紙の本
物理学の女性研究者によって、しっかり分析された内容です。
2023/01/13 13:57
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:広島の中日ファン - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本では数少ない物理学専門の女性研究者の著者が、日本で理系分野、特に数学、物理学を専門的に学ぶ女性が極端に少ない実態とその理由について、分析した1冊です。
著者自身の手で、国内外で様々な分析をしっかりと行ったうえで、分析結果・結論を述べている点が素晴らしいです。
理系女子へのイメージを変えるためにも、ぜひ多くの方々に読んでいただきたい1冊です。
紙の本
データに基づいて分かりやすい
2023/03/31 12:07
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:カレイの煮付 - この投稿者のレビュー一覧を見る
今迄、社会的に、この本の題名のような研究を、データに基づいて行った研究者は見当たらなかったと思う。論理的に、分かりやすく、書かれていて、理解が深まる。
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本書は、科学者らしく、きちんとデータで語ってあり、いちいちうなずけるところは多い。だが、バリバリの科学者だけが集まって議論・分析したとしても、どこまで世の中に刺さるだろうか。そもそもこの問題に関心のない母親が、我が国ではマスを占めているという肌感覚が、ワレワレ非科学コミュニティには、ある。ステレオタイプは抜き難い。あの小保方氏も、いっときヒーロー扱いされていたとしたときでさえ、変なジェンダーバイアスに囚われていたようではないか。
ふつうの人のSNSで話題となるくらいの、アインシュタインのような宣伝塔となりえる、日本人女性科学者の登場を、待つ。あるいは、落合陽一や、はたまた、ホリエモン的ポジションでもよい。
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大学・大学院など高等教育機関の理系分野の女性学生の割合はOECD諸国で日本が最下位というように、日本において理系に女性が少ない理由をデータに基づき分析し、その社会的な背景を明らかにする。
ジェンダー平等の問題は感覚的な議論になりやすいが、データに基づき緻密に分析されており、理系分野のジェンダーギャップ解消に向けて示唆に富んでいる。
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大学・大学院など高等教育機関における理系分野の女性学生の割合は、OECD諸国で日本が最下位。女子生徒の理科・数学の成績は世界でもトップクラスなのに、なぜ理系を選択しないのか。そこには本人の意志以外の、何かほかの要因が働いているのではないか――緻密なデータ分析から明らかになったのは、「男女平等意識」の低さや「女性は知的でないほうがいい」という社会風土が「見えない壁」となって、女性の理系選択を阻んでいるという現実だった。日本の男女格差の一側面を浮彫りにして一石を投じる、注目の研究報告。
序章 「理系女性問題」とは何か
第1章 理系女性の割合はOECD内で最下位
第2章 「数学・物理学に求められる能力」のイメージとは
第3章 男女差は生まれながらか環境要因か
第4章 学問分野にはジェンダーイメージがあった
第5章 学問分野から連想されるキーワード
第6章 中学生で物理が嫌いになる?
第7章 ジェンダー平等意識と理系進学の関係
第8章 親のバイアスはどう影響するか
第9章 数学・物理学の男性イメージはどう作られる?
第10章 壁を取り払ってくれるのはどんな情報?
終章 残された謎と課題
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割と正論で、一般論としてはいわれていたことをデータに基づいてやるとこうなる、というのが新しいところ。
かわいい女の子をやっても残念ながらあとあと守ってくれる人がいるわけでなし。
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東京工業大学は2024年の入試から総合型・学校推薦型選抜で「女子枠」を導入することになりました。そうした対策を取らないと理系大学の女子比率がなかなか上がらないのだと思います。そして、そうでもしないとイノベーションのベースである多様性を確保することに繋がらないこと、もっと生々しく考えると大学の国際ランキングがどんどん低下していくこと、へのアクションを取ったのでしょう。2018年に起こった東京医科大学での女性差別の不正入試事件の真逆のニュースです。この5年で激しくジェンダーの問題は社会の真ん中に来ていると感じますし、また一方、社会の「無意識のバイアス」は恐ろしいほど消えていない、ということも感じます。この問題を「サイエンス・オブ・サイエンスコミュニケーション」という切り口でわかりやすく解説してくれる時宜を得た新書です。この問題をどう分解してデータを取っていくか、そのデータをどう解釈していくか、まさに「なぜ理系に女性が少ないのか」の科学、なのです。この問題の難しさが、簡単に理解できます。先ずは、本書のような本が生まれることが、理系教育の成果なのではないか?と思いました。問題を顕在化したこと、問題の難しさを明らかにしたこと、この成果は引き続き積み重ねていくことが必要だと思いました。東工大の入試改革も注視です。
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中学生の頃、理科の定期テストでクラスのトップの成績を取ったことがあった。その時に先生は言った。「女の子でも、これくらいの点数が取れるのに(男子は何をやっているんだ)」
高校生の頃、今で言う物理基礎の定期テストで満点を取ったことがあった。その時は男子も満点の子がいたが、他の男子からチラチラと私の方を見ながら、ひそひそと何か言われていたのを覚えている。
結局私は文系に進み、それを後悔したことは、あまりないが、そのまま理系に進んでいたら、どうなっていたかな、と思うことはある。
中学の頃の先生の発言は今ではアウトだと思うが、社会風土のようなもの、みんなが思っているだろうと人が想像することは、あまり変わらないのではないかと思う。
私が中学生の頃に人気があったアイドルグループは女性に求めるものとして、はっきりと「男を立てる女」と言っていた。結婚するときにも家庭円満にするには「女性がうまく男性を動かすようにすればいい」、育児の時も協力させるように「夫を育てる」。
女性は対等なパートナーである、苦楽を共にするという意識があれば、上記のような言葉は出ないんじゃないかな、と思う。男性が家族を養って当たり前という意識もおかしい。
女性が理系に進まない理由に中学生の理科離れが原因としてあるようだと、本書に紹介されたデータが示している。本書ではたくさんのデータが提示されており、非常に興味深い。データを解き明かすことはまだ先になりそうではあるが、女性だから理科が出来ない、ということはないのだから、理科が好きな女性は、その好きだという気持ちと学び続けたいという気持ちを他の何物にも邪魔されずに突き進む道筋がもっともっと示されてもいいと思う。
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「理工系分野(とくに数学・物理学)に進学するか否かは、本人の意思で決めることです。(213頁)」至極あまり前だと思っていたことは、小中高の過程でジェンダーステレオタイプと数学ステレオタイプにより、結果が誘導されていたとしたら…親族に理工系学部出身者がいる、学校で理系科目を女性教員に教わったといったロールモデルの存在だけでも、傾向が変わるようでした。適切な情報提供はじめ大人の影響力は正しい方向に向かう必要を感じました。
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ジェンダー平等の意識の涵養と理系に関するジェンダーイメージの是正が結論か。
定量的な分析が主なので、概説は言えても、掘り下げが弱い印象。
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この作者ダメな奴だなーと思う。
女性に理系が少ないのは何故?どうやったら増やせる?がテーマのはずだが、如何にしたら数学の高等教育を受けた優秀な女性を日本で作るか、に焦点が当てられている。
はっきり書こう。みんなアンタみたいに頭良くないんだよ。
高校で理系を選択する女子をどうやったら増やせるかなら、底辺高校でも同様にするにはどうしたらいいかを先ず考えるべきでは。
それには底辺レベルに通じるイメージ戦略が不可欠なんだけど。
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最後の方に「ジェンダー平等パラドクス」(ジェンダーギャッップ指数上位の方が理系女子が少ない)があるけど、「よくわからんし日本には独特の問題があるからして」っていうことでした。
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「先日読んだ『ジェンダーと脳』に通ずるところがあるなあ」と思いながら読みました。
結局のところ、タイトルである「なぜ理系に女性が少ないのか」に対する明確な答えは書かれていないのですが、その可能性がある要素については、いろいろと書かれていました。
たとえば、「理系=男子」「数学=男子」のような思い込みや、そういった思い込みの結果として生じていると思われる「女性が理系に進むと不利になる」という社会的な風潮が、女性に理系を選ばせる障壁になっている可能性がある、と。
個人的には、優秀な理系の女性は周りにいますし、うちの長女は理学部物理学科に進学したこともあり、「女性だから理系に向いていない」とか「女性が理系に進むと不利」いう考えはないのですが、世間にはまだまだよくわからない思い込みがはびこっている、ということかと思います。
しかも、内実をよく知らないまま、各理系学部に対して勝手なイメージを持っているケースも多いようですね。
令和になっても昭和な考え方がまだまだ残っていたり、知らないことを知ったかぶりしたりしている人が多い、ということですね。
他山の石として、自分自身も気を付けたいと思います。
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著者はスーパーカミオカンデを用いた素粒子物理実験にも携わっていたリケジョ。理系に何故女性が少ないのか。確かに文系学部に比べて、女性の在籍は少ない。仮説として、①嗜好②能力③社会制度④文化、が考えられるだろうと、ボンヤリ読み始める。中でも、脳構造の違いから女性は言語領域に強いからとか、文化的には、昼夜研究するような現場では女性が活躍し難いからとか、そんな事を想像する。 その謎解きが研究論文のように展開される。
OECD加盟国中、高等教育機関の理系女性学生の割合は、日本は最下位。PISAのテスト結果、日本は男女ともに数学ではトップクラス。女子の成績が悪いわけではない。能力、というわけでは無さそうだ。
複数の私立大学の医学部入試で長い間女子の点数が減点されていた。東京の都立高校普通科では、男女で定員が別に設けられ女子の合格基準点の方が高くなると言うこともあった。社会制度の影響は、確かにあった。また、こうした制度の背後には、女性への偏見や社会的役割への押し付けがあった。
更にデータは、天賦の才能のイメージが強いと思われる分野であればあるほど博士号を持つ女性の割合が低くなるを示す。また、機械工学は男性のものというジェンダーバイアス。油まみれ、溶接というキーワードとセットで考えられる。女性の側から避けている一面も無くはない。
複合的な理由だ。しかし、他国と比べて日本の女性がどうかと考えると、やはり文化や制度の問題が大きいのだろう。社会は女性労働に頼り、そこから税収を期待したいという事情もある。何がベストかを考え、変容していかねばならないが、肝心なのは、女性自身がどう考えるか。出産も労働も税収も、更には研究もとなれば、やはり期待過剰で重過ぎる。
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https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344986763/