紙の本
一級品の政治スリラー
2023/01/29 15:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:じゃび - この投稿者のレビュー一覧を見る
ビル・クリントンの『大統領失踪』も面白かったけど、こっちも面白かった。そして本作はあとがきを読むと本編の印象がかなり変わってくる。まさか劇中で最高にナイスだったキャラクター、ベッツィーがほぼ実在の人物だったとは。さくらももこさんにとってのたまちゃんのような人がヒラリー・クリントンにもいたというのは驚き。親しい人を亡くしたばかりの著者たちにとって、本作の執筆はセラピーのような作業でもあったのだろう。そう考えると何ともセンチメンタルな作品でもある。
紙の本
ヒラリー・クリントンが書いた国際政治サスペンス
2023/02/12 10:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こばとん - この投稿者のレビュー一覧を見る
ヒラリー・クリントンが書いた『ステイト・オブ・テラー』が邦訳されたというので、読んでみた。正確には、カナダのミステリー作家、ルイーズ・ペニーとの共著だ。
無能な前大統領エリック・ダンを破って新大統領の座についたダグラス・ウィリアムズは、予備選を戦った相手の支持者でありマスコミを経営するエレン・アダムスを国務長官に指名する。女性国務長官が主人公であるとは、いかにもヒラリー作、といったところだ。前政権の外交の失敗を十字架に背負って韓国に乗り込んだエレンはみじめな失敗にあえぐこととなる。そんな中、ロンドン、パリと連続バス爆破事件が発生し、多数の死傷者が出る。犯行声明は出ない。犯人は、何のために犯行に及んだのか?一方、国務省の南・中央アジア局下級職員のアナヒータ・ダヒールの元に意味不明のメールが届く。それはジャンクとして処理されるが、アナヒータはそれが第3のバス爆破事件の予告でないかと思いいたる。そしてその標的たるバスには、ある重要人物が乗っていた。爆破は、防げるのか?
そして話はパキスタン、そして核合意廃棄後のイランへと飛ぶ。アフガニスタンからのアメリカ軍撤退はタリバン、そしてアルカイダの跳梁跋扈を招くことになり、武器商人の不穏な動向やロシアの介入も絡んで話は思わぬ方向へと発展し、ついにはアメリカ国内へと波及する。
これ以上書くと完全なネタバレになってしまうので伏せるが、カウント・ダウン的スリルも含めてミステリー要素・国際謀略的要素満載で、一気読み必至。と言っても、600ページもあるので、とても一晩では読めませんが。最後に失速してしまいますが、これを笑って許せれば楽しめますし、どこかで聞いたような話が満載、という意味でも楽しめます。
投稿元:
レビューを見る
四六判の590頁。読み切れるか不安を感じつつだったが一気に読めた。
丁度中間選挙の後だったこともあり、後書きににもあるようにフィクションでよかった。
投稿元:
レビューを見る
登場人物と場面切替が多いので、初めは戸惑ったが、政治スリラーとして十分に楽しめた。
地政学の現実を下敷きにしているのでフィクションとは言え、リアルに感じられる。本書の共著者であるヒラリー・クリントンがあとがきにこう書いている:そのプロットがフィクションであり続けるかはどうかはわたしたちにかかっている。また、主人公は女性の国務長官で彼女を支えるソウルメイトの顧問も女性であり、女性の地位についても問題提起しているものと思う。
登場人物のひとり、前大統領エリック・ダン(Eric Dunn)はトランプそのもので、ヒラリーの遺恨が伝わってきた(Dunnはdumbに懸けているのだと思う)。ロシアの大統領の描写も読んでいてあの顔が浮かび上がってきた。そんな楽しみもある小説。
投稿元:
レビューを見る
☆3.5かな。
ヒラリー・クリントンがアイディア出しとの触れ込みだったので、もっとワシントンのどろどろ政治闘争かと思ったら、めちゃくちゃハリウッドぽかった。
最後、爆弾処理して残りタイムが2秒とかベタすぎる(笑)誰が悪者?的謎解きもかなり分かりやすい。廻りの人達がばったばった死ぬのに、いちばん危険だった主人公とその身内は全員無事、てところもハリウッドぽい。
ずばり、ページターナー的エンタメ。
あと、翻訳がいまいち。急いで出版したからか? 直訳すぎてこなれてない感じ。それにしても、
「あなたは分かるでしょう」
はひどい。原文、たぶん「you know」だよね?今時そんな訳し方しないと思うけど!
でも、国際情勢や各国首脳の描写がものすごくリアルで面白かった。
名前はみんな違うけど、前アメリカ大統領がカリスマのある狂人で飽きっぽくてバカとか。イギリス首相の髪の毛はいつも跳ねてるとか(笑)パキスタンの首相がフグみたいとか(笑)ロシア大統領とのバトルは特に秀逸。
この本はフィクションを超える、と宣伝していたけれど、ヒラリー・クリントン自身も後書きに書いていた、
「これがフィクションであり続けるかどうかは私達にかかっている」
これに尽きると思った。
あと、これはたぶん、日本人が読んだからこその感想2つ。
まず、これだけ世界中を3日で飛び回った大規模テロのお話しで、日本は影も形も出てこない。ヨーロッパ、イスラム各国、ロシアはもちろんだけど、協力国としてオーストラリアやニュージーランドは出てくるのに、いかに日本の影響力がないか、明白。
もう1点は、とにかくあちこちで女性が大活躍していること。作者が2人とも女性だからかもしれないけれど、政府首脳陣、その補佐官にざくざく女性がいるのは、実際にホワイトハウスがそうだからだろう。レンジャー部隊にもシークレットサービスにも大勢の女性隊員がいたし、もちろん悪役も。
イスラム各国とロシア以外のシーンでは、構成メンバーの半々とはいかなくとも45%くらいは女性だった。
日本なら、ハイレベルな政治ものときたら、警察小説と同じで、登場人物はおっさんばっかだろう。
エンタメとして誇張しているにしても、アメリカではこれが違和感がないのだな、と感心した。ホントに日本、意識改革しないとマズイよ~!
投稿元:
レビューを見る
ヒラリー・クリントンがストーリーに大きく関わったテロとの戦いを描いた、緊迫のミステリー。新たな大統領と国務長官、その国務長官が主人公として、世界中に巣くうテロ組織と相対し、限界ギリギリの攻防・だまし合いを繰り広げる、まさにアクション&スパイ映画の世界。エンターテインメント性抜群の物語で楽しめますが、核の恐怖などの展開は、現在の世界の情勢に悲しみと危機感をいだかずにはおられない。
投稿元:
レビューを見る
元合衆国国務長官であるヒラリー・クリントンがミステリー作家とタッグを組んで書いた国際政治小説。国務長官の経験を元に書かれているので、現在の国際情勢とリンクさせた展開や、政治的かけ引きはリアリティがあり読み応え十分。
ただねー、登場人物の数が多い上に、視点がころころ切り替わるので付いていくのが結構大変。また、特定の国を一側面からしか描写しておらず(あえてなのかもしれないけど)、引っかかる部分も多かった。スパイ小説や、ポリティカルサスペンスが好きな人におすすめ。
投稿元:
レビューを見る
アメリカの映画やドラマ、小説はスケールがデカイ!
世界に散らばる敵、世界から持ち込まれる危機、各国へ乗り込んでひと癖もふた癖もある者相手に腹の探り合い、必ず絡んでくる宗教。スイッチ1つで起動できる核爆弾。おっと国内にも裏切者が!
フィクションとしてはハラハラ楽しめるが、アメリカ大統領や国務長官の抱えるものを想像すると、よくやるなと思う。いくら積まれてもわりに合わないのでは...
本書の題材以外にも、ネタになりそうな問題はたくさんあるんだろうな。
大国ならではの葛藤を感じたとともに、日本が全く登場せず、存在感の薄さに少しがっかり。日本は敵になるほどの害はなく、味方にするには弱すぎるのか?!
投稿元:
レビューを見る
長いわヒラリー!!(ビターン!)
注:ビターンは激しい怒りを表現する演出のための効果音であり、実際に本を叩き付けているわけではありません
単行本で600ページですよ
分厚っ!ってまず思いました
そして、ヒラリー・クリントンが構想に加わっているんですよね
カナダのミステリー作家ルイーズ・ペニーと共著ってことなのかな
もう正直ちょっと売名なのかなって思いますよね
駄作臭がぷんぷんして普通のミステリーファンはちょっと手を出しづらい作品なんじゃないでしょうか?
ビターンするくらい分厚いし(実際にはしていません)
でも、こういう作品こそ率先して読んでいきます
それがベストユーザー賞シルバーの務めというものです(別に特段嬉しくもないみたいなこと言ってたわりに引っ張るね)
結果、すんごい面白かったで!
もう1ページ目からものすごいスピードで最後まで走り切りました!
こういうのなんて言うんだっけ?
ノンストップスリラー?ちがうか?
あれだ、ドラマ『24』みたいな感じノベルだ!(そんな用語はないが伝わるはず)
そして元国務長官だからこそ描けるリアリティも感じさせつつ、随所にニヤリとさせるポイントもあって良かった
ただし、あきらかにトランプ前大統領をモデルにしている前大統領がめちゃくちゃアホに描かれているので、彼の岩盤支持者は読まないほうがいいかもね!
投稿元:
レビューを見る
当選したばかりの大統領は、予備選でライバル候補を支援してきた最大の政敵を国務長官に選んだ。
新たな国務長官エレン・アダムスは、過去四年間、前政権が犯罪的な無能ぶりを発揮して合衆国を死に体にしていくのを目の当たりにしてきた。
新大統領が議会で一般教書演説を始めた頃、国務省南・中央アジア局の女性職員のデスクに数字と記号だけが並んだ奇妙なメールが届く。
そしてその日の深夜、ロンドンで大規模な爆破事件が起きる。
翌朝、米国+英連邦4か国の諜報部門からなる“ファイブ・アイズ”の緊急会合が始まるが、そのさなか出席者の携帯電話が一斉に鳴った。
次なる爆発は、パリで起こった。
「あなたがたは怪物を解き放った。あなたがたには責任がある」
以前、ビル・クリントンのポリティカル・スリラーを読んだが、今度はヒラリーの作品。厚さの割にはやや薄味。
投稿元:
レビューを見る
基本的にフィクションだが、現代の国際情勢やアメリカ政治をうまくトレースしていて、ノンフィクション的感覚で楽しめた。
ストーリーのプロットも王道で読んでいて飽きなかった。
投稿元:
レビューを見る
本書の著者は2人いるが、その1人は元アメリカ国務長官のヒラリー・クリントンさん。本書は国際政治スリラーという枠組みなのだそうだが、話にリアリティを付与するのに適任な人物の1人だろう。
ロンドン、パリ、フランクフルトで爆破テロが発生する。それぞれの事件の被害者には、核物理学者が含まれていた。背後には、バシル・シャーという男の名前が浮かび上がり、また、パキスタン、イラン、ロシアといった国が絡んでくる。バシル・シャーの狙いは何なのか?これに対峙するのは現政権で任命されて間もないエレン・アダムス国務長官。モデルはヒラリーさん自身なのだろう。世界各地を飛び回り、外交の力で事件の解決に取り組む。
本書はフィクションであるがヒラリーさんにとってはこれはフィクションではないのだろう。ずっとこういったことを想定して仕事をしてきたのだろうと感じた。
息をつかせぬ展開で、大変面白い物語だった。