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塩野七生ハグしたい。私は初読みで虜になったけれど今回もまた虜になった。決して難解でく挑戦的で高いところから下々に講義するようなものでもなく、歴史的資料を正しく糧にして、それでいて歴史資料ばかりに偏った退屈なものでなく、読みだして直ぐ誰もがきっと、遍く捉えれてしまう小説の世界へ。それに世界のどこにつくこともない魂はニュートラルで誰にでも公平、しかも説教も教訓めいたことも語らない。押しつけがましくない世界観で構築されている。歴史であると同時に何とも魅力的な男性たちの物語も織りこまれていて、ノックアウトもの。
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おもしろかったけど、コンスタンティノープルの方が好き。というか、史実にせよ、ラストが甘くて締まらない。なんで海賊の砦壊すだけでそんなに相手をケアしなきゃならんのか。
相変わらず西洋とアジアのスタイルの対比がいい。
スレイマンはさすが立法者という感じ。甘いけどそこがいい。というか相手ただの海賊なのにそんな丁寧に扱うなんて、スターのくせにほんとボンボン感ある。
カトリック側は見事な内輪もめでろくな体制を取らず、現場のみなさんは頑張ったにせよそのまま負ける。てかほんとスレイマンがいいやつすぎて、恐怖キャラのメフメトIIとの対談が聞きたくなるレベル。
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8/14
時代の変化を描く
十六世紀前半のオスマン・トルコ帝国の興隆と東地中海キリスト世界の対立。帝国の伸長と領土型貴族の対立。大砲・地雷という攻城兵器と築城技術の対立。
十字軍征服後のエルサレムでの防衛・医療活動〜ロードス島での海賊・医療活動〜マルタ島での海賊・医療活動〜現在の赤十字に至るまでの聖ヨハネ騎士団の変遷を描く
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『コンスタンティノープルの陥落』につづき『レパントの海戦』へとつながる三部作の第二弾です。
ビザンチン帝国がオスマン・トルコに敗北したのち、ロードス島に拠点を置く聖ヨハネ騎士団がトルコのスルタンであるスレイマン一世の猛攻に対してどのように戦い、どのような結末を迎えたのかということを、ラ・ヴァレッテ、オルシーニ、アントニオといった若き騎士たちや、ヴェネツィア共和国からロードス島へわたり砦の強化に尽力した築城技師マルティネンゴといった登場人物の眼を通してえがいています。
同時に著者は、前著であつかった1453年のコンスタンティノープル攻防戦を参照しつつ、「1522年のロードス島攻防戦は、……七十年前に起こったことから生じた影響を、全面的に受けるかたちで行われる、最初の戦争になるのである」と述べており、ヨーロッパの戦史におけるロードス島攻防戦の意味を俯瞰的な視座からもとらえようとしています。
前著が比較的「小説」らしい語り口をのこしていたのに対して、今作はもうすこし「歴史読み物」といったような印象が強く感じられる作風だったように思います。
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解説:粕谷一希
薔薇の花咲く古の島◆聖ヨハネ騎士団の歴史◆「キリストの蛇たちの巣」◆開戦前夜◆1522年・夏◆1522年・冬◆エピローグ
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高校で世界史を選択しなかった自分としてはキリスト教世界のヨーロッパ史もさっぱりだし、ましてやイスラム圏をや。
この2つが交錯する時代の話はだから新鮮。
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イスラム世界に対してキリスト教世界の最前線に位置するロードス島。コンスタンティノープルを陥落させ、巨大な帝国を形成しつつ西進を目指すオスマン・トルコにとっては、この島は喉元のトゲのような存在だった。1522年、大帝スレイマン1世はついに自ら陣頭指揮を取ってロードス島攻略戦を開始した―。島を守る聖ヨハネ騎士団との5ヶ月にわたる壮烈な攻防を描く歴史絵巻第2弾。
闘いが始まる前にロードス島に着任したイタリア騎士のアントニオと、
ヴェネツィア共和国が密かに送り込んだ城塞築城技師のマルティネンゴ。
この二人を登場させたことで、圧倒的防御にまわったロードス島攻防記の、
騎士たちの戦闘による活躍と、市民たちまでもが協力にまわった要塞防御の二面を、
分かりやすく物語にしている。
時のトルコのスルタンはスレイマン大帝。
トルコという国としても、国力充実していた時期であるし、
スレイマン大帝という非常に有能な人物のおかげで、ますます威力に拍車がかかる。
もしもスレイマン大帝でなかったら、非常に徹底した封鎖作戦と物流作戦、
および聖ヨハネ騎士団敗北後の住民および騎士たちの無事な撤退はありえなかっただろうと思える。
この戦争を通して騎士の中の騎士と呼べるのはスレイマン大帝である。
そして、ロードス島を撤退した後の騎士団の後日談があるのがよかった。
スペイン王カルロスの思惑もあり本拠地をマルタ島に移す騎士団。
マルタには行かず修道僧としての生き方を選んだアントニオ。
怪我のために自らはヴェネツィアに戻り、弟子をマルタに派遣したマルティエンゴ。
マルタ島で何もかも一から築き上げた聖ヨハネ騎士団は、
ナポレオンに追放されるまで、北アフリカを戦場にマルタを守りきる。
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コンスタンチノープルの陥落に続いて、今度はスレイマン1世、ロードス島の攻防。オスマン帝国の最盛期に、大軍の包囲に4か月耐えたヨハネ騎士団の物語。
戦闘そのもの以上に背景や戦いの準備が丁寧に描かれている。
ヨハネ騎士団がマルタ騎士団になって、さらに現代にも残っていることに驚き。「マルタの鷹」もここから来たのか。
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聖ヨハネ騎士団によるトルコ帝国からロードス島を守る戦いを描いた作品。
1522年に行われた戦いを主に騎士団側から描いている。
コンスタンティノープルの陥落と同様に複数人の視点で描かれているが、登場人物が少ないからか本作は読みやすい。
史実なのでネタバレしても構わない気もするけど、本作品も他の作品と同様に物語性が強いので避けますが、
・ロードス島は歴史が古く、気候が良く、バラの花が咲く島
・聖ヨハネ騎士団は今も続いている
・ほんの少しだけキリスト教的な奇跡の話が盛り込まれている
十字軍の物語を読んだ人におすすめです。
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「キリストの蛇の巣」をオスマン帝国が攻める話。騎士団と言うより日本で言う村上海賊みたいなものだったのかというものであったのかと思いました。
しかしこの騎士団が現在でも「国家」として存在しているのには衝撃を受けました。
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めちゃ面白い。騎士団もスレイマン1世も、
まさに"ジェントルマン"!
私はロードス島に行ったことがあるので、
話の中の砦とか場所にも馴染みがあり、
すごく楽しめた。
ロードス島行く方には、ぜひ読んでほしい。
マルタ共和国も行きたいなぁ。
スレイマン1世の話も読みたくなった!
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Wikiによると、
1522年のロドス包囲戦(ロドスほういせん、英語:Siege of Rhodes イタリア語:Assedio di Rodi トルコ語:Rodos'un Fethi)は、オスマン帝国が聖ヨハネ騎士団をロドス島から完全に駆逐した戦い。この結果オスマン帝国は東地中海での覇権を確立し、聖ヨハネ騎士団はシチリア島に撤退、後にマルタ島へ移ってオスマン帝国に抵抗し続けた。
中世のほぼ最後の騎士による戦いといったところだろうか。
キリストvsイスラムという構図の中で、ヨーロッパ各国からの支援が全く期待できず、まさに孤軍奮闘する様は騎士道の最後にふさわしい。
ローマ人の物語のように長編ではなく、文庫本1冊に収まる分量なので流れは良いけれど、もう少し重厚感が欲しかったところではある。
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中世で数限りなく起こったキリスト教勢力とイスラム教勢力の戦いの一つの解説だが、一部、塩野先生好みの歴史小説めいた部分もある。
戦いの解説とはいえ、実際に放火が交えられるのは半分を超えた後であり、それまでは歴史状況の説明や防衛側の防衛強化の方策などの説明が入る。
また、この時期に登場した大砲により、それまでは城塞の防御力の象徴であった城壁の高さが却って攻撃側のメリットに転じるあたりはわかりやすく、例えば我が国の大坂の陣での天守閣への大砲直撃のエピソードなどを想起させられた。
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塩野七生氏 海戦三部作の第二
ベネチアの高い技術力 造船・築城
国家経営もそうだが。高い知力が不可欠
教育・人材育成システムは?
ロードス島の城壁を強化
トルコ スレイマンの勝利
騎士の時代の終わりの始まり
塩野七生氏の歴史観
歴史は物語である
近代歴史は科学であろうとして痩せていった
ベネチアの歴史の教訓は現代日本へのもの
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2010.12.4、調布図書館から借りて読んだ。
初めてのクルーズ旅行でロードス島に行くため。歴史的背景などを知りたかった。
聖ヨハネ騎士団対オスマン・トルコの攻防が面白かった。特にイスラム圏であるオスマン・トルコのことは何も知らないため勉強になった。