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ご友人は作品の最初の読者であるご自身では?
ふと、そう問いかけたくなりました。誰かが最初の読者のはなしを書いていたのを思いだしたからです。それと同時にたくさん読んだと思った作品の他にも、もっと作品があることがわかりました。「ナポレオン狂」や短編集は何冊か読んで、きっと面白い作品を書く人は寡作に違いない、と思い込んでました。
これだけたくさんの作品を全部読み込んでちゃかせるなんて、作者しかあり得ないじゃないですか?
おかげで、まだ読んでない作品をもっと読めるな、という楽しみとこの本に書かれている奥義に照らして読めるかもという少しいじわるな気持ちも湧いたりします。
昔、どこかのTV番組でアイデアを書き留めてあるというノートを見て、それがほとんど一行ぐらいだったので驚いたのですが、この本にかえってきて読むと本当に頭をぐるぐる回して書くんだよ、といわれている気がしてなりません。アイデアはピカッときそうなものなのだけど形にしようとすると逃げるんだよね。
この本はだからアイデアハンターになるための本といえるでしょうね。だいたいにおいて、思いついてからどう書いたか、頭を回したまわし方からどういう文になったかできあがった作品の引用までしてあるので、これから先は本を読んでどうかというより、書く人によりけりだろう。
中島敦の「文字禍」を随分昔に読んだことがあります。本のなかの「中島敦を知っていますか」という章を読んで急に生々しくその作品を思い出して、意外な気持ちもしました。たくさん読んで面白いと思ったが、忘れてしまう作品と何が違うのだろう。それとも、別の誰かが、○○を知っていますか、という
文を書いて、それを読んだらその○○氏の作品を思い出すだろうか?