投稿元:
レビューを見る
タイトルから勝手にエッセイを想像して手に取ったら短編集でした。
ぞわっというか、これがみぞみぞかな。ほんのすくしいやな気持ちが残る小説たち。好き!
荒野さんのお住まいが私の生まれに近いので出てきたレストランのモデルここだろうなと思うところがあったりで個人的にも楽しめた
投稿元:
レビューを見る
どの短編もとても余韻が残り、不思議な感覚だった。
どの作品も「え、これで終わり?」と思うラストなんだけれどなぜかどれも心に残る感じ。
やっぱり上手いんだなぁと実感。
投稿元:
レビューを見る
短編集。
井上荒野さんの小説には冷たい男が出てくる。本作の冷たい男1位は「つまらない湖」の男と決めた。
一見、付き合いやすいし優しそうに見えるが、「今夜ぼくはあなたと寝た方がいいのかな」とサラッと問うてくるし、「どちらでも対応できる」と本心で言っているのも冷たい。しかし、私はこの冷たさが好きなのである。本心を隠してあれこれ画策する男より余程素直ではないだろうか。すぐ傍にいるのに遠い存在の男は貴重な存在だ。
最低な男も決めたい。
栄えある1位は、「緑の象のような山々」の男。
妊娠した不倫相手に甘言を囁き、いざ自分が追い込まれると手のひら返したように堕胎の説得を始める。この短編は、男と女がSNSで会話しているのだが、「w」の多用がここまで不快とは思わなかった。こちらは何も面白くないのだが?これも筆者の策なのだろう。段々話が深刻になるにつれて「w」が登場しなくなるのも良い。
全てを理解した訳ではないが、どこか空虚さと清々しさが残る読後感。
投稿元:
レビューを見る
「書くこと」をテーマにした10篇を収録した短篇集。
タイトルからして執筆を連想するけれど、対象はメールだったり、付箋紙に書かれた伝言だったり、はたまた壁に書かれた落書きだったりと様々だ。しかしどれも心の底がざわざわするような内容で、そのくせ結末に至らず終わってしまうからその先は想像するしかない。でも、そこがいいのだ。一見、救いのない話でも、読者の想像でハッピーエンドに変えられる……かもしれない。
現実の、どうしようもない状況も、考え方次第でどうにかなるかもしれない。そう思える作品集だった。
投稿元:
レビューを見る
"書くこと"にまつわる短編集。予想通り爽やかな話は1つもないけど、余韻を残す感じが見事なんだよなぁ。短編が十作あるのですが、「凶暴な気分」がささったかな。自分がいかに恵まれているかに無自覚な人間にこれでもかってくらいお見舞いしたい気持ちわかるわぁ。
投稿元:
レビューを見る
ゾワっと迫ってくるような怖さを感じる短篇がいくつかあった。過去の自分の心情に似た作品もあり、考えさせられた。
投稿元:
レビューを見る
小説や日記からメモやSNSなどちょっとしたことまでの「書く」ということをテーマにした短篇集。どういう理由でそれを書くのか。日常のなかの何気ない時や、仕事で必要な時など様々で読んでいると感情がざわざわしてくるような、少し不安になるような感じがあった。そこには本人が思っているよりも多くの情報や自分の想いが入っていたり、受け手の感情も感じ取れるからなのかもしれない。近年読んだ短篇集のなかで一番だと思う。
投稿元:
レビューを見る
井上荒野さんの「書く」ことにまつわる短編集。
とても良い。
ブックカフェで手に取ってそのまま購入。
文字を紡ぐってとても不思議な行為だなぁと改めて思う。
投稿元:
レビューを見る
小説、メモ、日記、レシピ、SNS…。すべての
「書くこと」をテーマに、さまざまな日常の
忘れられない瞬間を描いた短篇集。表題作のほか、
「窓」「つまらない湖」など全10篇を収録する。
投稿元:
レビューを見る
他の方の感想を読んで初めて「好好軒の犬」にでてきた娘さんが
タイトルにもなってる作品に出てきたことを知りました。
確かにお父さん、小説家でしたね。
書くことをテーマとしてるそうですが、だいたい不倫のお話…
一番印象に残ったのは「名前」。
娘がかつての自分と同じ立場になり、しかも自分はできなかったことをやりとおしてるのを見た母親。
母親と娘の女性性みたいなのがぶつかる話。
生々しいけど、終わり方がカラリとしてます。
投稿元:
レビューを見る
Kindleで読んだ。
小説、メモ、日記、レシピ、SNS…。すべての「書くこと」をテーマに、さまざまな日常の忘れられない瞬間を描いた短篇集。
メールだけで話がすすむ「緑の象のような山々」が印象的だった。
だんだん夢から醒める女と、いつまでも夢の中の男。
中絶手術のことを
『処置の日が決まって、不安なのかもしれないね。平気でいられるわけもないよね、簡単な処置で、危険はほとんどゼロだとは言ってもね。』
という男にめちゃくちゃ腹が立った。
結局「私たち」っていうことは…?
「料理指南」
レシピノートに残された「はい、おしまい!」に込められた切なさ。
明るい話はなかった。
不倫率の高さ!
投稿元:
レビューを見る
「書くこと」をテーマとした10編の短編集。
「園田さんのメモ」言葉よりも文字で伝える不気味さ、でも園田さんってどこかにいるかも。でも嫌いじゃないかも(笑)
「好好軒の犬」は、あちらにいる鬼のスピンオフ版かなと思える意味深なお話。
贅沢な全10編でした。
投稿元:
レビューを見る
10作品の短編集で、2作品に同じ名前で海里という人物が登場しています。何か繋がりはあるのか、とか何か意味はあるのか、と珍しく2度読みしましたが特に無いような感じがしました。もしかしたら、あるのかも知れません。小説家である井上さんに意図を尋ねてみたいと思った一冊。
投稿元:
レビューを見る
ものすごく井上荒野的な感じがします。井上さんの作風を知っていてそれが好きな方には楽しめて、それ以外の方にはさほど刺さらないかもしれません。「書くこと」をテーマにした10短編集。お気に入りは『緑の象のような山々』→世紀のクソメールの応酬。『園田さんのメモ』→こんなメモは怖い。『窓』→いじめの描写が辛い。でも少し救われるようなラスト。総括:全体的にモヤ~っとした質感でオチも「え、それで...」となるものが多いがなぜか読ませます。1編が短いので隙間時間にサクッと不穏を楽しめました。
投稿元:
レビューを見る
読者感情を儘に操る短篇十作品は何れも秀逸。日常の些細なこと、ありがちな出来事を巧みに描写。曖昧さを残したオチもいい。登場人物の台詞ひとつにしても含みを持たせ、つい深読みしてしまった。