地政学は重要であるが著者は地政学を学んでいないし習得していない
2023/01/19 15:40
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Watcher - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者には米国、露西亜、欧州各国の歴史を学ぶ必要がある。
米国は島国では無い。マニフェストディスティニーの元で、西進し続けているだけ。偏狭な考え方
は独立以前と変わっていない。著者の言うようなスタンスで出来た国では無い。
中国という国は歴史上、中華民国が初めてか、それまでは各王朝名を国家として名乗っていた。漢人国家が続いていたわけでも無い。この事実を地政学としてみるとまた違った見方が出てくるだろう。
露西亜も同様。モスクワという辺境の公国が強くなり帝国化した。その歴史は意外に短い。北極海航路が安全だという保証は無い。
ヨーロッパ各国が気候に恵まれているというのは間違い。実際には寒冷で暖をとることが必須のエリアが多い。これは米国の東部や東北部なども同様。日本人が思っているより厳しい自然の中にいる。
もう少しキチンとした認識の上での著書であったら良かったと思う。
最後に日本で地政学に関心が強くなったのは、筆者が記しているよりもっと早くからである。加えて地政学はもうオワコンと言われはじめているようである。
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地政学は、歴史はもちろん、経済学、哲学、宗教学、文化人類学、政治学、地理学などが学べることから「最強の教養」としている。
書いてある内容はめっちゃ面白いが、いかんせん話場面がなく、いつしか忘れてしまいそう。こういう話をできる環境にある人は、そもそも教養がありそうなものだが、自分がそんな環境に行くときはもっかり読むべき。
最終章にある「日本のリーダーは"危機待ち"だ。」が名言すぎた。
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地政学がこんなにも面白いという発見と、日本はアメリカの軍自力に守られている事実を知れた。地球温暖化がもたらす地政学的転換期がもうすぐそこまで来ていることをみんな知るべきだ。
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◆地政学を学ぶ意味
・視座を高くもてる
・国際情勢への解像度があがる
・未来予測の最高のツール
⇨ビジネスパーソンに必須である、相手の立場に立って考える力がつく
◆島国(日本、アメリカ) シーパワー
・島国は他国から攻められにくいが、兵糧攻めには弱い
・日本は明治時代他国の文化を積極的に取り入れた弱肉強食の資本主義社会時代があった!
・シンガポールは日本ビジネス(製造業の鍵)
・島国根性は日本の自然に恵まれた地理的環境が生み出したものであるが、昨今はパンデミックや人口減少、高齢化などから、強いリーダーシップや自分で道を切り開く力が求められる
◆リークワンユーから日本へメッセージ
日本のリーダーは危機待ち
優秀な人ほど、危機が来れば自分の番だと待っているが、波風を立てるのはきらい。
課題も解決策もわかっているのに誰も行動を起こさない日本を変えないと、日本は終わる。
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ウクライナ侵攻や中国の台湾有事、日本人にとってはなぜそんなことをするんだろうと思う事ばかりだが、地政学的には理論上おかしくない理由があることに、学びと共に、いかに自分が平和ボケしているのか感じた。
各国の社会情勢にはその地域に属したものがあり、どんなに良い国をモデルとしてもその通りにはいかない地政学的な理由があることをこれまで知らなかった。なぜ大国がなぜさらに領土を求めるのか、中国は東南アジアを狙うのか、なぜロシアが他国に攻め入るのか、そこにある地政学が大きく関わっていることをこの世界情勢が大きく動いているタイミングで知ることができよかった。著者の言う、各国のリーダーとなるロールプレイングゲーム、実は教育上最も大切な教養を得られるのではないかと感じ、今後の進捗に注目したい。
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キーワードは何といっても『騎馬民族』。ユーラシア大陸に座するランドパワー大国は、生粋の戦闘集団である騎馬民族から文明を破壊され、再発防止のためにも中央集権体制を敷く必要があった。それゆえに資本家が生まれず産業革命以降世界の潮流に乗り遅れた。
国は引越しできないが、人は引越しできる。
気候変動により、地理が変わらずとも環境が変化する可能性がある。
唯一の普遍は変化するということ。
リスクを考えるうえでも、世界のニュースを読み解く上でも非常に参考になった。
その他、勉強になった点を下記の通り箇条書きしておく。
①海洋国家(シーパワー)や山脈などの自然防波堤がある場所(インド亜大陸、イタリア半島、イベリコ半島)は騎馬民族からの攻撃をうけていない。
②中国は一人っ子政策の影響で、子供を溺愛している。そのため戦争で死者を出そうもんなら暴動レベル。習近平は失敗できないため確信できるまで戦争には持ち込まない。
③台湾は崖がちなので攻めるのは大変。
④インドは戦後の印パ紛争で、ソ連に支援してもらったり、武器提供を受けているため、現在のウクライナ侵攻も批判してない。一方で、QUAD(アメリカ、オーストラリア、日本)に参加。バランスを取った非同盟国のポリシー。
⑤イスラエルは古代パレスチナの地に国があったが、エジプトに逃れた。奴隷にされたため再度元の場所に戻ったが、内紛し二つの国に分裂(イスラエル国、ユダ王国)し共に滅ぼされた。
⑥日本は自然が多い。山が多く雨が多い。
⑦中国が南シナ海が欲しい理由、抑止力として原子力潜水艦を移動させられる深い海が欲しい。また、資源、漁獲量も豊富。またシーパワーとして打って出る際に日本が防波堤となっており、台湾海峡を通りたい。
⑧北極海ルートで釧路が栄える可能性。そのためロシアは北方領土を返したくない。中国、ロシアが津軽海峡を通るのもそのため。
⑨北極、南極の氷が溶けると、NY,LA,リオ、東名阪、その他の沿岸都市が沈むため、内陸高地が栄えてくる。氷海とともに凍っていたウイルスが溶け出す可能性も。
⑩中国、ロシアといったランドパワー大国は、国境を接する国が多く、恐怖が多い。そのため領地拡大する。そうすると多くの少数民族を抱えることになり、抑圧するための治安維持費もかかる。
11.中国はステップ気候で乾燥がち。植物が育たない。騎馬民族的な移動式生活スタイル。
ロシアは領土の6割が永久凍土で、人が住んでいるのは2割の部分。
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地理、政治、宗教、歴史、経済
これ一冊で横断的に学べる地政学の素晴らしさを理解できた。読みやすく、タメになる、新しいインプットも多く、本当に読んでよかった。
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久しぶりに手に取った田村さんの本。
今はシンガポールの大学で、地政学を教えられていて、
本家本元の地政学の本が出たので、読んでみました。
以前は、こんな本が出ていて、
当時はとても好きだったのを思い出しながら、読みました。
※君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4838724462#comment
※君は、世界を迎え撃つ準備ができているか?
https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4806145734#comment
地政学のアウトラインを知るには、結構参考になる本だと思いますし、
レベル感も簡単すぎず、難しすぎずで、
ビジネスマンが知っておくべきレベル感として
ちょうどよい感じです。
特に自分は、ランドパワーとかシーパワーとか
地政学の言葉は聞いたことがありましたが、
ちゃんと理解できていなかったので、
この本を通じて理解することができて、有意義でした。
所々に、どうでもよいと思われる著者の自慢が
たまに本の中に出てくるのが不必要ですが、
それでも役立つ情報源になり得る一冊かと思います。
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□島国の地政学(アメリカ、日本)
ランドパワー→大陸国
シーパワー→海洋国
1.守りやすく攻められにくいが兵糧攻めに遭いやすい
アメリカは両サイドを大西洋・太平洋という要塞に守られていて、
一般的に、上陸作戦には、守備側(陸地側)の3倍の兵力が必要と言われる。
また、アメリカはカロリーベースの食料自給率が132%
原油生産量では2015年にサウジアラビアを抜いて上位独走中、世界最大級の鉱物資源保有国で、多くの鉱物資源の埋蔵量で世界TOP10に入る。
そのため、自前のパワーが強く、また、海峡などがあるわけではなく、開けた大西洋太平洋に面しているので、兵糧攻めには遭いにくい。
2.まずランドパワーとして成長
いきなり海洋国として発展をするわけではなく、例えばアメリカなら独立当初は東海岸の13州のみ。
そこから西部開拓をし、人口増加、内需増大をし、まず大陸国として国力を上げる
3.ランドパワーを経てシーパワー
島国は領土拡大には固執しない。
他国の領土を侵略しても、統治するのに継続的に補給をし人材を派遣し続けなくてはいけない。
そのため、交易や金融を用いて影響を与え、徐々に自国に有利な国際秩序に持っていく。
実際、1872年にアメリカはイギリスを抜いて世界一のGDPを実現するが、第一次、第二次世界大戦のどちらも積極的に参加したわけでなく、ヨーロッパの大陸国家が中心。
4.政治リーダーは内政問題を重視する
第一次世界大戦後にアメリカが国連設立を提唱しながら自分で参加しなかったり、直近だとTPPを仕掛けながら入らなかったり、内省重視で世界を振り回しがち
○アメリカの地政学
世界中に軍事拠点を置くのはなぜか?
世界最大の沖縄の基地以外にも世界各地にある
アメリカ海軍の戦略目標は、世界中でアメリカ企業、アメリカ政府の投資リターンを高めること。
特に、アジア、欧州、中東での覇権を確保する意図がある。
アジアは沖縄
世界中の各都市を大陸間弾道ミサイルで狙える立地
欧州はドイツのラムシュタイン海軍基地が筆頭
中東はインド洋にある、インドのディエゴ・ガルシア米軍基地
湾岸戦争、イラク戦争、アフガニスタンの有事の際はここから出撃してる
全部でアメリカの国外基地は800箇所もある
海洋国のアメリカは、世界10ヵ所にある海の要所「チョークポイント(海上の重要な航路)を軍事力で押さえている
※スエズ運河など
世界の物流の95%は海路
インターネット上の通信の99%以上は海底ケーブルを通じて行われる
世界貿易の8割はアメリカドルで行われているが、それはアメリカが世界の海路を抑えているという理由も大きい。
シェールガスによって石油を輸入せずにエネルギーを生産出来る技術が開発され、
2014年以降は中東依存の割合が低くなってきている。
○日本の地政学
太平洋と日本海に囲まれていて、特に日本海側の国からの侵略には、急流な��本海の地の利もあって長らく侵略を許さなかった。
江戸時代から世界7位の人口、世界8位のGDPだった
日清戦争に勝利したのちに結んだ下関条約に対して、ロシアがドイツ、イタリアと組んで三国干渉を行い、下関条約に難癖をつけ、遼東半島を返還させ、また清を脅し旅順と大連を支配した。
日露戦争では日英同盟を結んだが、これは1,3位が組んで2位を潰す戦略。
イギリスは当時、アジアの権益をめぐり、ロシアの極東進出を危惧してサポートした。
戦後には、アメリカに占領されたのが幸運で、
アメリカからすると、防衛費を抑えて非武装化させつつ、ソ連への防波堤とすべく経済再建に尽力。
財閥解体により、ソニー、ホンダ、パナソニックなどが生まれた。
米軍基地が沖縄にあるメリット
日本側→物流のチョークポイントであるホルムズ海峡、マラッカ海峡、台湾海峡を保護してもらえる。これが無いと、中東やアジアからの石油の輸入は困難になる。
アメリカからすると、アジア、ロシア、ヨーロッパ、オーストラリアまで1万キロ圏内で、1万キロミサイルの射程圏内に入る。
中国が尖閣諸島にこだわるわけ
中国からすると日本列島は太平洋に出るためのブロッカーになっている。
そのため尖閣諸島を手に入れられればダイレクトに太平洋に出られる。
また、核保有に関しても関連してて、こっちが攻撃したらこっちもやられるかも、と思わせることが抑止力になっているわけだが、
こっちが先制したら確実に殲滅できると思わせたらアウト。
そのためには、相手にバレずに核を保有することは大きく、その隠し方は深海に隠すこと。今の中国の領域内だと100kmほどの黄海しかないが、尖閣諸島と太平洋を取れれば1000km以上深い海を手に入れ、核を隠すことができる。
また、一番の理由は台湾。
台湾に侵略する際、中国は西側からの攻撃だけでなく、なく、東側でアメリカ海軍や海上自衛隊を迎え撃って抑え込み、東西南北から挟み撃ちにしたいとの思惑がある。
尖閣諸島から台湾は170kmの位置にあり、絶好の立地。
□大陸国の地政学(中国、ロシア)
1.厳しい気候の広い国土が恐怖と苦労を助長する
2.少数民族封じ込めのためにも強権的になる
現在中国に約70、ロシアに約190の少数民族がいる。
これまでの歴史の中で、度々騎馬民族に制圧されて来た大陸国家は、小さい民族に対しても強権を発揮して制圧する
3.一度侵略したら独立させられないワケ
チベットやウイグルを同化させるために相当なコストを払っているが、なぜ独立させないか、仮に独立させたら、自国に抵抗する存在としてアメリカやインドなどと組んで国境のすぐ隣に存在することになる。
実際ソ連崩壊時にソ連は多くの元自国領土に独立されて縮小してしまった。
○中国の地政学
騎馬民族との戦いの連続。騎馬民族に文化や富を壊され発展しない。
西欧や日本はそういった侵略が無く、封建制が生まれ、資本家が生まれ、産業革命や資本主義が誕生した。
中国は専制君主の力が強すぎた。
火薬、コンパス、印刷という三大発明は全て中国で生まれ、天文学も発展していた���、商業利用して稼ぐ担い手が現れなかった。
中国が南シナ海を欲しいわけ
→近海を制覇するのが鉄則
イギリスはユーラシア大陸との間のドーバー海峡を統治し世界進出
アメリカはマイアミの南のバハマ湾を抑え、太平洋、アジアへ進出
それが中国にとっては南シナ海。
そして前述の深い海が必要。
○ロシアの地政学
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日本は陸路で国境を接している国が一つもない温暖な自然豊かな島国で、国民はほぼ生まれた時から自由民主主義の社会に暮らす。そんな日本人が自分達の価値基準で他国を批評・批判しても意味がない。
・寒冷地にあり、国土の6割が永久凍土、8割は人間がまともに住むこともできない国
・自国に190種の少数民族を抱える国
・14の必ずしも友好ではない他国と陸の国境を接する国
・資源頼みでモノカルチャー経済の国
・急激な人口減少と高齢化に見舞われる国
・相対するブロックの軍事同盟がどんどん拡大されている国
・一度国内の権力争いに足を踏み入れたら最後、それに勝つか殺されるかの二択しかない国
もちろんだからと言って譲れないことも多いわけだが。
これは個人の想像力の力量が大事だと思う。
著者の記述で頭に残ったこと。
・国を開いて外国人を取り入れていくしか、日本が国力を取り戻す手段はない。当面観光で外貨を稼ぎ多様性に慣れていく必要がある。
・日本では首相からして”優秀な指示待ち人間”この国で優れたリーダーシップを持つ指導者を期待するのは間違い。自分や家族を守るため、自分で調べ、考え、行動するしかない。
・中国は長江・黄河はもちろん、メコンやブラマプトラの上流域も押さえている。これからのアジアにおける水資源の重要性は計り知れない。
・中国の一人っ子政策で中国家庭における子供の重要性は絶大。もしその子が戦死するようなことが多発すれば共産党さえ揺らぐ。党もその重要性を認識している。故に人的被害が大きくなるような戦争はできない。
・最後にリー・クアンユーの提言。日本はこのまま国力を低下させれば、間違いなくアジアで淘汰される。日本の豊かさも安全も危うい。日本は優秀で政府も国民も自国の課題と解決策を解っている。しかし誰も行動を起こさない。とても残念だ。
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恥ずかしながら世の中をまったく知らないわけだったが、戦争や温暖化など世界規模のニュースが政治的にどんな意味を持つのか考える上での視点を得るきっかけになる本だったと思う
おそらく地政学は歴史であり時事でもあるので体系的にまとめることは難しく、色んな畑を歩んだ著者だからこそもたらせる知見なのだと思った。なのでこの人1人の知見だけ信じて生きるのもあれなので、もう何冊か同じジャンルの本を読んでみたい
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「地政学」というキーワードの本は初めて読みましたが、とても勉強になりました。きっかけは田村さんのFBで紹介sれていて興味を持ったことでしたが、期待どおりの濃い内容だったと思います。山川出版の世界史の教科書も一度読み返してみたいです。
何人かのブクログユーザさんがレビューの中でこの本の要点をまとめてくださっているので、それらを時々みて、記憶をリマインド(定着?)させたいとも思います。
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ランドパワーとシーパワー、ハートランドとリムランドというように世界を大局的に分割して分析する思考法は面白かった
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最後のあとがきで、泣きそうになった。批判するのは簡単で、相手の立場になって(その為に、置かれている環境や歴史、思想、文化を知る)最適解を考える。
色々な人の本を読んできたけど、こんなにも世界や日本のことを考えて本を書いている人いないよなーって思った。
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相手の立場で考えるということを、地政学やでも使える、むしろ必須ということが目から鱗だった。
プーチンや習近平の立場で執務室にいるというロールプレイングをすると、意外にも彼らの焦りや恐怖、名誉心、攻められる前に攻めるという思考が分かるような気がする。
もちろん正当化はしないが。
中国と日本の位置関係を逆さから見た地図という図表8にも目をみはった。
確かに中国から見た日本は、まさに中国の海洋進出をブロックする海上の万里の長城!邪魔に見えて仕方ない。そして尖閣諸島が、海上の万里の長城が途切れている場所というのも頷ける。
逆にアメリカからすると、日本は中国の海洋進出を抑える防波堤に見えるのが面白い。
世界史、地理、気象、国際関係、政治、経済など様々な部門の知識は地政学のためにあるかのよう。非常にためになり、知的好奇心をぐりぐりされた。