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作者もだが、登場人物の名前が難しすぎる。最近北欧のミステリにはまっているが、どれも同じく名前が難しすぎる。
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アイスランドを舞台にした小説にある閉塞感やどことなく感じる暗さがこの作品にも漂っている。灯台で見つかった不審死から始まる警察小説。地元に戻ってきたエルマ。そこにある濃密な人間関係によって事件が見えにくくなっていて捜査もなかなか進まない。過去の挿話が短く挟まれながら展開し、現在とどう繋がっていくのか。事件の真相ときっかけとなった出来事。北欧小説の面白さが詰まっている。シリーズは続いていくらしいのでぜひ2作目も刊行してもらいたい。
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アイスランドミステリーの新星によるデビュー作品。首都レイキャヴィークから遠く離れた小さな港町・アークラネスが舞台のローカルミステリーで、事件の規模感といい捜査の地道さといい、アーナルデュル・インドリダソンの系譜を強く感じた。事件の真相や終盤の展開にもう一工夫欲しかったが、CWA新人賞受賞作だけあって、割と読み応えはある。何より、こういう暗くて地味(誉め言葉)な北欧ミステリーは年々希少価値が高くなるので、シリーズ二作目、三作目も続けて邦訳して欲しいところ。ところで、被害者がパイロットである設定は必要だった?
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アイスランドが舞台のミステリー。北欧独特の暗く閉ざされた雰囲気が小さな漁村の閉鎖的な人間関係を表している。内容や人物描写にもう少し捻りがあっても、とは思ったが訳者が上手いのでスラスラ読めた。次作も読みたい。
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アイスランド発ミステリが翻訳されるのは実は奇跡的なことである。アイスランドと言えば、ラグナル・ヨナソンがここのところ沢山邦訳されてきたことで注目される。新たな北欧ミステリーの産出国としてその活躍が目立ち始めた国である。
アイスランド国民は36万人しかいないので、アイスランド語での小説では食ってゆけないそうである、それゆえ、英国のミステリー賞を獲得することで英語に翻訳されるところから小説家としてのスタートを切れることになる。世界への拡散のスタート地点に立つことが何よりも肝心なのだ。おそらく突破すべきは狭き門だと想像される。
だからこそ日本語にまで翻訳され、そうした紆余曲折をクリアしてまでも、手元に届いれくるアイスランド産ミステリーというのは、相当の価値が見込まれる作品と言える。
繰り返すがアイスランドの人口は多く見積もっても36万。ぼくの住む北海道で言えば札幌市の人口が195万人。北海道第二の都市である旭川はぎりぎり34万と言えば、アイスランドの過疎度はご理解頂けるかと思う。アイスランドは、フィヨルドの多い海岸沿いに一周することができるようだが、中央山岳部には人が住むことができないようだ。ラグナル・ヨナソン作品ではここを舞台に因縁の物語が語られているが、作中では嫌というほど暴風雪の恐ろしさを感じさせてくれる。
その代わり、緯度がアラスカ並みなので、本作中ではオーロラが何と言うこともなく観られたりするところは何とも羨ましい。ちなみにぼくはカナダ、ホワイトホース(アラスカと同じ緯度)でオーロラをたっぷり観てきたのでその緯度の大自然度は体感しているけれど。但し春先だったので、小説の登場人物たちに言わせればまだまだ甘いと言われかねない。
さて本作の舞台はレイキャヴィークから車で北に45分の距離にあるアークラネスという海辺の街。事件などはめったに起こることがないが、珍しいことに灯台の足元の海岸に不審死を遂げた美女の遺体が発見されたことから、昔この地で生き、海難事故をきっかけにバラバラになってしまった漁師一家の記憶が蘇る。村に帰ってきた美女、と古い記憶。
この作品のヒロインであるエルマもまたレイキャヴィークから里帰りした一人である。彼女は、過去の記憶を発掘しながらこの事件の捜査に取り組もうと他の二人のスタッフとともに足掻く。この街に君臨する権力者ファミリーの過去に届こうとすると、複雑な人間関係図が過去から浮かび上がってくる。
階段の軋みを聴きながら身を震わせる少女という冒頭のシーンが、作品全体に影を落とす。北欧ミステリーらしい美しき海辺の小村に展開する人間たちのドラマ。スピーディで読みやすく、圧倒される傑作ミステリー。三作までが既に書かれているという。次作の翻訳が待ちどおしい作家の登場である。
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寒いっ アイスランドの閉塞感が漂う小さな港町。故郷に戻ってきた女性刑事がひた向きに奔走する #軋み
■あらすじ
幼年期から過ごした地元を出て別の街で勤務していた女性刑事だったが、とあるきっかけで故郷に戻った。地元警察で職を得たが、間もなく殺人事件が発生。小さな街の観光地である灯台で女性の死体が発見される。
アイスランドの小さな村落の発生した事件を女性刑事は解決できるのか…
■きっと読みたくなるレビュー
アイスランドの小さな海辺の田舎町、寒く、寂しい舞台。
さらに犯罪の陰がずっと背景に見え隠れし、これも冷たい雰囲気をかもし出す。
寒っ! 冬は嫌いなんですよね。寒い寒い寒い。
とはいえ、小説は寒くないですよ。なかなか面白いです!
海外の警察小説といえば、やたら骨太な刑事が出てきて、凶悪な犯人による猟奇的殺人が発生する。主人公の刑事は警察内部と喧嘩しつつも、他の刑事にない圧倒的な強みを発揮して解決に導いちゃうのがありがち。
しかし本作の主人公は特段強みもない普通の刑事。むしろ人並みの家族や友人、悩みをもつ女性。そんな彼女が小さな街の大きな事件に翻弄されていく。
彼女が様々なことを思い悩みながらも、実直に事件に向き合っていく姿がめっちゃ可愛いの! ぐっと手に汗を握って応援しちゃう。
また彼女の周りにいる人たちも愛情あふれる人が多くて素敵なんですよね。
ただし犯罪の内容については、良いも悪いも不快感が抜群。
真相が徐々に見えてくるにつれ、腹立たしい思いで怒りに手が震えました。
北欧ミステリーらしい、全編通して暗い世界観で綴られた作品ですが、登場人物たちは温かい人々の描写も多く、しっとりと読める内容でした。
■推しポイント
事件発生!大規模な捜査網で解決! という感じでは、全くありません。
数人の刑事が小さな街の人間関係を紐といて、少しずつ真相に近づいていく。過去の出来事の魅せ方も上手く、じわじわ進行していくプロットが素晴らしかったです。
アイスランドの新人作家さんの作品とのことで、こんな本を読めてありがたい。翻訳者と出版社に感謝。次回作もあるようですので、引き続き追っていきたいと思いました。
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アイスランドが舞台の小説、「湿地」に続いて2冊目。今回はレイキャビクとは海を介して向かい合っているアークラネスという小さな町が舞台。アークラネス出身の刑事エルマはレイキャビクで刑事をしていたが数年同棲していた恋人に突然去られ、故郷アークラネスに戻りそこでまた刑事の職についた。
町の燈台のふもとでエリーサベトという女性の死体が見つかる。エリーサベトもアークラネス出身だが夫と幼い子供二人、パイロットの職を得てレイキャビクで暮らしていた。いやな思い出があるというアークラネスにエリーサベトは何故戻ったのか。町中の皆が知り合いという土地で聞き込みを続けると、エリーサベトの悲しい幼少時代の出来事が現われてくる。人間に宿るマイナスの面、愛憎の形相ががじわじわとあぶり出される。
事件の鍵を握る人物が最後には二人出てくるのだが、ほんとうはどっちなの? 周辺の人物はその後どうなるんだろう、と余韻を残す終わり方。著者のアイスドッティルは1988年アークラネス生まれ、エリーサベトの生年も近く設定している。日本でも小さな町はたくさんあるが1憶人のなかの小さな町。方や35万人のなかの小さな町だよなあ、などと思う。北の果てで寒く暗いんだろう、とどうしても思ってしまう。やはりアイスランド、行ってみなければ・・
今回もグーグルで地図検索をしてアークラネスを見る。アイスランドは北海道くらいの大きさでそこに35万人が住む。2/3がレイキャビク周辺に住むというが。
今回のアイスドッティル、すぐ前に読んだヴィヴェカ・ステン どちらも女性。息子の妻にとって、義母はいかにやりずらい存在なのか、というところがとてもリアルに描かれている。これは経験したものの表現だなあと感じたが。
英語版を翻訳
2018発表 アイスランド
2022.12.11初版第1刷 図書館
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エヴァ・ビョルク・アイイスドッティルの刑事エルマシリーズ。アイスランドの作家さん。名前難しいなーと思ったら、アイスランドの苗字は男性は最後にソン、女性はドッティルがつくらしい。英語のsunとdaughterか。
想像どおり、北欧系の暗く冷たい雰囲気の小説。
レイキャビークの近くのアークラネスという街が舞台だが、人口も少なくほとんどが知り合い同士といった、閉鎖的な田舎の雰囲気が息苦しい。
正直、星3よりの星4。というのも、事件自体は勝手に解決するから笑
エルマたちの操作はなんだったのか。。。というほどに、過去の出来事の一部を明らかにしただけ。
全容は読者にしか明かされない(それすらも不透明なところあり)。結末もモヤモヤする。
アイスランドの雰囲気を感じる小説かなぁと。名前以外はものすごく読みやすかったし。
ただ最後の最後に明かされる事実は驚いた。そういうこと!?ていう感じ。
次作もあるらしく、翻訳されることに期待。
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アイスランドの新人作品。
どこかで読んだ感があるのは残念。
閉塞感漂う小さな街での殺人事件、学校時代の友達同士の中から犯行解明の意図がほぐれて行く。
独特の雰囲気があった少女、灯台、そして何とも言えない冷機漂う情景。
30年近く前の時間と現在が交互に語られその隙間を埋めるかのようなエピソードがじわじわ明るみに出てくる。
女性刑事も何らかの心の傷を持つ身、重奏低音のようにその心の痛みが事件の昏さと共鳴して行く。
絶望的な恐怖とみじめさをたたえた写真の少女の表情・・建物の作りのきしむ音が響いてくるような作品だ。
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あらすじ
主人公エルマは恋人との別れをきっかけに故郷アークラネスに戻り、警察の職を続ける。灯台付近で女性の死体が見つかる。被害者エリーサベトは幼い頃アークラネスに住んでいた。母親が酒浸りで辛い幼少期を送っていたのに、なぜ戻ったのかが分からない。
地元名士の息子の妻マグネアのもとへエリーサベトは訪ねてきていた。さらに、彼女が幼い頃の友人サラは、幼いまま行方不明になっていて、名士夫妻の子供だった。
面白かったー。作者の初の長編。ちなみに作者は客室乗務員として働きながら、書き続けているそうだ。アイスランドの静かな雰囲気、さらに田舎町で、全員が顔見知りだったり、家族を知っている関係の中で起こる事件。捜査が難しそうだけど、捜査しているエルマも内面でいろいろ葛藤しながら表面はあまり感情的にならずに仕事していそう。
本国では他にも作品が発表されているようなので、ぜひ出版してほしい。