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先日の読書会でお借りした1冊。
佐々木譲さんの本はたしか警官の血以来かな。
箱館戦争降伏の伝令中に失踪、5年後、共和国奇兵隊を名乗る盗賊の頭領として再び姿を現した兵頭。
元幕臣で5年前には新政府軍に対して共に兵頭と戦った矢島従太郎は、その兵頭率いる共和国奇兵隊の討伐隊に送り込まれる。
開拓が進む北海道で、かつては同じ理想を共にしたた2人の壮絶な戦いが描かれる本作。
白兵戦、銃撃戦、戦いのかけひき、そのどれもが臨場感ある見事な筆致で、アクションものを小説で読み慣れていないわたしでもぐいぐい引き込まれる。
史実とファンタジーの間をいく物語だと思うのだけど、ここらへんの歴史的教養があれば絶対もっと面白いんだろうな。
北海道を独立した共和国にする夢について、
愚直にいつまでも夢を信じる兵頭と、
突きつけられる現実に葛藤し妥協して生きる矢島の対比が面白かった。
あと、北海道開拓の史実としてアメリカの西部開拓使の雰囲気もあったのかなと思ったり(開拓使の旗印が青地に赤い星印だとかもなんとなく星条旗感があるし)、ゴールデンカムイの最終回を思い出したり、いろいろと掘ってみたくなる内容だったな。
とりあえず今のところ榎本武揚が気になる。