紙の本
アーティストとしての才能とは何であろうか
2022/09/30 15:57
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投稿者:nekodanshaku - この投稿者のレビュー一覧を見る
アーティストとしての才能に溢れたピカソになれなかった私たち4人の美大生が、卒業に向けて最後の一年間を同じゼミで悩み生きる姿を描く。彼らを指導する教授がミステリアスでパワハラ・アカハラおじさんであるからミステリーの要素があるのかもしれない。才能というのが何であるかを問いかけているのだが、明確に示すものはないのだろう。読後にそれぞれの心におぼろげに浮かび上がるものと思う。アートは過去に学び、過去を更新して未来を創る行為であろう。そしてアートは自分にとって見たい世界を創るものだ。その行が「才能」だろうか。
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4人それぞれが真剣に絵に向き合ってある姿に感動しました。
私も何かにここまで真摯に向き合いたいです。
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美術というこれといった正解がない世界でもがく大学生たちのお話だった。読んでいてずっと苦しい。
いろいろなタイプの大学生4人だけれど、読み進める中で誰かしらに感情移入できる気がする。
苦しいシーンが多かったけど、最終的にそれぞれが自分が納得する形で進んでいたのが本当によかった。森本先生も含めて。
自分らしさとは何か、才能とは何かを考えさせられた。お互いにないものねだりで、他者が羨ましく妬ましく感じることもある。でも作品の中の詩乃の思いの中で、他人には他人しか描けない絵があるけれど、その分自分にしか描けない絵がある、みたいな言葉のように考えられるということが生きていく上で、美術に限らず大事かもしれないと思った。
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美大4年生の1年を描いた物語。芸術をどのように教えるか、どのように教わるか、教わった先に何があるのか、そんなことを考えさせてくれた。芸術の世界では才能の2文字で片づけられてしまうことも多くあるけれど、この本では「才能とは何か?」ということも考えさせてくれる。
登場人物が描いた絵を実際に見てみたいなあと思う。文章しかないので、読む人の想像力によって読後の爽快感が変わってくるんだろうなあ。でもいい本。
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原田マハさんの本を読んでいて、
ピカソ、ゴッホ、モネをネットで検索した時に
偶然見つけた一冊です。
表紙が衝撃的で。
最寄りの駅中の小さな本屋で見つけました。
この書店の仕入れ担当、
私と趣味一緒なのでは、と思ってしまう品揃えなんです。
少ない商品数なのに、遭遇率高いです。
本書は、国立の美術大学が舞台です。
厳しくて有名な森本ゼミに集まった、4人。
それぞれが、事情を抱え、悩み、葛藤します。
学生たちの内側を引き摺り出そうとする森本の真意は?
過去が明かされたりと、少しだけミステリーのような要素も。
嫉妬と自己嫌悪と自己防衛。
描かずにはいられないのに、知らないうちに見失って迷子になる。
何を描きたい?伝えたい?あなたの考えは?
ギリギリまで追い詰められる姿は、
見ていて苦しくなります。
一気読みでした。
4人が出した答え。
森本が時に常軌を逸したような厳しさを見せる真意とは。
ナオコーラさんの本の余韻が抜けてないからか、
いろんな本があって、いろんな物語があって、
たくさんの登場人物がいて、
それを動かしている作者がいて。
ただただその事実に圧倒されてます。
読書って本当にすごい。
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自分が美術を学んでいることもあり、すごく惹き込まれる作品であった
リアリティがあり登場人物一人一人の心情が細かに伝わってきて感情移入できる作品だった
故に結末が想定内のもので拍子抜けした
アニメや漫画で美大が舞台になる場合と違い、挿絵もない小説で美大をテーマにするのは珍しいと思った
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美大の大学生の青春物語ですね。
国立の東京美術大学油画科の四年生で、厳しい指導で知られる森本ゼミの四人の青春群像です。
作者さんが、東京芸大の出身ということもあり、美術の世界の仕事を経験した、一色さゆりさんの渾身の一冊です。
美術家を目指す四人が、個性豊かに描写されています。
作品を作り出す苦悩や、それぞれのトラウマと格闘しながら、自分を見つめ直す成長物語ですね。
美大生の生活の一面も興味深いですね。
芸術家として、大成できるのは、一握りに過ぎない。自分には才能は、本当に有るのか、そもそも「才能」とは何?
芸大生の苦悩と挑戦も浮き彫りにしています。
教授の森本の強引な指導の影に有るものは、本心は?
学内で起きた過去の事件や、四人の身の回りで起きる事件など、飽きることなく読ませます。
一色さゆりさんのファンなので、少し好意的な感想になりました。これからも読み続けたいですね。
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ヒリヒリ...ヒリヒリ....。
冒頭読み始めから、心がヒリヒリしましたね。
最後はなんとかホッとしましたけど。
そういえば大学生って、20代前半なんですよね。
大人の仲間入りしたって感じだけど、実はまだほんの入り口。悲しいかな私たちが年月をかけて作って来た大人の仮面の付け方が分からないから、自分の気持ちに素直。行動もそれに伴う。いいことだし、無くしたくないものなんです本当は。
その瑞々しい粗削りな若者たちが、「自分」の作品を通して「自身」が露わになってしまう芸術畑なんかに集っていたら...。いいものを作ろうとする気持ちも相まって、そりゃあお互いの気持ちも直に伝わりギスギスしちゃいますよね...。
本人たちはその渦中にいると、分からない、辛い。
でもそれを必ず乗り越えることの出来る若者は....ああ、おばちゃんには眩し過ぎる。未来への可能性オーラがバリバリ見える。可能性羨ましい。
...あれ?家にも、眩しい未来をもってる大学生の息子が、夏休みを名目にゴロゴロと...。
ああ!今日の天気は曇りだからか〜。いつか眩しいオーラを纏ってくれるかな...。
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原田マハさんは鑑賞する側、一色さんは描く側からと全く異なる視点で美術を題材にしている。
親や教授といった大人たちとの関係性も面白く読んだ。
登場人物たちが描いた絵を観てみたくなる。
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東京芸術大学。最難関であり、就職にいちばん遠い大学…。
入学するときは芸術のエリートなのに、その後の生活の保証なし。
そんな学生生活をおくる4人の若者の群像劇。
作者さんが藝大ご出身なので、中のことが知れて面白かった(興味本位で読むには)。
しかし才能で淘汰される世界、しかも選び抜かれた者たちのなかで、嫌というほど自分を思い知らされる…。
友でありライバル、才能に嫉妬し嫉み苦しみ。個性を見出すために七転八倒する。若いからできるバカや苦労もある。
それでも自分の道を進むしかない。
読後はスッキリしてよかったが、小説としてはもうひと超えほしかった。
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葛藤の先に見える自分の道へ - 一色さゆり「ピカソになれない私たち」★★★☆☆
このミス大賞の一色さんの作品ですがミステリーではなかった。著者は美術館に勤務しているという筋金入りの美術家。自身のバックボーンに近い感じなんだろうな。
4人の群像劇としては、よかったんだけどなんか結局それぞれが自分と向き合った結果に終止しちゃたかなぁ。題材は悪くないんだけどな。このミスの看板が邪魔だったな。中途半端に謎っぽいものを入れるくらいなら謎に全振りするか、青春に全振りするべきだったよね。
#引用
・誰かが本気で取り組んだものって、きっと誰かの背中を押すもの
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美術大学ゼミに通うゼミ生と教授の話です。
謎な点があり気になって読み進めていくので、読んでいて楽しい本でした。