはいえ、根っからの悪人ではなかったのではないかと思わされ、それは私もお人好しなのかなと反省したり…
これを機に、夫婦の結束は更に強くなるのでしょう。
一樹も真っ当に生きていってくれる様な終わり方でしたから、それを祈りたいと思います。
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一樹はだらしないだけで、必ずしも悪い人間ではなかったということがより恐ろしさを感じた。
悪い人間ではなくとも、悪事は行われる。
大楠夫妻の老いたことによるべなさと若者をそばに置いておきたいという気持ちは目が開かれた。
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第35回 織田作之助賞 受賞作
※大阪生まれの作家・織田作之助の生誕70年を記念し1983年に創設。既刊の単行本を対象にした織田作之助賞と公募作品を対象とした織田作之助青春賞・織田作之助U-18賞の三本立てとなっている。 主催:織田作之助賞実行委員会(大阪市、大阪文学振興会、関西大学、パソナグループ、毎日新聞社)賞品:100万円と記念品