トマス・ヤングを過大評価している感じがする
2023/02/03 12:40
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オタク。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
言っちゃ悪いが、この本はトマス・ヤングをシャンポリオンと匹敵するような「天才」だと評価しているような感じがしてならない。ヤングは色々な事柄に関心を持って、それなりには業績があるから、思いつきであれこれ主張する類とは違うとしても、過大評価ではないか。参考文献目録にあるポープの本がヤングを冷ややかに評価しているのは当然なところだろう。逆に言えば何故、ヤングをシャンポリオン並みの「天才」だと評価する風潮が少なくとも英語圏にあるのかが気になるところだ。
ポープの本とこの本ではコプト語の写本についての情報が違う。この本には「ヤングとシャンポリオンが活躍する時代」とあるから19世紀初頭に「西洋に存在するコプト語の手稿は片手に数えるほどしかなかった」はないだろう。ポープの本には「十八世紀の間にコプト語の研究は着実な進展をみせ、その記念碑の一つは、一七七五年にオックスフォードで出版された、ラクロジの辞書である」とあるのを著者は読んでいるはずなのに、何故こう書くのか。この本自体、ヴァティカンにあったコプト語の写本をフランス軍が略奪して王政復古後に返還された時にはシャンポリオンの書き込みがない写本がない事を書いているではないか。「西洋に存在する」というからナポレオンの手が届かないイギリスに18世紀には辞書が編纂されたのだからコプト語の写本があるはずだが、コプト語の写本はヴァティカンがほとんど所有していたのか。
考えようによってはシャンポリオンはボナパルト派で百日天下の際に派手な活動をしたというのに白色テロの時代に職を失ったが、名声を築けたのは、根っからの王党派なのにジャコバンの恐怖政治の時代に亡命した事がないシルヴェストル・ド・サシとよく似ている。
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ロゼッタストーンの解読に挑んだイギリスとフランスの二人の天才のお話。
ヤングがいなければ、シャンポリオンの解読はなかったし、ヤングだけだと、ロゼッタストーンはいまだに解読されていない。ヒエログリフは不思議な文字だし、解読までの軌跡ははらはらしどおしだった。
シャンポリオンにはもっと長生きして欲しかったなあ。
大変面白かった。
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それなりにボリュームはありますが、読み物として楽しめました。
「レース」的なハラハラ感はあまりないですw
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ヒエログリフの解読にかかわった人たちに焦点をあてたドキュメンタリ。
ヒエログリフの専門的な解説をある程度期待してたけど、そのあたりは最小限でちょっと肩透かしだった。
ヤングとシャンポリオンという二人の天才の人物もおもしろいけど、その周辺のちょっと胡散臭い人物もおもしろい。
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【読もうと思った理由】
さいきん歴史に関連する本で、食指をそそられる本がなく、あまり歴史関連書を読んでいなかった。そんな折、ブクログでフォローさせて頂いている方の本棚をザッピングしていると、気になる本を発見。それがKOROPPYさんの本棚で見かけた本書「ヒエログリフを解け」だ。副題が〈ロゼッタストーンに挑んだ英仏ふたりの天才と究極の解読レース〉であり、副題からも興味関心をそそられる単語しかない。個人的に知的好奇心はそれなりにある方だと思うが、ここまで現在の自分の興味関心にピッタリとハマる本も珍しい。しかもノンフィクションだ。読む前からこんなに興奮する本も滅多にない。
【ヒエログリフとは?】
古代エジプトの象形文字(絵文字)の一つで、神聖な碑文に用いられたので、神聖文字、または聖刻文字と言われる。その書体を簡略化し、パピルスに書けるようにしたのが神官文字(ヒエラティック)で、その筆記体が民用文字(デモティック、民衆文字ともいう。)である。エジプトがペルシア帝国に征服され、さらにヘレニズム時代にギリシア語が公用語とされたことによって、古代エジプト語と共にヒエログリフも使用されなくなり、忘れ去られた。ナポレオンのエジプト遠征の際にロゼッタストーンが発見されたことから、その解読が始まった。
【ロゼッタストーンとは?】
ヒエログリフ解読の鍵となった石碑のことで、発見したのはフランス軍だが、紆余曲折を経てイギリスのものとなり、現在は大英博物館にある。破損しているが、残されている石のサイズは高さ114cm、幅73cm、厚さ28cm、重さ762kgとかなりの大きさ。破損前の高さは推定で150cm~160cmである。材質は黒い玄武岩。
発見は1799年7月で、ナポレオン配下のフランス軍が要塞を築く工事をしている最中に発見された。元その地方にあった神殿の石材を流用していた中に、変わった石があったのに気づいた兵士がいたということだ。下っ端兵士が石の重要さに気づいた幸運に感謝すべきだろう。名称の「ロゼッタ・ストーン」は、発見された地名の「ロゼッタ」(現在はラシッド村)に由来する。のちにフランス軍がエジプトから撤退する際、イギリス軍との条約によりこの石も引渡し対象となってロンドンに持ち去られることになるが、その前にフランス軍が写しをとっていたため、フランスでも解読が進められていた。
【感想】
この本を読んで何より良かったのは、エジプトの歴史や、言語学をもっと深く知りたいと思えたことが何よりも大きい。ヒエログリフやロゼッタストーンについて本書を読む前の知識は、19世紀初めにフランスのシャンポリオンがロゼッタストーンを手がかりに、ヒエログリフを解読した程度の知識しか、恥ずかしながら持ち合わせていなかった。
本書の構成としては、ノンフィクションなので、解読に至るまでの苦悩やライバルとの熾烈な解読レースなどが書かれているのは当然だが、エジプトの歴史や言語学についても本書で初めて知ったことも多くあった。
例えば、アルファベットの起源はヒエログリフであることや、紀元前2400年のエッセイには既に「上��とうまくやっていくためのアドバイス」として「上司と同じテーブルに着いた時には、上司が笑う時には自分も笑う。そうすれば上司に受け入れてもらえるだろう」などと書かれている。現在でも十分通用する処世訓が書かれているのには、ビックリした。ちなみに日本では、初代の神武天皇が紀元前660年に即位したが、その更に1800年も前に既に上記処世訓が書き記されていたのは、驚愕に値する。
また自分の無知を晒すようで恥ずかしいのだが、ライプニッツのことも本書で初めて知った。ライプニッツは、「百科全書」を編んだデニス・ディドロをして「ライプニッツの才能に比べられたら、まずもって自著を放り出し、どこか暗い隅の奥深くで安らかに死にたくなる」と言わしめたらしい。またライプニッツは世界共通の言語を編み出すという夢に、死ぬまで取り憑かれていたという。
そもそもヒエログリフは3,000年も続いた古代エジプトで用いられていた文字であり、紀元前3,000年頃には使用されていた形跡がある。一般的に考えると、そんなに長期にわたって使用されたなら、記録もたくさん残っていてもおかしくなさそうに思える。しかし、そうはならずにヒエログリフは一度滅び、千年以上に渡って読めない言語であり、世界の謎だったんだそう。
その決定的な要因には、キリスト教の台頭が関わっている。例えば、紀元後の300年代初頭にローマ帝国のコンスタンティヌス大帝がキリスト教に改宗した。これによってキリスト教はローマの国教になり、その後エジプトのあらゆる神殿はキリスト教を侮辱するものだとしてひとつ残らず壊されてしまった。多神教が当たり前だった時代は他の神々は併合されていったが、一神教にはその余地はなく、古い神々は排除された。ヒエログリフは、過去の悪習の象徴として徹底的に排除され、一度忘れ去られてしまったのだ。無論のこと、それ以外の地で痕跡を手にヒエログリフ解読を目指した人は多くいたが、誰も成功することはなかった。事態が大きく動き出すのは、ロゼッタストーンが発見されてからだ。そこから熾烈な解読レースが始まる。
【今回得た気づき】
西洋史上、もっとも優れた知性を持つと本書で紹介されたアイザック・ニュートンが万有引力の理論をどうやって見出したのか?の問いに対して、即答した答えが以下だ。
「絶えず考え続けたのです」
これって文章で表すと、一文で非常に端的であるが、なかなか一つの命題に対して考え続けることは、現実的に相当に困難だ。本書では、「ニュートンがもっとも傑出していたのは、問題を頭の中にずっととどめておく力であり、強靭な洞察力にある」と書いている。本書でシャンポリオンも若かりし頃から、興味があることはエジプトに特化しており、他のことには一切興味を示さなかったらしい。アインシュタインの名言でもあるが、「私は、それほど賢くはありません。ただ、人より長く一つのことと付き合ってきただけなのです。」と。
やはり歴史に名を残すような偉人は、一つの事柄に対して10年でも20年でも興味を失わず、考え続けられることにあるんだと改めて感じた。なので自分も長年興味が尽きない、対人関係におけるコミュニケーションや、人間が持つ根源的な欲求などに関して、本の力を借りながら自分なりに今後も思考し続けていきたいと思う。
【雑感】
次は、平野啓一郎氏が著者の「三島由紀夫論」を読みます。この本から三島由紀夫氏のことを深く知ったその後に、以前から読みたかった「金閣寺」を読もうと思ってます。
また今回、非常に良い本をお教えいただいたKOROPPYさん、心よりお礼申し上げます、ありがとうございました!
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実際は数十年に及ぶじりじりとした解読作業を、その苦労がちゃんとわかる説明ありながらスピード感をもって一気に読ませてくれる。ヒエログリフを、ついに読めるようになった彼がエジプトの王家の谷に行きそこで刻まれていた文を読んで驚いたシーンがかっこいい。
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いつになったら解読レースが始まるの?と思ったけど後半から面白くなってきた。でも結局あまりレース感はなかった笑
ロゼッタストーン発見からヒエログリフが解読されたと知っていたけれど、単純な話しではなく、そこに至るまでの苦労は想像を超えていた!
ものすごい膨大な地道な作業の繰り返しだったと思うけど、シャンポリオンが実際解読に成功後エジプトを訪れて遺跡の文字を読めた時はきっとものすごい喜びだっただろうな。
過ぎた話ではあるが、フランスとかイギリスがエジプトのオベリスクとかレリーフとか、国に持ち帰るのが気になる。。
私も勉強して、いつか遺跡のヒエログリフが読みたい。
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この本を手に取ったきっかけは、何となく面白そうだったから。ロゼッタストーンの解読に挑戦する天才2人にフォーカスしながら、ナポレオンをはじめとして、数々の冒険野郎を脇に固めたストーリー展開、翻訳にフォーカスしたらすぐに飽きてしまうであろう話を楽しく読み進めることが出来た。
それにしても、この本に出てくる大半の人たちは、人生を賭けてるのがすごい。メイン主役のシャンポリオンはこれだけに人生を捧げていて、天才って人生を捧げて何かを成し遂げる人の事だなと。
個人的に面白かったポイントは、文字の発明が、人が集まったからと言う推察の部分。必要に迫られたから作られたなんて、その前の生活とかどうなってたんだろう?とか、現代でも必要に迫られて発明はされると思うんだが、今だと必要な物って何なんだろう?人を集める事で必要な物が発明されて来た歴史に対して、人が減っていく日本では発明がいらないのか?いるのか?など、頭の体操になりました。
あとは、文に現れる文字の頻出頻度を見ていくテクニックとか、今の翻訳の精度を上げた手法の一つは100年以上前にやってる人がいて、こう言う知見が広く知れ渡る事で新しい発明とか産まれるんだろうなと言う期待も。
筆者は、エドワード・ドルニック氏で、サイエンスライターの肩書き。
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サイモン・シンの本みたい
面白い
ヒエログリフの解読法はよくわからなかったが、天才たちが立ち向かったんだなというのはわかった
同じ著者の本も読みたい
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シャンポリオンがヒエログリフ解読したっていうのは習ったけど実際何したんだっけ?という程度の軽い気持ちで読んだけど思った以上に面白かった。一番驚いたのは二重スリット実験のトマスヤングがヒエログリフ解読に大きく貢献していたことだ。多才すぎる。シャンポリオンのコプト語の知識を使った本当の読み解きは要点を除くと意外とあっさり書かれている印象。可哀想なウィリアムバンクスが登場して少しずつ解読が進むあたりが特に面白い。
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ナポレオンのエジプト遠征で発見されたロゼッタストーンに刻まれていたのは古代エジプトの文字“ヒエログリフ”だった。英仏二人の言語解読レースの行方とは。→
ロゼッタストーンもヒエログリフも知らない真っ白な状態で読み始めた私でも、とても楽しく読めた。エジプトにまつわる話やナポレオンの逸話なども入っていてグイグイ引き込まれた。
ヤングとシャンポリオンがいいんだよなぁ……。ヒエログリフはシャンポリオンが解いたというのが歴史的事実らしい→
けど、ヤングやそれ以外の人たちも関わっていた(というか、影響し合っていた?)のがわかって良き。
ラストの「n」のくだりはゾクリとした。うわぁぁぁ!ミステリ好きはこういうの好きじゃない?私は好きだ!
エジプトについて、文字についてもっと知りたい気持ちが盛り上がる一冊。
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ロゼッタストーン。そう聞くだけで胸が躍る学生時代を私は送った。古代エジプトの文字であるヒエログリフ解読の歴史ついては、学部生の頃、恩師から「エジプト学史」の授業で学んだ。文字通り、エジプト学の歴史を扱う講義だった。エジプトの面白さは古代史だけではない。トレジャーハンティングの時代を経て、考古学、歴史学的な調査に至るまで、実に興味深いエピソードに溢れているのだ。
本書は、ヤングとシャンポリオンの2人によるヒエログリフの解読レースを克明に追ったものだ。細かいエピソードを積み重ねることで、2人の天才のキャラクターを浮き上がらせている。あまり日の当たることのないヤングにここまでページを割くとは、作者のドルニックはヤング推しなのか。
もちろん、解読の謎解きもエキサイティング。版元がミステリの老舗、東京創元社さんなのもうなずける。実際、ドルニックはアメリカ探偵作家クラブ受賞作家でもある。これは立派なミステリなのだ。たまらん。
実は去る2022年がシャンポリオンによるヒエログリフ解読から200年のメモリアルイヤー。本当なら東京創元社さんは去年のうちに出したかったんじゃないかなと想像している。
なお読んでいて、いくつか誤りに気がついた。たとえば、「大いなる家」ペル・アアのくだりは、ペルとアアが逆に解説されている。他にも王朝名の間違いなどもあった。とはいえ本書は学術書ではない。読み応えのある人間ドラマであり、芳醇なミステリなのだ。やはり、たまらん。
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ヒエログリフとは誰でも知っているロゼッタストーンに書かれてる文字のこと(タカとか蛇とか)。
ロゼッタストーンは3つの文字で同じことが書かれている。一番上がヒエログリフ、真ん中がデモティック、そして一番下がギリシャ語。
この石の発見の過程から、この文字に魅せられた(憑かれた?)学者や時代背景からとにかく沢山の事を楽しく伝えてくれる本。ヒエログリフがどうやって解読されてきたのかもまるで現場にいるように伝えてくれてて読んでてワクワク。そして例え話が妙に納得だしニヤつくほど笑えるのもいい。たいして興味ない人でも最後まで楽しんで読めること間違いなし。
ヒエログリフ、生で見てみたいっ!!
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ちょっとダラダラしてたけど
ワクワク読んだ。面白かった。
ヤングのすごさがあまりわからなかったけど…
エジプトで買ったヒエログリフのペンダント、
久々つけてみるかな?
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物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。
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