本当に面白い室町時代
2022/12/06 16:06
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
室町時代の嘉吉元年に播磨・備前・美作の守護赤松満祐が室町幕府6代将軍足利義教を殺害した騒乱、混沌の時代という言葉がぴたりと当てはまる室町時代の中でも飛びぬけて異様な事件、満祐の子の教康の屋敷で猿楽を鑑賞していた将軍を甲冑を着た武者たちが座敷に乱入して殺害、招かれていた守護大名・近習達の多くは即座に逃げて将軍を助けようとしなかったようだ。私は北方謙三氏の小説「悪党の裔」を読んで以来、円心のファンで赤松家には肩入れしてるのだが、この騒動は残念至極、赤松氏の立場からすると、有力大名の家督相続に強引に介入してお気に入りに家督を相続させるといった暴君にしか思えない義教に次に目をつけられるは自分だと満祐が疑心暗鬼になるのも無理もないと彼の気持ちを慮ることも可能だ
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嘉吉の乱について、沢山の資料にあたり、細かく記述されている。
将軍の権威が失墜していく契機となった事件だが、この乱がなくともいずれ幕府体制は崩壊していたんだろう。本書で取り上げられた赤松氏はじめ、多くの氏族が領地を召し上げられたり謀略にはめられたりする過程が、とても理不尽。勢力均衡を保つためにこんな事をしていたら、いずれみなうんざりする。
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中世の戦は、殲滅戦ではなかった。攻撃力が発展途上だったと言うことかな。
そのため戦いに敗けても滅亡するわけではなかった。尊氏もそうだったけど敗けても何度でも再起できるチャンスがあったんだね。
で、嘉吉の乱だけど、赤松氏からすれば義教の横暴をかわせさえすれば道はある、と思えたのかな。後に勃発する応仁の乱の前哨戦みたいなものかもしれない。一族の跡目争いってのはいつの世も騒乱の種になるってことだね。
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嘉吉の乱については、万人恐怖と言われた将軍義教の振る舞いやパーソナリティが良く取り上げられるが、本書は犯行者側の赤松氏に焦点を当てている。
嘉吉の乱は、義教に追い詰められた赤松満祐が自暴自棄になって反乱を起こしたというイメージを持っていたのだが、実は事前に天皇と将軍の候補を持っていたらしい。天皇候補と目されたのは南朝小倉宮の末子、将軍候補は足利直冬の孫になる足利義尊。彼らを擁立して、「新幕府」の構想を持っていたのではないかと著者はする。
また、赤松氏復興の由縁となった、禁闕の変で奪われた神璽を奪回した長禄の変(1457年)についても初めて知ることが多かった。いったんは成功した神璽奪回であったが、後南朝を支援する郷民の反撃に遭って奪い返されてしまい、最終的には吉野の土豪小川氏により戻されることになった。また、赤松氏復興を支援したのは、畠山持国と対立していた細川勝元であるらしい。
赤松氏という一守護大名を通して、この時代の幕府その他の時代状況について、いろいろなことを学ぶことができた。