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なるほどー。イスラム圏で赤十字の旗を掲げないほうがいい理由が分かった。質も大事だけどやっぱ量も大事ってことも。七生ちゃんやっぱいいよ七生ちゃん。よーし、次はレパントの海戦だー。
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塩野氏の本はこれまでもいくつか読んでますが、ごく簡単に言ってしまうと「詳しい割に読みやすくて面白い」という評に尽きると思います。
史実やディテールを詳しく描写することで、ともすると難しい話になって拒否反応を起こす可能性もある中、塩野氏はちょうどいいバランスで「説明のための」記述を終え、次の舞台へと進めてくれます。各所に散りばめられた知識を拾い集めて読み進めていくうちに、いつの間にか全体的な知識と世界観が読み手の頭の中に作られている文章の運び方はまさに職人芸、といったところ。
作品の舞台は16世紀初頭、地中海に浮かぶロードス島。イスラム教勢力がキリスト教勢力を脅かし、西欧世界に侵略の手を伸ばそうとしていた時代、イスラム勢力にとっては「キリストの蛇」、キリスト勢力にとっては「最前線の砦」としてロードス島に立ちはだかっていた「聖ヨハネ病院騎士団」を主軸に置いた物語です。とは言っても、対立軸であるイスラム側のオスマン・トルコ帝国を単純に「悪」とすることはなく、冷静かつ中立的な視点から、むしろ帝国の専制君主であるスルタン・スレイマン一世を威風堂々とした尊敬すべき人物として描いていることに好感が持てます。
具体的なストーリーについて語れるほどの筆力がないので粗筋については触れませんが、恐らく世界史の教科書にさえ黙殺されかねない「騎士団」とはどんな構成員から成る集団であり、どのように生計を立て、どのような存在意義のもとで生きていったのかについて、小説を楽しみながらも知ることができます。
娯楽と教養を無理なく両立できる良書です。
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コンスタンティノープルが陥落し、トルコ帝国がその手を地中海に伸ばす中で、要となるロードス島を攻略するために始まる篭城戦。トルコ軍に対するは聖ヨハネ騎士団。5ヶ月に渡る攻防の上に迎える結末とは?
前作に続き、多くの人物から1つの時期を見つめる物語形式は秀逸。歴史は物語形式、というのも納得。
前作に続き、国の興亡・戦う人の想い・人の一生というものを考えさせられる物語でした。
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「16世紀地中海世界をたゆたう船―歴史的記述と小説の幸福な融合体 」
コンスタンティノープルの陥落から一世紀を経た1552年夏。東地中海のトルコ領内でキリスト教徒の最後の砦、ロードス島を守るべく聖ヨハネ騎士団は、若きスルタン、スレイマン率いるトルコの大軍と激しい戦闘の刃を交える。砲弾の響く城壁内には、青春の日々をここに騎士として送った高貴な血を持つ若者たちがいた。
「キリストの蛇たちの巣」と呼ばれオスマントルコにとって喉元にひっかかった骨のような存在であったロードス島の「聖ヨハネ騎士団」は、9世紀中頃の十字軍時代アマルフィの商人によって設立された宗教団体がその始まりでした。その目的は、イスラム教徒をはじめとする異教徒排除と異教徒に繋がれたキリスト教徒の解放と救援が主なものであったそうです。今でいうなら、キリスト教徒のための警察隊と救急隊の合体組織のようなものですね。
メンバーにはイタリアやフランス、イギリスといった西欧のいわゆる「青い血」を持つとされた貴族の子弟が選ばれ、その運営には彼らの出身である家の豊富な財力からの寄付や不動産の寄進などが当てられていました。彼らには「キリストへの帰依」という大義のもとに「清貧・服従・貞潔」であることが強いられ、騎士団長を頂点とする一大組織としてロードス島に存在していたのです。
古代から様々な歴史の波に洗われながらも、温暖で緑豊かな島には色とりどりの花が地中海の微風に揺らめく…。バカンスで出かけたならさぞや素晴らしい時間が約束されるかに思えるこの小さなロードス島を舞台に、苛酷で熾烈なオスマントルコを擁するイスラム教世界VS聖ヨハネ騎士団の背景たるキリスト教世界の激突が、著者独特の凛々しい文体で繰り広げられていきます。
塩野さんの作品は例えば、男性作家で言うなら司馬遼太郎の描くような、歴史的記述と小説の幸福な融合体とでも言ったらよいでしょうか。両軍の陣容や城塞、城壁のつくりなど、あたかもこの攻防戦に参加してきたかと思わせるリアルに再現される世界と、そこに宝石のようにはめ込まれた聖ヨハネ騎士団の若き騎士たちの淡くも甘い物語が光を放っています。
「ロードス島攻防記」はいうなれば16世紀地中海世界をたゆたう船です。読者をのせて歴史の一大スペクタクルに立ち合わせ、現実のバカンスに劣らぬ、その世界に浸る幸せを間違いなく約束してくれます。
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いゃーー
おもしろかった
「歴史は、まず何よりも物語でなければならない」と言っているけど、これって物語だよね、こんな細かい具体的な表現
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一応、一人の若いヨハネ騎士団員が主人公の小説仕立てなのだが、いつもの説明口調の歴史書とあまり変わらない・・・
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聖ヨハネ騎士団(マルタ騎士団)を知りたくて。
約250ページあっという間!史実を中心に読み進めていたので、アントニオとオルシーニのまさかの展開にはびっくり。笑
面白かったです。塩野さんはやはりすごいんだなあ…
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歴史に興味があるわけではなく、聞いたこともない島での戦いを綴ったこの小説は、家に読むものがなくて渋々読み始めた。
やっぱり読み始めは、外国の慣れない単語、宗教、歴史、地理などと興味が湧かず頭に入っていかないのだが、途中からだんだんとパズルが繋がっていき、面白くなってどんどん読み進めた。
1500〜1530年のどこの国というわけではない、ロードス島という特殊な背景にある島で起こったひとコマの物語。あらすじを読んだだけでは絶対に読みたいと思えない小説が、ドラマチックに描かれ、エンターテイメントであるのと同時に観光、地理、歴史書の類いでもあると言っていい。
何より、著者の状況説明や背景の描写が素晴らしく、読者だけ置いてけぼりにならない。歴史をよく理解していないとできない所業だろう。
とにかくお勧めしたい本。ロードス島へ行ってみたくなるだけではなく、ヨーロッパの歴史や宗教を面白く理解するのに適した一冊。
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「ロードス島攻防記」
塩野七生の「コンスタンティノープルの陥落」「ロードス島攻防記」「レパントの海戦」三部作の一つ。
強大なオスマントルコに対してロードス島で防衛する聖ヨハネ騎士団の奮戦を描いた作品である。超大国のイスラム勢力に対抗するキリスト教徒の聖ヨハネ騎士団は、イスラム側から見れば低開発国の海賊にしかすぎないように見える。
物語はイタリア、フランスの二人の騎士とベネチアの築城技師を中心に描かれるが、書き方は「ローマ人の物語」に近く歴史奇譚調である。
10万の大軍を率いて攻めてくるオスマントルコに対し騎士団側は600名ばかり。もちろん島の住民の協力はあるものの圧倒的な多勢に無勢。
オスマントルコ側は大砲による大量の砲撃と地下を掘り進んで城壁下を発破する方法で攻撃してくる。対する騎士団側は砲撃対応の築城技術、火炎放射や手榴弾、地下を掘り進む振動を感知する方法を編み出すなど、果敢に応戦するが圧倒的な兵力の前に最後には名誉ある撤退することになる。
オスマントルコ側も兵力の半分を消耗し、それでも勝利したのは大帝スレイマン一世の強い意志によると評価している。騎士団側も奮闘したが最後は住民の戦意が失われ協力が得られなくなり、最後は降伏に応じざるを得なかった。
エピローグでロードス島を去った騎士団はマルタ島に本拠地を移し、40年後にオスマントルコのマルタ攻防でトルコ側を撃退して一矢報いたことを書いている。
読んでいて思い至るのは第2次大戦時の硫黄島での攻防である。玉砕するしか道が残っていなかったのだろうか。考えさせられる。
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3大騎士団のひとつ、聖ヨハネ騎士団の興亡を、ロードス島をめぐるオスマン帝国との戦いをメインに描く。
歴史とはこうも今日への示唆に富むものなのかと驚かされるのは、著者の書く腕の良さゆえだろう。
ロードス島の戦いの主役となるのは騎士団側、オスマン帝国側もそれぞれ20代の若者、いわばカデット(士官候補生)だった。そういった若者たちの活躍や心情といったミクロな視点から、勢力の興亡といった歴史のマクロの視点まで盛り込んでどちらも書ききっているのには驚かされる。
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イスラム世界に対してキリスト教世界の最前線に位置するロードス島。コンスタンティノープルを陥落させ、巨大な帝国を形成しつつ西進を目指すオスマン・トルコにとっては、この島は喉元のトゲのような存在だった。1522年、大帝スレイマン一世はついに自ら陣頭指揮を取ってロードス島攻略戦を開始した――。島を守る聖ヨハネ騎士団との五ヶ月にわたる壮烈な攻防を描く
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『コンスタンティノープルの陥落』に続くキリスト教世界VSイスラム教世界の対決第二ラウンドです。
コンスタンティノープルを攻略した後、巨大な帝国へとその勢力の拡大していたオスマン・トルコにとって、ロードス島は喉元のトゲのような存在でした。時の大帝スレイマン一世はついに自ら陣頭指揮を取ってロードス島攻略を開始します。攻めるオスマントルコ軍は二十万、一方でロードス島の守備隊・聖ヨハネ騎士団はわずか六百人。初めから勝負は決まっていましたが、ヨハネ騎士団は五ヶ月にわたり砦を守り抜きます。
ペルシャとスパルタの「テルモピュライの戦い」や日本でいえば楠木正成の「千早城の戦い」と同じで数の戦力差は信用できませんが、圧倒的に不利な戦いに挑みゆく騎士道精神と宗教的使命感に感銘を受けます。
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聖ヨハネ騎士団がロードス島防衛に敗北し、若きイスラムの長スレイマンに開城する、歴史的分岐点の物語です。
イスラム世界は異教徒に対して寛容であり、征服者として優れていたと思われます。
ロードス島征服においても、騎士や住民に対して蛮行は少なく、紳士的な交渉によって解決へ向かいます。
極めて洗練された外交(戦争も含む)は無駄がなく、更には双方に人間的な余裕を与え、望ましい結果へ導きます。
当事者だけでなく、後世の我々も心地よく感じることのできる一冊。
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三部作の中で一番好きな本。
男性女性問わず、彼女の描く男たちの背中を思い浮かべては「男」というものの理想像を自分の中で作り上げている人は多いのではないでしょうか。
今回のこの作品で描かれている男たちは、
高貴であり、高潔かつ矜持をもったGentlemanが描かれていると思います。
特に、敗戦後の彼らの態度や姿勢は、敗戦を経験した国である日本の男たちもおおいに見習うべき「男らしさ」を感じました。
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今までピンと来なかった「宗教騎士団」の成り立ちや輪郭が分かりやすく描かれていて嬉しい。攻防戦の部分は巻末の市街図を参照しつつ読んだら臨場感たっぷりでハラハラ。若い騎士たちのキャラクターも魅力的で、一気に読んでしまった。